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見えない傷
その橋は、透明だった。
足元にはガラス。
下には深い谷。
底は遠く、はっきりとは見えない。
見えないのに、落ちたら終わりだということだけが確かだった。
僕は、橋の前で立ち止まっていた。
最初の一歩は、何もなかった。
でも、ほんの一瞬だけ軋む音がした。
「もし」という言葉が、
いつの間にか頭の中で増えていった。
もし割れたら。
もし落ちたら。
もし、僕だけが例外だったら。
その場にしゃがみ込み、ガラスを覗き込んだ。
透明な床に、細い線が見えた気がした。
ヒビかもしれない。
ただの光の反射かもしれない。
分からない。
分からないことが、
一番怖かった。




