表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣姫  作者: 冷水
2/7

プロローグ2

□ステータス

 名前:サイトウ・ハジメ

 年齢:17歳

 外見:ごく普通の日本人の少年。顔はイケメンではないが、普通より整っているものの、自信のない表情で、生前は女子受けが良くなかった。

・先天スキル

 全属性魔法適正

 ネット通販

 タブレットPC

 アイテムボックス

 不老

・後天スキル


・称号

 異世界人 ……異世界から召喚された者。意思疎通に関して加護が与えられる。

 剣神の悪戯……剣姫と巡り合うように運命を操作される。剣術に関する成長補正がかかるが、努力が無ければ無意味になる程度のわずかな効果。



「おぬしは、死んだ。こちらの手違いでな」


 猛スピードで突っ込んで来るトラック。

 車の気配が無かったはずなのに、急に側面で大きな音がしたと思ったら、大きなトラックに引かれた所まで覚えている。

 跳ね飛ばされた衝撃で、痛みはあるのに体が動かせず、頬をアスファルトが引きずって濡れた感覚がした記憶がある。

 目が無事だったのか分からないが、液体に塗りつぶされたような左目は見えなかったものの、右目で見たのは慌ててトラックを降りた人物が、こちらを視認したと同時に車へ乗り込み、急発進させたトラックで、息の根を止める一撃を加えてきた所で、意識が途切れてしまった。


「天使……いや、おぬしの世界の概念で言えば『死神』が、あの場所に誘導すべき人物を間違えてしまってな……」


 声が出ない。

 たしかにあの日、俺はなぜか深夜にコンビニへ行こうと思い、財布を持って実家を出た。

 明るい時間帯にコンビニへ行く事はあっても、男とはいえ未成年だけで夜に買い物へ行こうと思うことは、それまでなかったはずなのに。


(……)

 そんな理不尽を伝えられた所で、思考が停止するだけだった。

 だって、俺には未練が無かった。

 学校では、孤独だった。

 いじめは無かったし、疎外されていた訳じゃないが、誰と話しても周囲から浮いている感覚があった。


(俺はどうなるの?)


 異世界転生ものの小説ばかり読んで、自分がそうなりたいと思った事もある。

 そんな事を考えていると、もしかして?

 と、今さらながら、心が震える感覚が沸きあがってきた。


「ふむ……なるほど」


 目の前の存在が、何か考え事をしていた。

 ぼんやりとしていた姿が、神様かな?と考え始めたら、貫禄のある老人に見え始め、髭を撫でるような仕草をしていた。


「そう、わしは神じゃ」


 思考が読まれているらしい。

 であれば、異世界で好き勝手できるようなスキルが欲しいです、と思念だけで訴えかける。


「よいぞ。こちらの手違いで死なせたのだ。法外なスキルを持たせ、異世界へ送ろう。もちろん、剣と魔法のファンタジー世界だ」


(マジで? やった!)


「ふむ……あやつに世話を頼むか……」

 何やら神様は、邪悪な笑みを浮かべて小声でつぶやいた。


「空間魔法を授け、現地の金をその中に入れたから、あとは好きに生きなさい」

(え、どう生きて行けばいいのですか?)

「質問は受け付けない」

 神様が手をかざすと、空間に幾何学模様が浮かび上がる。

 そして気づくと――。


 空の上から落ちていた。


「ああああああ……」

 死ぬ、いきなりDEAD ENDは勘弁してください。

 


 ――いきなりゲームオーバーは回避できた。

 地面に触れる直前に、慣性を無視したような減速が入り、肝が冷える感覚で気を失いかけたが、なんとか意志を保つ事ができた。


 そこには、女神がいた。

「私の名前は、ミカ・ウェルカーヌス。少年、名前は?」

「サイトウ・ハジメです」


 耳の長い、エルフだろうか。

 白い髪と赤い目、十代後半みたいな見た目の、とても美しい女性だった。

 どこか落ち着いている。

 全てを見通すような澄んだ瞳が、こちらの顔を覗いてくる。


「美しい……」

「……」


 そこから先の記憶は曖昧だった。

 自分が異世界から来たであろうこと、そして、ミカという女性が持っていた『鑑定スクロール』という、自らの情報を書き写す事のできるもので、俺が持つ能力を説明した。


「異世界……ね」


 ネット通販というスキルで、食べ物や書物を出して見せると、それらに興味深そうに食いついてきた。

 人が空を飛ぶ、大気圏を抜けて惑星に降り立つ、そういう話を楽しむように聞いてきた。


「私はエルフ。二千年以上は生きている。君の話が本当なら、しばらくこの世界の常識とかを教えてあげる」

「ミカさん、お願いします!」


 そういった所で、急に眠気が襲ってきた。

 なぜだろう、ちょっと安心したら、頭が痛くなって耐えられなくなった。

 俺は気を失ったらしい。

 気づくと、隣では、剣を抱きしめて寝ている美少女がいた。

 なぜ?



(次回、明日18時予定)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ