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賊・逢魔倶楽部(完結済み)  作者: オルタ
二話「明るい復讐計画」
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冷えたタイと、フラトリサイド

  逢魔梓(木立天、あるいはコヨーテ)



 みずめは目を覚まさない。


 神詰パワープラント事故から、一度も目を覚まさない。


 心臓は鼓動を絶やさず。脳波もある。


 でも、目覚めない。吉夢に微笑むことも、悪夢にうなされることもない。


 あえて。あえて、誰か知っているなら教えて欲しい。


 今の彼女は、生きているの?


 沈黙ほど、惑うものはない。まして、生あるものの寡黙は。


 みずめは、今は何を感じ、何を思っているのだろう?


 幸せ?(いや、まさか)


 それとも、指一本自由にできない身体の棺に魂を横たえて、それを強いている私を恨んでいる? 異次元の神と呼ばれているモノの手に、その生を弄われたまま。


 それとも――


 頭がこんがらがってくる。


 みずめに会うたび、こうやって彼女の首を、そっと掴んでいる。


 いっそ、このほっそりとした首を絞めてやることこそが、彼女にとって一番の救済なんじゃないか――そう逡巡しているまにまに、彼女の強く温かい首筋に、熱い脈が駆けめぐっていくのを、冷えて脂でベタつく、モタつく私の手のひらが――。


 そこからいつも、私は慌てて手を離す。


 変わらない。何も変わらない。


 現実も悪夢も、それらは延々と、どこかしら壊れていきながら、騙し騙しで続いていく。


 私は備え付けのパイプ椅子に腰かけた。重々しさに、軋みを上げる。


 息をつく。


 そうだ、みずめと、話をしよう。


 また、話をしよう。


「みずめ。

 この前さ、めっちゃ面白い子に会ってきたよ。

 しかも、その子に助けられちゃってさ。

 いや、本当命拾いしたよ。危ないところだった。

 ほんと、ダメな姉ちゃんだよね――」


 私は、みずめよりも三〇秒早く生まれた。


 そしてみずめは、私よりも十年長く生きていたかのように、それは出来た妹だった。


 双子って、どうもどちらかが劣性になるらしい。それが私。


 比べられたことは数え知れない、何も感じなかったワケでもない。


 それでも、私が倒錯しているとしても、大事な家族だから。

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