04 順調すぎる戦
この物語を進めるにあたり、大きな設定変更をいたしました。
文章上におけるおおきな変更はございませんので、こちらで、ご確認いただければ、幸いです。
①コルトールをベックとの兄妹にする。
②コルトールの星の能力を金星に変更
③星の能力の数を一つから複数個として変更
以上が設定上における改変です。
そのため、この設定に合わせるよう、それぞれの話において、改訂いたしました。
文章上での大きな変更はございませんので、そのままお読みいただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。
翌日
「皆の者、ここまで、順調に皇国軍は後退していっている。今のうちに叩けるだけ、たたいておけば、今後我が国は優位に立つことができるであろう。気を抜かずに、行くぞ!」
「「「おおおーーー!」」」
そんな雄たけびが、王国軍の野営地のある平原にこだまする。
前までは、皆、死にそうな表情をしていて絶望していたせいか、そんな士気が高くなかったのに、皇
国軍を打ち負かし始めてからは、段違いなほどまでに士気が上がている。
「それでは、皆の者出陣!」
「「「おおおーーー!」」」
ブライタリー伯爵の言葉に呼応するかのように雄たけびを上げる、兵士たち。
そうして、皇国との戦いに火ぶたが再び切られた。
★☆★
王国軍は、順調に皇国軍を押していった。
明らかに、王国軍が皇国領を占領していった。
皆、忌まわしき皇国軍、ましてや、敗北を連続という辛酸をなめさせられていたのである。
当然、士気は右肩上がりにうなぎのぼりであった。
でも、そんなことでさえ、俺は何かおかしいと考えてしまう。
今さっき、終わった皇国軍との戦争でさえ、勝ったのだ。
今まで、皇国軍に負けてきた、負け戦してきたばかりであったのに、だ。
明らかにおかしい。
そう感じさせられるほど、あまりにも王国軍が勝ち進めているのである。
こういっては、王国軍の一兵士として、ひねくれているのかもしれないが、王国軍が皇国軍に勝つなんてありえない、もっと言えば、王国軍は負けるはずであったのである。
皇国との圧倒的な戦力さ、そして、技術の格差を見れば、一瞬でわかることなのである。
それが、こんなにも勝ち戦が続くことに違和感しか覚えない。
次の戦でもかつ。
次の戦でも勝つ。
勝つ。
かつ。勝つ。勝つ。勝つ…。
そんな風に、あっさりと、皇国軍に勝って行き、皇国の広大な領地の五分の一まで来た。
さすがにこんな順調にいくのはおかしい。
そう思った俺は、言わずにはいられなかった。
「ブライタリー伯爵、少しよろしいでしょうか。」
「…平民の一般兵が私に何の用だ。」
「折り入って、お話ししたいことがございます。」
「…平民が貴族に口をたたくとは、いい度胸だな。…だが、今の私は大変に機嫌がいい。話を聞いてやらんでもない。」
「ありがとうございます。」
ブライタリー伯爵の平民を睥睨する冷たい視線が俺に突き刺さる。
だが、俺はそんなものに物怖じせずに、言いたいことを言った。
「王国軍は、皇国軍に今のところ全戦全勝をしております。…今までの敗北が考えられないほどに。」
「そうだな。今までわが軍が敗北していたのは、士気の問題、そして、王国民であることに対する誇りの欠如であったな。」
いや、この人マジで何言ってんの?
皇国との間では、明らかに国力とか技術力とかその他諸々、いろいろな現実的な問題から負け戦であったはずなのに。
そこに誇りとか士気とか関係ない。
「いえ、そうではなく、わが王国と皇国との間には、おおきな国力の差や技術力の差その他諸々を鑑みても、負け戦であったはず。」
「最初から、負け戦であったと?…貴様は何を言いたい。」
ブライタリー伯爵は不機嫌を隠そうとしないが、それでも貴族としての矜持なのかそれともブライドなのか、怒りをあらわにすることはなかった。
今の時点では。
そんな俺は、貴族の怒りを買うかもしれない。
もしかしたら、処刑されるかもしれない。
それでも、俺の命一つで、軍全体の命が助かるのであれば、俺の命なんて容易い。
俺はそんな覚悟とともに、ブライタリー伯爵に端的かつ簡潔に直線的に事を述べる。
「端的に言いますと、この戦、あまりにも順調すぎます。何か皇国mの罠でもあるのかもしれません。今すぐ撤退…」
「何を言うか貴様!」
ブライタリー伯爵が俺のことあを遮り、近くにあった椅子を蹴り飛ばした。
「平民のくせに、貴族であるこのわたくしの作戦が間違っていたとでもいうのか!」
「…はい。」
ブライタリー伯爵が今度こそ俺を殴ってきた。
「おまえらへ平民は貴族のいうことさえ聞いていればいいんだよ。それに、今のところ勝ち続けている。そこに何の問題があるかっ!
お前はその王国民としての矜持はないのか。忌まわしき皇国軍に負け続けていた王国軍が快進撃をし続けているというのに、貴様はそれを否定するのか…。」
もちろん否定するつもりはない。
それでも、この戦あまりにも順調すぎるのである。
そこに途轍もなく違和感を感じるのはやはり俺だけであったのであろうか。
わからない。
でも、俺は今回ばかりは、ブライタリー伯爵に家あなければならないと思ったのである。
「しかし…。」
「しかしもくそもあるか!そんなもんお前の勝手な成り上がりだ!周りの兵士たちを見てみろ!」
そこで、俺はハタと気が付いて、周りを見渡す。
そこで俺に向けられていた目線は、
侮蔑、怒り、憤怒、嘲笑…。
様々な感情であった。
そこで俺は、ああと理解させられる。いや、否応なく理解させられてしまったのである。
今ここにいる王国軍の一般兵士たちが俺に向けている視線。
それは、俺に対する様々な表情、そして、感情。
俺は、ここにきて、完全に孤立の道をまた歩む羽目になったのか。
同じ志を目指していた、同士であったはずが、俺の発言によって、一気に敵となったのである。
考えてみれば当然か。
だって俺は、王国軍の行動を否定したのだから。
打倒皇国は民意一致。
それを俺が否定したのだ。
そりゃ当然だ。
こういう時よく、幼馴染に助けられてばかりだったな。
小さいころ、俺がよくいじめられていた時にも、幼馴染がいなければ、俺はいじめ続けられていたのだろう。
幼馴染がいないと何もできないとか、今でもそうなのか。
コルトールは現在別の専用個室にいるため、俺の状況なんて見えはしないだろう。
もし俺がこんな状況だったら、すぐにでもコルトールは駆けつけてくるだろう
いや、何を言ってるんだ俺は。
何を期待してるんだ。
やっぱ俺は、途轍もくそもない「神童たちの腰巾着」。
幼馴染たちにすがらなければ何もできない、くそ同然だな。
そんなことを思いながら、俺は、この状況から勝手な一人よがりだったなと。
そう思いながら、俺は口を閉ざすしかなかった。
設定上の大きな改訂を前書きに記しました。
ご確認いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします