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姉とグリッドマン

 特撮に詳しい姉がいる。どのくらい詳しいかというと、現在公開中の映画『グリッドマン ユニバース』のラスボスの姿を見て、「あぁ、雑誌連載のアレから要素を拾ってきたかー」とすぐに気付き、劇場でニヤケが止まらなかったと言うほどだ。

 特撮版『電光超人グリッドマン』は1993年の作品で、姉や私はリアルタイムで放送に立ち会ってはいない。まして、その終了後に児童誌で展開された『魔王の逆襲』の内容にまで精通しているのは、年齢を考えればおかしいのだが、姉はさも直撃世代の一員であるかのように「武史(たけし)がさー、シグマがさー」と熱を込めて語るのである。私など、六花の太腿とアカネの魔法少女化(もう公式に情報が解禁されたので書いてもいいでしょう)とよもゆめのイチャイチャぶりに気を取られて、『~ユニバース』の作中に仕込まれた特撮版由来の小ネタにほとんど自力では気付けなかったというのに。


 と、普段なら「うちの姉はどうしてそこまで知っているのか」と疑問を投げて終わるところだが、今回は私にも心当たりがあるのだ。

 2001年にミリオン出版から刊行された『SFヒーロー まぼろしの冒険伝説』というムックがある。これは、副題に「続編、外伝、スピンオフ徹底研究」とあるように、戦隊シリーズの米国輸出版である『パワーレンジャー』をはじめ、特撮作品の外伝・リメイク的な作品を多く取り上げた解説本だった。この本がたまたま我が家にあったのである。兄が買ったのか、姉が買ってもらったのか、詳しくは分からないが、小学生の時分の姉はこの本を熱心に読み込んでいた。パワーレンジャーに関するページは私も読み、タイムレンジャーの「タイムジェット」と「タイムフライヤー」は向こうでは名前が逆になっているとか、ライトスピード・レスキュー(ゴーゴーファイブ)の変身シーンは後年の『仮面ライダー(ブレイド)』の「変身畳」のような演出であるといった知識をここで初めて得たのを覚えている。後に聞いたところによれば、当時、戦隊シリーズの『超全集』に僅かな紹介が載っているに過ぎなかったパワーレンジャーシリーズについて、ここまで詳細に解説した書籍は他になく、国内のパワレンファンにとっては先駆的な一冊であったらしい。


 それはともかく。(くだん)のグリッドマンの続編『魔王の逆襲』や、パワーレンジャーと同様の米国版である『スーパーヒューマン・サムライ・サイバー・スクワッド』についても、この本で詳しく解説されていたようだ。当時の姉は、グリッドマンのタイトルと存在自体は知っていても、本編を観たことはなかったはずだが(何しろ、視聴手段といえば小さな街のレンタルビデオ店しかなかった時代である)、続編や米国版に関する情報をこの本から得ることで、まだ見ぬ本編にまで理解と愛着を深めていったのだろう。とすれば、アニメ化に伴う近年のグリッドマンブームについて、リアタイ勢さながらの感慨を彼女が覚えるのも頷ける話ではある。ついでに言えば、アニメ版の『SSSS.GRIDMAN』というタイトルが発表された際、それがかの米国版(Cyberの綴りをSyberに変えてSSSSに揃えてある)へのオマージュであることを瞬時に察した、一握りのファンの一人であったことは想像に難くない。


 そんな姉だが、アニメ版に関してはいわゆる「ヒロイン萌え」の概念もちゃっかり持ち合わせているようで、4週目の入場者特典は六花とアカネのクリアファイルだからまた劇場に行かなければ、などと先程もTwitterで言っていた。こんなことを書いていると私もまた観たくなってきたので、クリアファイルを貰いがてら行ってこようか。未見の方も一度は劇場で観ておくことをオススメしたい。六花の太腿とアカネの魔法少女化とよもゆめのイチャイチャぶりと、その他多くの感動と興奮が詰まっているので。

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