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マリアの独り言  作者: 藤高 那須
第一章 始まりは産声から 幼少期編
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閑話

やっとここまで来た。

 あの日から、お母さんは私とよく遊んでくれるようになりました。

 一緒に絵本を読んだり、ボールの投げ合いっこをしたり、ボードゲームというものもしました。

 それにしてもお母さんはとても強いです。

 私がどれだけ頭を回しても、お母さんは難なく私を倒してしまいました。

 私はとってもイライラして盤をひっくり返してしまいましたが、お母さんは笑顔で盤と駒を直していきます。

 駒の配置を全部覚えているなんて、卑怯です。


 ともかく、今のお母さんは前お母さんよりとても優しく、笑顔も明るくなりました。





「チェック」

「うぅ」


 今日も天気は雨、もう一番暑い日を通り過ぎ、葉っぱが落ちる季節がやって来ました。

 女心となんとやら、と言うように、この季節は女性の気持ちと同じように空が変わっていきます。

 気持ちの良い天気なのに、突然雨がふったり、その後に晴れてじめじめした空気になったり、どうもこの季節は好きになれません。私は今お母さんとボードゲームをしています。さっきから何度も王様を取られそうになっていてピンチです。


 でも、こんな危ない状況でも、良い知らせはあるようです。


 今日、ログベール領から私のお爺様がやってくるのです。





「マアァァァリアアァァァ!」

「んーやぁ!」


 屋敷に入ってくるなり、お爺様は私に抱きつき顎髭を私の頬に擦りつけはじめました。

 ものすごく痛くて、頬が赤く腫れそうでしたが、こんなに喜んでくれるお爺様を見て、今回は許そうかなと思いました。


「マリアぁ、会いたかったぞぉぉ」ジョリジョリ

「んー、やっぱやぁ!」


 前言撤回! 顎髭は敵です! あのジョリジョリ感は絶対に好きになれません!






 空がオレンジ色に染まり、太陽が西の山に隠れそうになる頃、私達はお爺様が来た記念に、ちょっぴり盛大な食事会を開きました。


「親父、それで用事というのは終わらせて来たのかい?」

「ん? ああ、そのことは後でな、今は楽しもう」

「ふふ、お義父様の言う通りよ。マリアは何食べたい?」


 お爺様の用事は何か知りたいですが、お爺様の言う通り、今はこの食事会を楽しみたいと思います。

 あ、お母さん、これがいいです。


「それにしても、ジルシュ、おまえ前よりも逞しくなったな」

「え、そ、そうかい?」

「ああ、なんというか、吹っ切れた感じがする。やっとお前も、男になったんだな」

「……うん、ようやく僕も、前に進めるようになったよ」

「ええ、あなたなら絶対できるわ」

「うむ、これで儂も、決心できる」









「今日をもってジルシュ・サマン・ログベールを、ログベール家当主する)」

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