～時空を超えた救世主～
「長老、このようなものに封印なさるのは如何でしょうか。」
長老と呼ばれた老人は、見事なまでに白く長い口髭を手で撫でながら頷く。
「では、そのようにいたします。指輪の名前と発動呪文は何にいたしますか。」
老人は、初めて口を開いて言った。
「指輪は『救世主の指輪』。発動呪文は……
『メシア』。」
頬を伝って汗が顎に流れて行く感じがする。僕の目の前には有り得ない程オレンジ色の髪の毛をワックスでビシッと決めた、顔立ちが整っている男がいる。
「……いくぞ聖……！！」
僕はその合図に敏感に反応して、目の前の男の名前を呼ぶ。
「勿論さ……一義！！」
「やぁぁぁああ！！ガハッ！」
「おりゃぁああ！！ヘブウ！」
……………
「やるじゃねぇか……聖！」
「一義こそなかなか……！」
……………
「てぇりやぁぁ！！グフッ！」
「なにくそぉお！！ゴハァ！」
何故二人同時に発狂して、更に苦しんでいるか。答えはかんたん。
『video game』をしてるからさ！！！
「とぉりゃぁあ！！」
「ぬぉりゃぁあ！！」
………
「「はぁ…ッハァ……」」
「何故、……一義がこのゲームで僕と対等に渡り合えるんだ！！」
「……愚問だな。これを持っているのはお前だけじゃねぇんだぜ？ちなみに俺は週4だ。」
「僕は月23だ！」
「是非週に直してくれ。」
「一義が計算して……」
「めんどい。」
あ……そうですか。
――
「そう言えば……」
一義がグラスに入った炭酸飲料を飲み干して、ついで、飲み干して、ついで、スナック菓子を開けて食べて、飲み干して、ついだ頃に話を切り替えてき――
「飲み過ぎ！食べ過ぎ！」
「に、息ケア。」
「違う！それは違うぞ一義！僕はけして息の事を言ってるわけじゃない！！」
「じゃぁ、タカのマークの昭和製薬。」
「それ会社！ダメだ、最早違う方向に向かってる！帰ってくるんだ、一義！！」
「長田胃酸。」
「いらない！長田さんの胃酸なんか要らないから！！」
