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12話

本作は、聖女と“人外の護衛”が世界の理を巡る旅へ出る、

シリアス寄りのダークファンタジーです。


暴力描写があります。苦手な方はご注意ください。

世界観は重めですが、物語は「聖女×護衛」のバディ関係を中心に進みます。


楽しんでいただければ幸いです。


「死ねぇっ!」


「一人やられたぞ!」


「逃げられるなっ!」


耳に飛び込んでくるのは、男達の怒号。

周囲は樹々が深く繁る森。


陽は真上から降り注ぎ、深緑の葉枝が作り出した班目な影が、俺の姿を自然に溶け込ませてる。


ーー五人、囲む形、一人は離脱。


手近の岩陰に身を隠しつつ、息を整えながら剣先を濡らす血糊を、手首だけで鋭く振って落とし、身体の確認も済ませておく。

怪我は無く、マントに返り血が点々と跳ねているだけ。


ーーあいつらはなんだ?


ここ数日と同じく、外獣討伐の依頼をこなす為に森に入った途端の襲撃だった。

俺は依頼を受ける流れになった事も含め、何日か前から思い出してみる。



「ゼオバン、路銀稼いでみません…?」


武器屋に寄った日から五日後の昼下がり、商会職員が使う食堂で、飯を食べている時に対面するお嬢が急に切り出してきたのが、最初のきっかけだった。


話をまとめると、お嬢は旅や行商の安全を祈願する”聖火の護符”という祈祷を執り行うから商館からは出られなくなった。

“お前はお前で稼いでこい”と言うわけだ。


「傭兵か、狩人のどっちかで貴方なら稼げるわよ」


雑にそう言って手に持った木さじを振るお嬢に見送られ街へと出た後は、武器を持つ男達の流れを追った先で隣り合う建物に辿り着いた。


“傭兵連盟会”と”狩人教会”が其々の建物名。出てきた男に聞いてみると、傭兵は主に人相手、狩人は獣や外獣相手と扱いが違う事を教えてくれた。


とりあえず、傭兵の扉を開けて中に入る。

中は広い部屋になっており、奥の壁一面は受付になっている様で、窓口が並んでいた。

そして、傭兵も狩人も同じ受付は同じだった。


其々の職員に話を聞いて、今回は狩人の依頼を受ける事にした。

傭兵の方が慣れているが、行商護衛の依頼しかなかったからだ。


幾つかの注意事項や、階級による依頼制限などもあったが、二週間しかいない俺からすれば関係ないので、聞き流し、武器を借りまだ日が高い事もあって、出現場所の森へと向かった。


依頼は鹿の外獣で期間は四日。

始まりは翌日からだったが、下見も兼ねて森へと来てみたが、外獣と遭遇する事はなかったが、協会を出てからずっと俺を尾けている奴らがいる事には気がついた。

うまく誤魔化してるが、刺してる視線は戦場で覚えがあった。


翌日から本格的に外獣を探し始めた。

初めてと言う事もあり、教会からナンフという男の狩人が同行する事になった。


ナンフは三十歳で、子供の頃から森で狩りをしているらしく、罠の方法や追跡、痕跡の見方など色々教えてくれた。


「…お前さん、噂の巡礼護衛なんだろ?」


休憩している時に、ナンフが何気なく切り出してきた話題。

俺は用心も含めて何も反応しなかったが、ナンフは笑いながら続けた。


「街で噂になってるからよ、フェルベルト商会が支援する巡礼者が出たのと、凄腕の護衛を連れてるってさ」


「…仮に俺がそうだとして、なにか?」


「ただの話題だよ。お前さんは仕事の話ししかしねぇからよ」


そう言って笑うナンフに、俺はすまんと謝りつつも観察していた。


それから数日後、無事依頼は達成した。

協会に戻ってきたナンフが、仲間達に興奮気味に話をしているのを横目に、俺は受付に向かい、報酬金を得た。

出る前に、ナンフに声をかける。


「ナンフ」


「見つけ途端に、ぶっとい首を一振り!すごかったぜぇ…おぅ!呼んだか?」


「色々助かった。ありがとう」


「これも仕事さ。色々、気をつけてな」


言葉と握手を交わし、俺は協会を後にした。



それからは単独で依頼をこなしていたが、尾行はいなくなっていた事で、少し気を緩めてしまったら、襲撃にあったというわけだ。


ーー殺しはまずいか。


俺は身を隠す岩陰から様子を伺い、初手で斬った敵が死んでない事を確認して、安心すると共に敵を”殺せない”事へと不満が募る。


わざと”殺さない”は分かるが、敵を前に”殺せない”なんて、何のための武器なのか。


握る剣先が、鈍く光り”処理しろ”と告げてくる。

だが、一度目を閉じ、ゆっくり息を吐きつつ、鞘へ納めて、敵の様子を伺うと、完全に見失っている様だ。

戦えないなら、取る手は一つ。

痕跡を消し、残さないようにしながら俺は森を抜けて、商館へと戻った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

感想や応援があると、続きの執筆がとても励みになります。

次話もよろしくお願いします。

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