姉と魔法つかいプリキュア
特撮に詳しい姉はまた、ニチアサ民の多くがそうであるように、プリキュアシリーズに関しても人並み以上の知識を持っているようだ。AKBファンが坂道のことも多少は語れたり、将棋ファンが囲碁の棋士の名前も少しは知っていたりするのと同じで、特に意識しなくても「お隣さん」として常に情報が入ってくるのが、特撮とプリキュアの関係であろう。
その姉が最近、大人向けスピンオフの制作決定で話題の『魔法つかいプリキュア!』を配信サイトで改めて視聴していると聞いて、思い出したエピソードがある。2016年の放送当時、姉がLINEグループか何かでしきりに主張していた与太話だ。いわく、キュアミラクルの「ミラクル」は名詞だからよいが、キュアマジカルの「マジカル」は形容詞だから、名前としておかしいと言うのである。
某動画サイトで彼女の動画を観ている方にはお馴染みだと思うが、うちの姉という人はとかく言語感覚のこだわりが強く、『忍風戦隊ハリケンジャー』のカラクリボールの「ソードスラッシャー」は英語的に絶対ヘンだとか(○○スラッシャーの前にヒーロー名や属性名が付くなら「そういうネーミングの武器」として流すが、「一般名詞+動詞-er」では素直に英語として解釈して「剣を切るもの」にしか聞こえないという)、戦隊ロボの追加武装時に機能名ではなく追加メカ名がそのまま後ろに付くのは嫌いだとか(「ガオキングソード&シールド」は機能名なので可、「ゲキバットージャ」は途中に付くので可、しかし「ゲキトージャウルフ」はメカ名が後ろに付いているからダメだという)、真面目な組織のメカの名前にカバン語の駄洒落ネーミングが採用されるのは許せないとか(ウルトラマンメビウスの技名に「メビウスピンキック」は許容しても、防衛チームのメカ名に「ガンフェニックストライカー」などと名付けるのはあり得ないというのだ)、小ウルサイ持論をいくつも持っている。
そんな彼女の感覚的に、「キュアマジカル」はとにかくヘンな名前に聞こえたらしい。「ミラクルとマジカルで韻を踏んでいるのは分かるが、magicalは『魔法の』であって『魔法』ではない」と。日本語でたとえるなら、「キュア可憐」や「キュア真紅」ならよいが、「キュア可愛い」とか「キュア赤い」だとヘンだろう、という話か。敵がザケンナーとかヨクバールとか言いながら襲ってくるシリーズでそんなこと気にしても仕方がないと思うが……。
そういえば、「二人の奇跡」「二人の魔法」という名乗りフレーズにも何やら物申していた気がする。「チーム単位での名乗り(ガオレンジャーでいえば「命あるところ正義の雄叫びあり!」の部分)なら分かるが、個人個人のキャッチコピー(ガオレンジャーでいえば「灼熱の獅子」等の部分)が『二人』であること前提なのはどうなのか。一人で名乗る時はどうするのか」と。作中、彼女達が単独で変身する場面があるのかは知らないが(二人揃わなければ変身できないのは初代だけの設定だったっけ……?)、そういう時は名乗りは短縮して名前だけ言うんじゃないのかな。
そんな姉だが、なんだかんだで『魔法つかいプリキュア!』は全話楽しく観終えたらしい。そうなると、次は同じく続編が告知されている『プリキュア5』に行くのかな、と思ったら、なぜか今度は『東京ミュウミュウ』のリメイク版に手を出しているようだ。まあ、あの人は常に何作もの特撮やアニメを同時進行で観ているので、寄り道と言うほどでもないだろうが、プリキュア5と東京ミュウミュウを同時に観たら流石にこんがらがらないだろうか、とちょっと余計な心配はする。プリキュア5の放送当時(2007年)、ネットでは「ミュウミュウじゃん」とよく言われていたもんなあ……。それがもう16年も前だというのだから、我々も歳を取るわけである。えっオチ? 私はザクロお姉様が好きでしたよ。