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賊・逢魔倶楽部(完結済み)  作者: オルタ
二話「明るい復讐計画」
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ヒロピン注意報

 西欧歴1046年 4月28日(日)

 コヨーテ(逢魔梓あるいは木立天)



 チート。


 転生者一人一人に、個別に与えられた特殊能力。


 ある意味、転生体という画一化(パッケージング)された奴らに与えられた『個性』なのかもしれない。


 確かに、転生者の武器として生成される刃留在バルザイも、個体によって違いはある。でも、あれは牙だとか爪のようなもの。ある程度の傾向がある。極端な話、相違しているのは得物の間合いだけ。


 チートに関していえば、今まで同じ能力を見たことがない。


 だから、今回の転生者狩りのように、相手のチートの内容を把握していないと、対応が難しくなる。


 そして、チートで『肩透かしを食らう』ことは無い。大池の片腕が取れて、床に落ちたとしても。


 床に落ちた大池の腕は、そのものが自律して生きているかのように、指を節足替わりにして地面を這い回る。


 私が今取るべき行動。大池の右腕を『毒溜みの巫子』の腕から生える刃――『毒溜みの剃刀』で突き、愛素マナを吸い取って無力化してしまうこと。


 けど、あの右腕がどんな行動をするか、まるで予想がつかない。たとえば、もしあの右手が爆発したら


――今は後手後手。やむを得ない。


 転生者の大池は刃留在――棘の生えた楯を構え、ゲスブラザーズ共は鬱陶しい。あの腐れオークと駄目ゴブリンは、共に伸縮可能なつっかえ棒にスタンガンをダクトテープで括り付けた『さすまた』とも呼ぶべき得物と、恐らく改造済みであろうガスガンを持っている。しみったれた装備、されど人間の、それも女の身には余りある脅威。寒い冗談の権化みたいな奴らのクセに。


 四対一。多勢に無勢。


 最低でも、童子様が来るまで持ち堪えないといけない。


 今回は、流石に無茶が過ぎたかな?


「ちねええええ!」


 ゲスブラザーズ共は、ガスガンを乱射する。私はテーブルを倒し、楯にして防ぐ。流れ弾が窓ガラスやバーラウンジの酒瓶にぶち当たり、ヒステリックな破砕音で耳がつんざく。


「あっブね! クッソォ!」


 連中の改造ガスガン。耐風効果がある窓ガラスや、椅子の背もたれ板を貫通しているところを見るに、異様といっても差支えない威力。


「周り込むでゲス!」


「年貢の納め時でえコヨーテえええ!」

 踏み倒す! 今はちょっと足がないけどな!

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