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賊・逢魔倶楽部(完結済み)  作者: オルタ
二話「明るい復讐計画」
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転生者狩りコヨーテのコスプレシピ

 西欧歴1046年 4月25日(木)

 逢魔梓(コヨーテ、あるいは木立天)


 セーフハウス内の私の自室。装備の点検に移る。


 まずはガスマスク。これは特注品。犬のようにノーズが長い。防塵防毒機能付き。フィルターを確認、特に気になる汚れはなし。ボイスチェンジャーは、気休め程度に多少設定を変えておく。


 コート。灰色。防刃用繊維と防弾用繊維を重ね合わせた装備。魑魅魍魎を調伏する布札を、私自身の髪の毛で縫い合わせたもの。私の意志で自在に飛び回り、髪の毛の針を突き刺して超常を鎮める。陰陽師の式神行使と分け御霊を応用したもの。転生者相手にでも幻惑と足止めに使える。以前の転生者狩りでバラバラになったコートの切れ端達に、私の血をインクに呪言を書き重ね、また一着のコートとして髪の毛を糸代わりに縫い直す。かつては、このコート一着だけで、並大抵の妖怪は黙らせられたんだけどね。


 上着のギア。これも気休め程度に、急所防護用に厚さ二ミリのプロテクターが縫いこんである。転生者の膂力と刃留在(ばるざい)には乾物の昆布ほどしか用を為さないけど、ちょっとした破片がぶっ刺さって致命傷、なんて締まらない事態は防げる。最大の難敵は洗濯。


 灰色のスキニ―カーゴパンツ。これはそこら辺の古着屋で買った。多分、ブルーカラー用衣料店で扱っていたモンだろう。ポケットが全部で八つ。夢と獲物をいっぱい抱えた欲張り蛸さんにもおすすめ。便利。素材が薄いので冬場は寒いけど。ほころびを修繕。


 手袋。指紋を採取されないように、でも触覚はキチンと分かるように、かなり薄い素材で作られている。コイツは赤土財閥もこっそり開発に協力してくれたオーダーメイド。


 ブーツ。玄能みたいに厳つい見た目に違わず、靴としてはやや重い。それでも、踏み抜き用の鉄板はどうしても欲しかった。どんな罠が仕掛けられるか分からないし。靴底は、逢魔一族に伝わる特別製の樹脂を煮固めたものを張り付けてある。音が出づらく、埃などがくっつきづらいから滑りにくい、良いとこどりの特製ソール。問題は、べらぼうに摩耗が早いのと、この樹脂を靴底に張り付けるたび、自分で溝を彫らないといけないこと。いずれ、靴底の模様で所持者が特定されることもありえるので、安易に市販品は履けない。


 特製の香水。警察犬の臭いによる調査を防ぐための特殊ブレンド。犬が嫌がるフェロモンを混ぜてある。原料は記さない。それはその……あの、うん、ここでは記しづらいブツを使ってるからね。


 そしてみなさんお待ちかね。対超自然用霊威射出筒『ハバキ』の点検の時間がやって参りました。男ってなんか銃好きな人多いよな。


 ハバキは、鉄板みたいなブルバレル(反動制御用の重い銃筒)を採用した、リボルバーによく似た形をしている。だけど、コイツは厳密には銃じゃない。そもそも銃口だって空いてない。血液内にある霊性を圧縮させ、それを弾丸として株出させる武器。かつてはコイツ一丁あれば、大妖とも大立ち回りができるほどの業物。性悪な妖怪を取り締まるタフなダーティ・ハリーにも、人間社会を未開拓の自然の猛威から護るワイアット・アープにもなれた。


 でも、転生者相手には、けん制用にしかならない。しかも、これが無いと転生者への接敵は困難。当然、ハバキの点検整備は念入りになる。命綱だよ。もっとも、命綱のフックを括る箇所はないけど。


 リボルバーの回転式弾倉がある部分に、触媒となる血液を入れておく円筒のシリンダがある。コイツを摩尼車にごとく回転させてやると、血液が撹拌されて、霊力が抽出される。その圧縮した霊力を、第二触媒である鋼鉄のバレル部分が伝え、霊威の弾丸が飛んでいく、という仕組み。シリンダー内の血液を撹拌させるほど、霊力は大きく抽出され、弾丸の威力は上がる。実質的に血液が弾丸になる。エコロジー。薬莢も必要ないし、株出音もない。


 コイツを分解点検。本当なら、実際の銃器と同様に毎日点検するべきなんだけど、この装備を含むコヨーテの衣装は、カグツチには置いておきたくなかった。


 血液を注入しておくシリンダを点検、中が錆びていたり、カビが生えていないか確認。


 フレーム、ガタつき、亀裂なし。


 各種バネ。錆なし、バネの緩みもない。


 各種ネジ。締める時にミスって、十字穴が少しナメたものがあるけど、それ以外は問題なし。


 バレル部分、外観に歪みや亀裂もなし。霊力伝導パスやコンデンサにもヒビや気になるところは見当たらない。


 古いグリスをウェスでぬぐって、新しいグリスを塗り直し、組み立てて完成。ちょっとした達成感。


 ハバキを握って、宙を狙う。


 バーン。

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