表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

衝撃の真実

どうやら突撃してきた侵入者は女だったようだ。色白で、金髪で、Cぐらいはありそうだ。


八代はまだこの外界の情報が乏しい。地球という概念すらあるのかわからない、いやおそらくないところで、雪山の洞窟ダンジョンで、一人寂しくゴーレムを作り終えたばっかだった。


一応、結晶のようなものをもらったが、あの神様かわからん奴は、これからなにをすればいいとか、具体的な行動までは教えてくれない。


そんなときに、この女が現れた。今では元同族であり、本来ダンジョンを攻略しよう者であろうが、なんか状況が状況ではあるわけで、弱ってるみたいだから、捕虜にしても問題ないよね?


八代は捕虜というが、実際はやっと神様以外に話ができそうな生き物に出会ったのだ。一人と一体という沈黙の中で、偶然に訪れた天啓みたいなものだった。


そうして喜んでいると、その女が目を覚まそうとしている。その目はブルーサファイアといえばいいのか、清く美しかった。


彼女は、八代が近づいてくると、その顔を見て、あ、あなたは、さてはダンジョンマスターですね!と後ろに下がって何かを持つように構える。


しかし、彼女はその手に何も持っていないのに気が付いて、あれ?ない?ないの!?、とわかりやすく動揺した後、八代に「あの、私の長い槍を知りません?知ってたら教えてほしいのですが?」と急にへりくだるように自分の武器らしきものの所在を聞いてきた。


八代は、一瞬で敵認定されたのに驚いているも、途中で武器がないことに気づく彼女を見て、なんか残念な人だなという印象を抱いていた。


こんな寒い中、何かに逃げ出したのはわかる。クマとかいそうだから。しかし、パニックになって、武器を放って、敵の陣地に逃げ入ってきたのだろう。はっきりいって、落ち着きがない。仲間がいてもはぐれそうだ。


そんな彼女が、槍を探している、ときいて、八代は本当にそんな槍なんか知らなかった(知っていても教えなかった)が、容姿だけは悪くない彼女に、なんかいたずらをしたくなってきた。


八代は、彼女に笑顔で、「えっと、槍ってこのことですか?」と自分の下腹部を指さした。


すると、さっきの反応からして、すぐに体に現れてしまう彼女は、キャー、と実物を見たわけでもないのにのけぞって八代のほうを見なくなってしまう。初心というか、オーバーというか。


八代は、こういういたずらは、さすがに以前の世界ではできなかったので、彼女の反応も含めて新鮮に感じていた。


しかし、八代は気を取り直す。こんなことをしてはいたが、自分が有利な状況で、情報という強力な武器を取り逃すことはない。


八代は、アイスゴーレムを傍に控えて、彼女に詰め寄っていく。もはや、うずくまっている彼女には、こちらが近づいてくることも見えていやしない。


八代は、「こんばんは、私はダンジョンマスターというものです。もう敵認定されたので隠さないんですが、あなたの敵になる者です。さっそくだけども、外の状況を教えてもらおうか。」と話しかけると、怯えを顔に張り付けたような彼女の顔がこちらを向く。






「お願いします。何でもしますから見逃してください。私、見た目はこんなだけども、お姫様でも何でもないし、ただの市民だから。あ、メリーっていうんです私。

貴族がうっとうしくて、家を飛び出したら、急にこの辺一帯が雪山豪雪地帯になってて、周りも騒いでたから、その狂乱に乗って、武器だけ持ってきたんです。

それで、あまりに寒くなって、なんか雪が一か所だけ動くような場所があって、埋まる前に走ってここに来たら壁に激突したわけです。冒険者でもないので家に帰らじでぐだざい。」





メリーと名乗る彼女はそう必死に訴えかける。すごいスラスラと近辺の状況述べるな、と八代は驚いていたが、重要な事実もあった。


この豪雪地帯がつい最近できた?出現するの!?、と最初から雪山に転移したことで話を進めていた八代だったが、その実、最近できたというらしい。


なんかつながってしまう予感がする。八代は、自分がここ最近この世界に飛ばされ、やったことといえば雪かきと低級召喚だ。


神様らしき者に聞いた情報だって、雪山で納得していたから、いつからあるのなんて気にするわけない。


でも、やっぱり腐ってもダンジョンマスターっていう肩書きがあって、割と周り雪だから防衛しやすいのかななんて考えてたが、全部俺の影響だったってことだよね。


そうか、これ全部俺の力、ってんなわけないだろ!雪操れねーよ。全部手作業だろコノヤロー。


そして、彼女だが、武器を勝手に持ってきて、勝手に入ってくるなんて、窃盗と住居侵入罪なんだが。


多分、訴えても勝てないし、でも小娘だから物理的に勝てるし、やっぱり捕虜のままで行こう。


八代がこのままこもっていればいいんじゃないかと思っていると、メリーがあ、という風に忘れていたことを思い出した表情のまま、口を開く。





「そういえば、一週間くらいで軍による調査が行われるらしいです。屈強で数が多いので、すぐ見つかり次第殺されてしまうかもしれませんね。私もろともですけど。」





なんか不吉なこと言ったね、コイツ。軍とか、しょっぱなから正気ですかい?


あと、自分もろともって、捕虜の意味はないのか、そうなのか!


彼女の爆弾発言により、軍の討伐隊が組まれることを知った八代は、洞窟にこもってもいられない事態に巻き込まれていくのであった。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ