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Three Days  作者: PeDaLu
2/2

決断

運命の日に二人のとった決断とは。

二人はこのまま一緒にいる選択した。

四条司は極力階段には行かないこと。ずっと手を繋いでいることを絶対厳守で。


篠原亜紀は何かに躓かないように履き慣れたスニーカーで出掛けて四条司の腕にしがみついて歩くことを絶対厳守で。


「ねぇ、四条君、今夜は私の部屋まで来てくれるとうれしいんだけど、いいかな?」


大晦日の夜、篠原さんからそんな提案があった。部屋に行く……。女の子の部屋に行くなんて初めてだし。しかもこんな時間に。向こうの両親になんて言えばいいのか……。それよりも、彼女の部屋が二階だったらどうしよう。階段を上がらないと部屋に上がれない。

篠原さんの家の玄関にあがって一息ついた。


「亜紀、お帰り。ん?君は……確か先月うちの娘に付きまとって誤りに来た……うちの娘になにをしてるのかね?今度は警察を呼ぶよ?」


「お父さん。お母さん違うの。この人は私の彼氏なの」


篠原さんの父親は僕に鋭い目線を向けながら篠原さんに、本当か?とかだまされていないのか?とか話している


「すまない。疑ってしまった。上がって行ってくれ」


「……どうも。お邪魔します」


一つ目の関門、両親への挨拶、は越えた。次は階段だ。今日の本題だ。彼女は部屋まで一緒に来て欲しいと言っていた。なぜなのか分からないが階段を一人で登られるよりは都合がいい。

彼女の部屋に入る。女の子らしい部屋だ。彼女はベッドに座っていたので一瞬、よからぬ事を考えてしまったが、両親が家にいるのにそんなことはない。と自分に言い聞かせた。


元旦。2019年1月1日(日)部屋に到着したと同時に年が明けた。


「ええと……。あけましておめでとうございます?」


「あ、うん。あけましておめでとう」


ぎこちない。初めての彼氏、彼女、なんだし仕方ない。と互いに自分に言い聞かせる。


「今日はどうしたの?部屋まで来て欲しいって」


「ええとね……。ちょっとこっちに来て欲しいんだけど」


ベッドに座った篠原さんのところに行くと立ち上がった彼女に腕を組まれた。む、胸……。両腕で左腕を抱き込まれたので思いっきり胸が腕に当たる。


「ええと!?篠原さん!?」


嬉しいやらビックリやらで混乱して彼女の顔をのぞき込むとよりいっそう強く腕を抱かれながら「恥ずかしいから見ないで!」と怒られてしまった。


このまま彼と、この部屋に一緒に居れば。

このまま彼女と、この部屋に一緒に居れば。


「死の運命を避けられる」


互いに腕を抱き抱かれ、そんなことを考えながら数分。


「亜紀~!お父さんと初詣に行ってくるから留守番よろしくね~!」


一階から篠原さんの母親が声をかけてくる。

篠原さんと誰もいない家の部屋に二人きり。そしてこの状態。ゴクリ……生唾を飲み込んでしまった。


「その……座りましょうか」


「え?あ、うん」


ベッドに座る。腕は抱かれたままだ。どうすればいい?僕はどうすればいい?このままなにもしなければ彼女に恥をかかせてしまう状況?流石にこの状況は想定していなかった。先に口火を切ったのは彼女の方だった


「あのね?今日はね?私を守って欲しいの。どこにも行かないで、ここで私を守って欲しいの。お願い」


階段に行かなければ良い、これが今日の目的の一つだから是非に、というところだが、この状況は別の意味で非常事態だ。

こういうときは……。まずはキ……キスをすればいいんだっけ??



恥ずかしい……でも怖い。こうしていれば、あの予知夢の運命から逃げられるかな……。大丈夫かな……。四条君、ビックリしてるよね……。どんな顔してるのかな……。

恐る恐る顔を上げて四条君を見ると……。


「きゃっ!」


すぐそこに四条くんの顔があって思わず突き飛ばしてしまった。腕が離れた。怖い!


「ちがう!ちがうの!!」


そう言ってベッドに倒れ込んだ四条君の腕に飛びついた。つもりが四条君を抱きしめてしまった。


「~~~っ!」


「し、篠原さん!?」


僕は混乱した。腕に抱きついてきて、突き飛ばされたと思ったら、今度は抱きつかれた。

篠原さんは僕の胸に顔を埋めている。泣いて……いる?


「あの……ね?あのね?ごめんね。こんなことして。でも……でも四条君に守って貰いたくて。私……私、今日死んじゃうかも知れないの。だから……助けて。お願い……」


まさか。僕の予知を彼女は知っている?そんなわけはない。彼女にこのことは言っていない。それに今までそんなことは起きたことがない。


「ちょっと待って。今日死ぬってどういうことなの?僕が守るってどういうことなの?」


「ええとね……。信じて貰えるか分からないけど、私、予知夢を見るの。必ず当たる訳じゃないけど、良くない夢は当たることが多いの。それで、今日、私が死ぬっていう夢を見たの……。だから、その夢が現実にならないように私を守って。お願い……!」


驚きだ。僕以外に未来を見れる人がいるなんて。この状況は置いておいて、まずは確認だ。


「し、篠原さん。その予知夢ってもしかして何かに躓いて死んでしまう、という内容だったりする?」


「なんで……なんで分かるの!?」


「驚かないで聞いて欲しいんだけど、僕にも未来が見えるんだ。そして、今日、篠原さんは僕に躓いて階段から落ちて死ぬ、という未来を見たんだ。いつもは死ぬ、という結果しか見えないのに、今回の予知は具体的だったんだ」


「同じ……同じ!私もいつもは死ぬ、という結果しか見えないのに、今回は躓いて死ぬ、って予知夢を見たの!」


お互いに未来が見える事を知った僕たちは具体的にどのように未来が見えるのかを確認しあった。その結果がこうだ


・僕は3日先の結果だけの未来が見えるけど、今まで一度も当たったことはない。そしてこの予知が使えるのは3日に1回だけ


・彼女は4日先の結果だけの未来を予知夢でみる。そして当たったこともあり、悪い夢ほど的中率が高い。予知夢は予知夢の事を考えてしまった夜に見るが、最短で4日ごとだという


「ねぇ、これって……」


「ああ。そうだな。僕が見た未来を一緒にねじ曲げれば過程が変わって、篠原さんの見た予知夢の結果が変わる可能性がある。悪い未来ほど当たるのなら、そういう夢を見たときに僕が前日の未来を見れば対処が出来る!」


僕たちは更に抱き合って喜ぶ。


「よかった……私、死ななくても済む……よかった……」


コンコンっ


「えーっと、おねぇちゃん。盛り上がってるところ悪いんだけど、隣の部屋まで声が聞こえてるんだけど。ドアを勝手に開けたのは悪いけど、まさか最中だとは思わなくてさ」


「ちがっ!ちがうの!!これはっ!」


篠原さんが勢いよく起きあがって僕から離れる。


「あっ!」


そのあとすぐに起きあがった僕の腕にしがみつく


「あーあーあー。分かりました。お邪魔さまでしたー。ごちそうさまでしたー。私は出掛けるからどーぞ気兼ねなくー」


「だからこれは……!ちがっ」


バタン……


これは完全に勘違いされたよな。僕は嬉しい限りなんだけど、篠原さん、妹さんとこのあと大変だろうなぁ。


結局、その日は日付が変わるまで一緒に居たけども、なにも起きなかった。篠原さんの両親には受験勉強をしている、という事にしておいたけど、帰り際に妹さんから肘で背中をグリグリされた。


日付が変わったのになにも起きなかったということは元旦の死の運命は回避できたことになる。

僕の次の予知結果は1月5日(土)のはずだ。彼女は1月6日(日)のはずだ。彼女が予知夢で見る6日の結果を前日の5日に見た僕の結果をねじ曲げてしまえばきっと大丈夫。それに死ぬ結果になるわけとは限らない。


元旦の翌日。1月2日(水)には僕も彼女も未来予知を見なかった。念のため、冬休み最後の土日は一緒にいることにした。泊まりである。流石に二人きりはお互いに両親の許可はとれないだろうと、それぞれの友人、を誘って4人で篠原さんの部屋で勉強をしつつ寝泊まりした。6日(日)も日付が変わるまで僕だけ篠原さんの部屋に残った。

定期的に妹さんが飲み物を持ってくる。きっと篠原さんのご両親がなにか間違いが無いように妹さんに監視もかねて行ってきて、とでも言われているんだろう。


結局、土日もなにもなかった。なんの予知も見ていないのだから当たり前かも知れないけども。

翌日もお互いになんの予知も見なかった。お互いに予知について打ち明けたからだろうか。それから何ヶ月か経ったけどお互いに未来予知を見ることはなかった。


いつまた最悪の未来予知をするか分からない。僕たちはいつまでも一緒にいればなにがあっても大丈夫だ。未来予知なんか気にしないで僕たちで未来を見据えて行けばなにがあっても大丈夫だ。


なにがあっても負けるもんか。


【エピローグ】


「あーあ。終わっちゃった。あのままお互いにいつ死ぬか分からないってあたふたしてて欲しかったのになぁ」


「お前はいつもいやらしいんだよ。カップルを作るのになんでそんなに回りくどいことをするんだ」


「いーじゃない。曲がり角でぶつかってそこから恋が、とか今時、流行らないわよ。もっとドラマチックでスリリングな出会いが流行りなのよ。私の中では」


「で。次はどうするんだよ。今年のカップル正立目標は結構多いぞ。チンタラやってたら目標届かなくボーナス減るぞ」


「分かってるわよ。でもあっさりしたのはつまらないからぁ、次はこうしましょ。お互い他人の寿命が見えるの。でも相手の寿命は見えないの。いつ死ぬのか分からない二人は……」


「あーはいはい。それでいいよもう。こんなヘソの曲がった天使なんて普通いないぞ?」


「あら。それに付き合ってるのは誰かしら?」



ある日起きると家族の頭の上に数字が見えた・・・。

いかがでしたでしょうか。

エピローグも含めて、こんなことを仕掛ける側になったら、さぞ楽しいだろうなぁ、とか捻くれた思考で書いてみました。

仮に皆さんに同じような能力が生まれたとしたら、どうしますか?

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