後継者は曲者揃いで、大変面倒くさいです。
扉の先は大きな大広間だった。
「皆さん。エリンさんが到着いたしました。」オーウェルに続いて広間に入ると、そこはまるで絵画に出てくるお城のようだった。
天井に輝くシャンデリア、高そうな素材のカーテン、上質な木で作られたソファーとテーブル。
センスよく置かれている家具は、ぱっとみて高いと分かるものばかりで。
私は場違いな気がしてしかたがなかった。
「立ち話もなんですので、とりあえずソファーに座ってください。」と、オーウェルが指指した先のソファーには青年が3人座っている。
私はとりあえず、3人の反対側に置かれたソファーに座った。
この人達が後継者候補たちなのだろう。
三人とも、私のほうをじっと見ている。
対面状態だから、仕方ないのだけれど。
なんだか恥ずかしい・・・照れる・・。
って、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、私。
人間は第一印象で決まるって言うし、しっかり挨拶しなきゃ・・。
って、どんな挨拶するの?わかんないし!?
はじめまして、この度お世話になります、富士川 恵凜ですぅー・・とか?
会社の新人の挨拶かよ!?あーもう分かんない。
とりあえず、なるようになれっ!!!(この間、2秒。)
「はじめまして。えりんです。」私は、とりあえず簡単な挨拶をすることに決めた。無難だよね??うん、なにも可笑しくないはず・・。うん。
「へー。こいつが・・・。あんまり可愛くないし、頭悪そう。それに、名前がえりんって。エリンギみたいだよな。」と、はじめに辛辣にコメントを述べてくれたのは、赤髪の青年だった。
つんつん頭が特徴で、顔は整っているイケメンで、瞳は黄緑色の透き通った色で綺麗な感じ。
悔しいけれど、オーウェルに負けないレベルのイケメンさんでした。
イケメン、むかつくな。
「私、エリンギじゃないし。えりんだし。失礼ね、ほんと。」
「お前なんて、エリンギで十分だ。」そういうと、赤髪のイケメンはぷいっと目を逸らしてしまう。
なんなのかね、この人。あーやだやだ。
ほんとうに、曲者じゃないですか。オーウェル君よ!!助けたまえ!!
私が、ヘルプミーの意味を込めてオーウェルを見ると、オーウェルはガッツポーズをして、部屋から出て行ってしまった。
逃げやがったな???覚えとけよ!!
ほんと、役立たずめっ!!
苛立った私は、赤髪を睨みつけていた。
そんな私に赤髪の隣に座る少年が声をかけてきた。
黄色い髪の青年。目がくりくりとしていて、つぶらな瞳が可愛い。
「へー!えりんさんか。素敵な名前だね!!あっ、でもでもえりんさんの方が年上だから、えりん姉ちゃんだよね?はじめまして、えりん姉ちゃん!」
「よろしくね。えっと・・・・。名前は??」
「僕は、ナジ!!スポーツが大好きなんだ。アラン・・・あっ、この人ね??赤髪のこの人。アランも、スポーツ凄いんだよ??」
「へーそうなんだ。」私は赤髪には特に興味が無かったので、ナジくんには申し訳ないけれど、そういう対応しか取れないの。
「って、アランの話はどうでもいいですよね??僕は十七歳。好きな食べ物はりんご。よろしくっ☆」と、天使のような笑顔で言ってくれる。
あーほんと、なにこの天使。ほんと、誘拐したいよ・・・。嘘だけどね???
「よろしくね、ナジくん!」私はその天使のような笑顔につられ、笑う。
「お姉ちゃん?僕のことは、ナジでいいよ??」
「うん!分かった!」
こうして、ナジくんの自己紹介は平和に終わった。
みんな、こんな平和な自己紹介なら良かったのに(ため息
その時だった。
「あっ。部屋にお菓子忘れたぁ・・・。取ってくるぅーーーー。」と、ソファーに座っていた後継者候補の最後の一人である、薄紫色の髪の少年は、いきなり立ち上がって、扉の向こうに消えていってしまった。
それと、入れ替わりでオーウェルはお茶の準備を持って入ってきた。
「すみません・・。さっき出て行ったのは、クドです。基本的に彼は自由人なのでお気になさらず。また後ほど、彼にはちゃんと自己紹介させますね。さて、お茶にしましょうか。えりん様もお疲れでしょう??」そういって。オーウェルは私にいい香りのする紅茶が入ったカップを渡してくれる。
渡された紅茶を一口、口に含むといい香りが口に広がった。
「おいしい・・・。」私は思わず感嘆の声を漏らしてしまった。
「そうでしょ?オーウェルの入れる紅茶は絶品なんだ!!僕、これ大好き。」そういって、えへへーと笑うナジくん。ほんと天使だよ君。
「と・こ・ろ・で。あなたたち、ちゃんと自己紹介はしましたか?」
「うげっ。」という、赤髪。あなたは、もう名前を呼ぶ気もしません。
「うん、僕はちゃんとしたよー☆」と言って笑うナジ。
「ほんとうに。どうしてアランはちゃんと挨拶できないのですか?そんな子に育てた覚えはありませんよ?」オーウェルはそういってアランを叱る。
怒られた、アランは少ししょんぼりした表情をしている。
オーウェルは本当に皆のお兄さん的な存在なんだね。
あのアランがしょんぼりした表情を見せるだなんて。
オーウェルはすごいよ。性格悪いけど。
「わかったよ。ちゃんと挨拶する。俺の名前は、アラン。お前の二つ年上。“さん”つけたり“くん”つけなくていいから。あと、敬語も不要。堅苦しいの苦手なんだよ。以上。」そういうと、さらっと自己紹介を終えた。
「分かった。よろしくね、アラン。」私はとりあえず、挨拶を述べた。
「うす・・・。」アランはそういって、また目線を逸らした。
・・・・もしかして、シャイボーイ???人見知り??
なるほどね。うん。
「そういえば、ルーシュはどこへ??」オーウェルは部屋を見渡すと、ナジとアランに問いかけた。
「知らない。」
「僕も見てないよ??」
二人の答えを聞いたオーウェルはため息をついた。
「今日は、ちゃんと来るようにあれほど言っていたのに・・・。すみません。」というと、オーウェルは私に頭を下げた。
「大丈夫だよ!!オーウェルも座って?」と、私は自分の隣の席にオーウェルが座れるよう、スペースを空けた。
「すみません。失礼致します。」オーウェルはそういうと、私の隣に座った。
「あのルーシュさんとは??」私が気になって、問いかけると三人は少し気まずそうな顔をした。
あまり、みんなと仲良くないのかな??
「ルーシュは少し、いろいろありまして・・・。また、彼も今度紹介させて下さい。」オーウェルはそういうと、作り笑いをした。
「分かりました。」私はその笑顔を見ると、それ以上何も言えなかった。
「さ、これからのことについてもう少しお話しますね。」オーウェルはそういうと、にっこりと笑った。
その笑顔に、何故か私は少し恐怖を感じたのだった。
読んでくださり、ありがとうございました。
少しずつではありますが、主要キャラが出てきてますね。
みんな、変な人ばかりですが・・・・。
ほんと、なんなんだろうこの人達。
この先、この小説は大丈夫なのでしょうか??(汗
でも、まあナジはまだまともなほうかな??と思う作者です。
さてさてそんなことよりですね?
お気に入り件数が少しずつ増えてきております。
ありがとうございます!!!!
涙でちゃうくらいに嬉しいです。ほんとうに・・ありがとうございます!!
まだ出てきてないキャラもいるので,これからも是非読是非んでください。
彼らも見てやって欲しいです。
今後とも、「てんあき」をよろしくお願い致します。
ぎりぎり12時の投稿に間に合い、ほっとした鈴音でした。