表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

02 ブライタリー伯爵の独断

「お前ら、もっと真面目に戦わんか!」


指揮官となっている貴族が叫ぶ。何をのんきなことを言っているのか。こちとら、まじめに命を懸けて戦ってるというのに。


「前進するんだ。皇国軍に押されていては、王国民として示しがつかんぞ。お前らそれでも、誇りある王国民の一員か!」


貴族の指揮官がなにかをしゃべっているが、そんなことは関係ない。


こっちは、今は戦うことのみに集中しなくては、いつ殺されてしまうか。たまったもんじゃない。


「とにかく、前進だ!前に進め!これ以上、王国に汚らしい、皇国軍を入れるな!」


貴族の指揮官は、そんな、戦略もくそもないようなことを言って、王国軍を動かしている。


この国の貴族は、阿呆なのであろうか。


実際にも、戦争は、貴族たちの功績をあげる場所でもあり、そして、少しでも自分の地位を上げようよしている。


全く、こっちの身にもなってほしい。貴族連中は自己中心的な奴ばっかりしかいない。


「お前ら何をやっている!前に進めと言っているだろ!ええい、なぜいうことを聞かんのか!」


貴族の指揮官が、同じようなことをわめいている。

そして、このままでは、自分の地位が危ういと思ったのだろう。


貴族の指揮官は、とある決断を下した。


「おい、そこのお前。」

「は、はい!」


指揮官の男は近くにいた衛生兵に指示を下す。


「星を呼んで来い!」

「え!?星を呼ぶんですか?」

「そう言っている!さっさと連れてこんか!」

「え、でも、王都にいる中央軍に許可をもらわないと…」

「この場では、だれが一番偉いかわかっているのか!この貴族である、ブライタリー伯爵だぞ!私の指示に従え!」


そういって、貴族の司令官は、星を呼び出した。


この時の星であるが、もちろん、星とは、金星の力を持っているコルトールのことである。


本来、星の戦争参加には、王都にいる中央軍の総司令部に許可を取る必要があるのだが、この伯爵貴族は、独断で、星を戦場に出

そうとしているのである。


この行為は、貴族としても、ましてや、軍の司令部の指示に歯向かう行為でもある。


軍の司令部には向かうということは、王国にも歯向かうことになるのだが、この貴族はそのことを理解しているのであろうか。


「わ、わかりました!今すぐお連れ致します!」

「最初からそう言っている!なぜ、いていることがわからない。これだから平民は…」


ブライタリー伯爵は、司令官の男を侮蔑に近い目線を向け、それを恐れた衛生兵の男は、逃げるようにして、コルトールのところまで、向かっていった。


「お前ら、前進しろ!もうじき、星がお前らの増援に来る!」


ブライタリー伯爵の言葉で軍全体に安堵が広がる。


星とは、それほど強力な戦力でもあり、畏怖敬遠の対象でもあるほど、信頼もされている。


コルトールの幼少期からの正義感が強い性格あってか、国民からも信頼が厚い。


王国の最終兵器とまで言われるほど、協力でもある。コルトールが破れたら、王国は終わる。


こんな言葉まで、出始めるほどであった。


そんなことを考えていると、先ほどの衛生兵の男が戻ってきた。


「星である、コルトール様をお呼びいたしました。」


衛生兵の男が、ひときわ大きな声で叫ぶ。


軍全体に一層、安堵の意気があがる。


それに続いて、ブライタリー伯爵が、叫ぶ。


「お前ら、星が来たからには、戦勝必然!勝つ気力で望め!全速前進!」


その言葉を皮切りに、軍の行進スピードが速くなり、皇国軍を押し始める。


皇国軍は見る間に押されてゆき、王国の領地から完全に追い出された。コルトールの信頼度、そして、星としての力強さに改めて、俺は感心する。


「全速前進!皇国軍を皇国側に押せ!」


見る間もなく皇国軍が、どんどんと押されてゆく。


でも、なんかおかしい。先ほどまで、我々王国軍のほうを圧倒的な戦力で押していたというのに、こうも簡単に、皇国軍が王国軍に押されるのだろうか。


俺は、何か得体のしれない、いやな予感がする。


何だろうか、何か悪いことが起きる気がするのだ。


そう考えていると、指揮官の言葉に、思考を中断させられる。


「星が来たぞ!お前ら、星を前に出す!道を開けろ!」


指揮官の男がそういうと、ぞろぞろと、兵士たちが、道を開けてゆく。


そこから出てきたのは、プラチナブロンドの長い艶やかな髪をポニーテールにまとめ、瞳は真ん丸な可愛らしい髪と同じ色のプラチナブロンドな瞳。

スラっとしていて、誰もが、戦争中であることを忘れるほど、オーラを放っている。


俺も、その一人だが。


その時、一瞬目が合った。彼女は俺と目が合うと、悪戯に笑う。

ああ、やっぱり、見間違えるはずがない。


俺の大切な親友の一人である。コルトールだ。


オーラをまとっていても、笑い方や性格は変わっていない、まごうことなき、コルトールである。


そんな彼女が、入ってくると一瞬にして、軍全体が、静かになるが、それは一瞬のことで、刹那、一瞬で軍全体が沸き上がる。


こうして、ブライタリー伯爵の独断によって、星が、この戦争の戦力として、参加した瞬間であった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ