[第四話]親友の存在
学校の校門前にはたくさんの登校してきた生徒たちが歩いている。そして先生達数名が身だしなみチェックついでに挨拶をしている。
「皆さん、おはようございまーす!!」
「···」
みんな挨拶を返さない。恥ずかしいのか、先生が嫌いなのか。よく見る光景である。
そんな中。
「先生おはようございまーす!」
あいつは俺の唯一の親友であり、一番の理解者である。名前は神谷龍という。
かなりのイケメンで身長は俺と同じくらい、基本的に女子に囲まれているがあまり本人は女子が好きじゃないらしい。
化粧だの、スカート短くするだの、ばかみたいだといつも批判している。
俺は龍に今のこの状況を相談するため、あいつを追いかけて校門を走り抜けた。
「はぁ、はぁ···。」
俺は龍の近くまで走った。
走って学校へ来た後にまた走ったので息があがる。龍が俺のことに気づき振り返る。
「どうした?そんな息あがって。」
「どうしても話したいことが···あってさぁ···ちょっと来てくれ··すまん。」
俺は途切れ途切れになりながら龍に用件を伝えた。
龍は承諾し、俺についてきてくれた。
そして、一目につかないプール裏の花壇で止まった。
「けっきょく話ってなんだ?」
「ちょっと見ててくれ。」
俺はマイに仮の肉体で出てきてくれと伝えた。
マイは呪文を唱え始めた。
少し待つとまた、目がくらんでなにも見えなくなった。だんだんなれてくると、目の前マイがいる。
「巧さん、なにかありました?」
マイがこっちをみて尋ねている。
マイの後ろにいる龍はマイをみて固まっている。
少し待つと目が点だった龍が目を輝かせてこちらを見ている。
「その子はなんなんだ?」
「マイステアーっていう魔法使いらしい。」
「魔、魔法使い!?まじで!?」
なんか嬉しそうだな。
龍の存在に気づいたマイが尋ねる。
「巧さん。この人は誰なんですか?」
マイが俺に抱きついてきた。
しかも少し震えている気がする。
「こいつは俺の一番の友達だ。いわゆる親友ってやつだ。マイにひどいことしたりしないから安心しろ。」
「ほんと?」
「ほんとだ。」
龍がマイに話しかける。
「マイちゃん?であってるよね。僕は龍って言います。怖いことしないから、ね?」
「うん···」
マイ震えは止まったが俺から離れる気はないそうだ。そのあと、マイのことと俺に何があったのか龍に説明した。
「なるほどなぁ。ってことは巧もまだこの状況があんまり理解できてない感じ?」
「そーだな。わかってるのはあまりむやみに人には言わない方がいいってこと。あー、お前は特別だがな。」
「おっ、ほんとかぁー?」
「ほんとだわw」
俺と龍が笑いあう。
やっぱこいつとは気が合う。
「ってか、この子はめっちゃかわいいな。」
龍が唐突にマイのことをみて言った。
マイは恥ずかしそうである。
「そうかもな。」
俺は適当に流した。
でも龍は話をやめない。
「いや、かわいくない!?この茶髪。ちっちゃいこの身長。一番はこの魔女らしい服装!!」
こいつ···いやまさかな。
女子を嫌うこいつに限ってそんなw
とりあえず聞いてみよう。
「なぁ、お前ってさ。」
「うん?」
「ロリコン···じゃねぇーよな?」
少しの沈黙を挟み。
「ん、んなわけないじゃんw俺、女子にがてやしーw」
「だよなw」
いや、嘘じゃん!?わかりやっす!
俺は龍がロリコンだったという事実に驚いたが、そろそろ授業も始まるので話を切り上げ、教室へ向かった。
結局最後までマイは俺を抱きしめたままだった。