表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

 メメメは普段、この校内の敷地にある専用ラボで、VRグラス用アプリの開発をしている。

 そして俺はそのアプリのテストユーザー兼助手としてメメメに協力している。

 ロリ属性がある訳でもないのに、どうして俺がこんな面倒なことをしているか。

 それはメメメへの協力の報酬として、コココさんが毎日料理を作ってくれるからだ。

 そのお陰で、俺は親と絶縁状態で仕送りのない状態でも、アルバイトをせずに悠々自適な高校生活を送ることができている。


「さあ目覚 めよ。勇者 よ」


 イヤホンからボカロイドの声がして、俺は目を開けた。


「ん、あれ……さっきと変わらんぞ」


 そこはVRグラスを掛ける前と同じ、ラボの中だった。

 だが、全く同じという訳でもない。

 さっき隅っこに片付けたゴミが消滅しているし、ちゃぶ台の上のスピーカーも消えている。


「存在はしているんだよな」


 試しに手を伸ばしてみる。

 すると確かにそこにはさっきのピザの箱の感触がした。

 ということは、やはりこのラボの風景も本物ではない、メメメが生み出したものなのか。


「……で、当人のメメメは?」


 畳の上にいたはずの、メメメがいなくなっていた。

 とすると、メメメの姿もこのピザの箱同様に透明化しているのだろうか。


「直里」


 その時、メメメの声がした。

イヤホン越しなので、声の方向は不明。


「メメメ、どこだ?」

「直里。助けて……」


 いや、さっきまでそこにいたよね?

 メガネを外してツッコみたいところだが、そうするとゲームオーバーになってしまうので仕方なく話を合わせる。


「助けてって……今回はどういう趣旨なんだ? クッパにでも攫われたのか?」

「クッパ? 何それ。分からない……」

「マジかよ、お前」


 ニン●ンドーが作った世界のスーパーマ●オだぞ?

 それを知らずによくこの平成の世で呼吸しているな。


「ここは……暗くて……狭い……空気の籠った部屋……」

「……暗くて狭い……空気の籠った……ということは」


 俺は畳に上がり、ガラリと押入れを開けた。


 その瞬間、シャララランというゲームっぽい効果音。

流星のような、小さな光が大量に飛び出した。


「……直里」

「やっぱり……いつの間に隠れたんだよ」


 押入れの上の段、布団の上にメメメはいた。

 こちらに背を向けて、畳んだ布団の上に横たわっている。

 メイドみたいな恰好をしているのは謎だが、その辺りはスルーしよう。


「おい、寝たふりをするな。起きろ」


 肩を揺さぶり、起こそうとする。

 しかし、無反応。


「……無駄です。私は呪いで起き上がることはできません」

「呪いね……」


 中二病か。


「で、どんな呪いなんですかね?」

「私は元々、人間とエルフの間に生まれたハーフエルフ。でもある日、私は身体を奪われ、このマキナに魂を閉じ込められてしまった」

「よくある設定だな」

「私の呪いを解けるのは勇者だけ。さあ、直里、私の手を握って」

「手、何で?」


 寝返りを打つようにこちらを向き、さりげなく左手を差し出す。


「この身体を動かす方法は二つあります。そしてそのうちの一つとは、勇者の聖なるエネルギーを私の魂に送り込むことです。そうすることで一時的に呪いは解除され、マキナは起動します」

「……よく分からんが、つまり俺がお前に触れれば目が覚めるって設定か」

「大体そんな感じ♪」


 どうでもいいけど、しゃべっている時普通に口動いていますよ。


「……なるほどね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ