4/8
消えない不安
気づけば、橋の上に人影は少なくなっていた。
遠くの笑い声も消え、風の音だけが残る。
僕は一人で、ヒビを探し続けていた。
「そんなに気になる?」
ふと、声がした。
顔を上げると、少し離れたところに、同じくらいの年頃の黒髪の子が立っていた。
これまで誰もが景色のように僕の横を通り過ぎる中、立ち止まったのは彼だけだった。
我に返り、なにか返さなきゃと、言葉を探した。
「…割れたら、どうしようって」
ぽつりと漏れた本音に、すぐ後悔した。
誰にもわかってもらえなかった。
なにがそんなに怖いんだと、叱られた。
そんなに気を張ってちゃ生きていけないよと、わらわれた。
僕がそう言うと、その子は一瞬、足元を見た。
それから、少し困ったように笑った。
「分かる」
その一言で、胸の奥がふっと緩んだ。




