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姉と水着ヒロイン

 特撮に詳しい姉は必然、特撮ヒロインにも並々ならぬ関心を抱いているのだが、それに関して先日ちょっと面白い出来事があった。7月からの新番組『ウルトラマンブレーザー』のヒロイン役キャストの発表に際し、姉がいつもの(・・・・)ように(・・・)「よし、今年も水着グラビア経験者だな」などとツイートしたところ、とあるフォロワー氏が彼女のこれまでの類似ツイートを画像にまとめ、毎年の風物詩のようにリポートしていたのである。

 その内容は概ね「最近は東映でも円谷でも水着グラビア経験者をヒロイン役に起用することが増えていて喜ばしい限りである。アイドル、グラビア方面からの話題性の流入というメリットを考えれば、水着経験者をキャスティングすることは単純に得しかない。未経験者でも特撮への出演中に水着デビューするケースも増えていてこれも素晴らしい」といったものだが、あまりにも主張が一貫しすぎていて思わず笑ってしまった。

 なお、このエッセイの第2回で、「もっとこう(略)演じる平川結月の水着グラビアはいつになるのかとか、他に気にすることがあるんじゃないのか」と書いたのは、要するにネタでも何でもなく、姉が実際にそういう話を頻繁にしているからに他ならない。「特撮界隈の外からの注目度に影響するため……」などとマジメっぽい理屈で理論武装しているが、その実、あの人は単に自分が可愛いヒロインの水着を見たいだけである。具体的にどの戦隊とは言わないが、一時期は「どちらかと言えばこっち(ダブルヒロインの可愛い系の方)の水着が見たいのに、あっち(キレイ系の方)しか脱がない!」という愚痴(?)を度々述べていたものだ。リタ様も放送中に脱がなければきっとそう言われるだろう。


 恐らく、その渇望の根底には、我々が幼少期を過ごしたのが、1990年代末期から2000年代初頭という“変革期”であったことが関係しているように思う。何が変革期なのかと言うと、ちょうどこの時期を境に、特撮番組から急速に「お色気」が駆逐されていったのである。ゾンネット、シボレナ、シェリンダ、ディーナスといったいわゆる「お色気系女幹部」が姿を消したこともそうだが、何より大きいのは「白パンチラ」の演出が一切行われなくなったことだろう。

 1998年の『星獣戦隊ギンガマン』までの作品では、作品やキャラによって差はあれど、特撮ヒロインがミニスカートからの白パンチラを披露するのは極めて普通のことであった。勿論それは本物の下着ではなく、意図的に演出された「見せパン」なのだが、逆に言えば、わざわざ偽の下着を用意してまで子供番組でパンチラを見せていた時代があったのである。しかし、その文化は『ギンガマン』の最終回をもって終焉を迎え、続く『救急戦隊ゴーゴーファイブ』以降の作品では、絶対に白パンチラなど画面に出なくなってしまった。後に聞いたところによると、同じ1998年という年を境に、アニメの方でもお色気表現の規制が厳しくなったようで、その理由は寡聞にして知らないが、何せよこの時期がターニングポイントだったことは間違いない。

 そして、そのことには当然、当時子供だった姉や私も気付いていた。こうしたことは男児よりむしろ女児の方が口に出して言いやすいものだ。大人の事情による自主規制で一つの文化が消えていくことに、子供ながらに一抹の寂寥を覚えた――のかどうかは知らないが、戦隊から白パンチラが“奪われた”ことを、姉は決して快く思っていなかったように思う。「よりによって自分が戦隊にハマり始めたこの時期に!」なんてことも思ったかもしれない。


 そんな彼女からすれば、ここ数年の特撮界における水着経験者重用路線は、形を変えて特撮ヒロインに「お色気」が戻ってきたようで、積年の不満がようやく晴らされたような心持ちなのだろう。2000年代~2010年代のヒロインにも水着経験者は少なくないが、それはあくまで「人によってやったりやらなかったり」で、先述のように「脱いでほしい子に限って脱がない」ということも多かった。その点、2020年代に入ってからは一気に潮目が変わり、戦隊・ライダー・ウルトラいずれの作品でも、水着経験済か、放送中に水着デビューが可能な人材がキャスティングされるようになっているのだから、特撮ヒロインウォッチャーには実に生きやすい時代といえる。「界隈外からの注目度が云々」という話でカモフラージュしてはいるが、あの人が言いたいのは概ねこういうことだろう。

 そういうわけで、紳士たる私としても、『キラメイジャー』の衝撃再びという感じで、『キングオージャー』の放送期間中にヒメノとリタのダブルグラビアが見られることを願ってやまない。ほら、そうすれば特撮ファン以外からの注目度も高まって、界隈全体のメリットに繋がるからね。


特撮を題材としたコメディ短編も公開しています。併せてお読み頂けると幸いです!


『ヒーローが多すぎる!』

https://ncode.syosetu.com/n8091ie/


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― 新着の感想 ―
[気になる点] コミケ会場を背景に 「ここに10万人の犯罪予備軍がいます!」 とテレビで言われる時代が戻ってこないことを願う。 [一言] <同じ1998年という年を境に、アニメの方でもお色気表現の規制…
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