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5 あなたへの追伸
これで、私の物語はおしまいです。
世界のどこかにあるお城の中には、今でも主のいない椅子が、座ってくれるあなたをずっと待っています。
もちろん、『あなた』はトルの師匠のことじゃありませんよ。
お分かりですよね?
『あなた』という言葉はとても難しいです。
私以外の人は全て、あなた。
トルも、トルの師匠も、今これを読んでくださっている誰かも、みんなあなたなのですから。
私にとってのあなたはあなたで、あなたにとっての私はあなたで、あなたにとってのあなたは私のあなた――ああ、私とあなたの区別もつかなくなってきてしまいました。
だから、これ以上ややこしくなる前に一言だけ言わせてください。
もし、あなたがこの椅子に座ったら何を願いますか?