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4日目-3

言い逃れができないと察したのか下を向いていた鈴木さんが顔を上げる。

「そうだよ。俺と山田春香は姉弟だよ。太田は俺が殺した。あの写真を見たってことは俺が春香の格好して殺したって分かってんだろ?」

「そこまでは分かったが、どうして太田を殺したんだ!!」

突然の自白に驚いた八木刑事が声をあげる。

「あのクソヤローは春香にすべての罪を押し付けて自殺に見せかけて殺したからさ。」

「やっぱり殺されたのか?でも、どうやってそれを知ったんだ?」

八木刑事もあの最後の太田の言葉で想像はしていたのだろう。

「俺と春香は親が別れても仲良かったからいろいろ遊びにも行ったし電話やメールのやり取りはしてたんだ。

仕事の愚痴とかもいっぱい聞いたな。夏樹も働き出したら大変なんだぞーってよく言われたよ。

春香には本当に悩んでることがあると手紙を書くんだ癖があるんだ。

悩みを紙に書いて読み返して客観的に判断したいんだとよ。それでも悩むときは書いた紙を封筒にいれて郵送で俺に送ってくるんだ。

わざわざ送ってくるな、電話でいいじゃねーかって言ったら、届いたら電話くれるし、夏樹に配達してもらうまでの時間で少しでも気持ちの整理できるでしょ。って笑ってたな。

春香がスマホに遺書を残してドアノブで首をつって自殺したって聞いたときは信じられなかったし本当に言葉にならないぐらい悲しかったよ。

俺が春香の最後の手紙を読んだのはアイツが死んで2週間たった後だったよ。

春香のアパート片付けたり、落ち着かないお袋と一緒にいたからな。

アパートに帰ったら郵便受けに春香の手紙が入ってたよ。

太田にはめられてやったこともないことがすべて春香がやったことになって仕事をクビになったって。お母さんには言えないし、どうしよう。

誰に相談すればいいんだろう?細川さんも関わってるんだろうか?信じてたのに。そうしたらどうすればいいんだろう。せめて、やってないっていう証拠を渡してから辞めたいって。って書いてあった。

手紙をみた俺は春香の言ってた証拠を探したよ。でも見つからなかった。

警察に言ったけど春香のスマホに残ってた遺書があったし自殺として処理も済んだし、春香の遺体は燃やしてしまったし部屋も片付けてしまったから再調査できないって言われたんだ。

手紙には死にたいとか書いてなかったし、証拠も渡さないで自殺なんてするわけない!太田は飲み会の帰りとか何回か春香のアパートまで送ってくれたって春香が言ってたからのアパートを知っていたし、太田が証拠を持っていったんだって思ったんだ。

俺は春香のことを忘れたくなくて、春香のアパートに引っ越した。

ずっと太田に春香のことを聞きたかった。でも接点がなかったんだ。聞いてもはぐらかされると分かってたから確実に聞ける方法を考えたんだ。」

「それで、あの作り物の動画か。」

八木刑事がつぶやくように言う。

「そうだよ。春香本人なら本当のこと聞きだせると思ったんだ。だから春香の格好をして会いに行こうと思った。俺達姉弟は似てたからなんとかなると思ったんだ。。

春香の格好でいまさら会いに行っても信じてもらえないだろうから、心霊動画を作ってあたかも春香が幽霊としているように見せてから会いに行けば春香だと思って本当のことを聞きだせるって思ったんだ。

怖がりの春香が心霊現象のロケ班に行きたくないとか仕事の愚痴を聞いてたからどんなことをしてるか知ってた。

だから春香を教えてた太田も同じ仕事をしてるって思ったから心霊動画を送ればアイツに会えるって思ったんだ。もちろん太田に届くように調べて送ったよ。

そしたら、太田と会えた。

あの夜、1人きりの太田に春香の格好で会いに行ったよ。

あの動画が春香だって思ってたみたいですごいビクビクしてたよ。

部屋に来た春香の格好をした俺を見て急に謝りだして、やっぱり太田が春香を殺したんだっ。こんなヤツに春香は殺されないといけなかったんだろうって思ったら気がついたら延長コードでアイツの首を絞めてたよ。

死んだアイツを見て怖くなって、春香が死んだ時のようにドアノブに括りつけて部屋を出たんだ。ホテルに帰ったけど、気になって朝早くチェックアウトしてアパートに帰って来た。そして死んでる太田を確認して警察に電話したんだ。」

「鈴木さんは太田さんを殺す気で会いに行きましたよね?」

「そんなことはない」

「とは言い切れませんよね。だって凶器は鈴木さんの家の延長コードですし。

機材を設置した時に鈴木さんの家の延長コードを見た記憶がないんです。わざわざ凶器を持って太田さんに会いに行ったってことですよね?」

「そうだよ。持って行った。春香が死んでからずっと殺してやりたいって思ってたんだからな。

まぁ話の内容によっては殺さなくてもいいかとは思ってたけどな。でも会ったらダメだった。アイツの言い訳聞いてカッとなって首を絞めてたんだ。」

「詳しくは署で話を聞かせてもらおうか。」

「春香の墓参りしたいから1日だけ待ってもらえないっすか?明日必ず刑事さん達のトコ行くから1日だけ。」

必死な鈴木さんの姿にどうしようかと迷う八木刑事たちには申し訳ないが、俺がここに来た本当の理由を言わなければならない。

「細川さんに会いに行くんですよね?細川さんは山田春香さんの事件には関わってないから殺しちゃダメですよ。」

「「「え?」」」

3人全員が不思議そうにこっちを見る。

八木刑事たちは何をいってるんだ?といった雰囲気だけど、鈴木さんは何で知ってるんだ?といった微妙な違いはあるけど。

ただ鈴木さんを犯人だというために俺は来たのではないのだ。そんなもの警察に任せてしまえばいいのに、ここに来たのは第2の殺人の可能性をつぶすためだ。

「昨日警察で事情聴取されてるときに細川さんが言ってたんです。出張中で知らなかった。詳しく聞きたくても太田さんが教えてくれないって。調べても分からなかったって細川さんが言ってるんです。

それと、山田春香さんも細川さんを止めたがってました。」

「何をいってるんすか?」

うさんくさくてもこれだけはきちんと言わなくては。鈴木さんの目をきちんと見て俺は話す。

「すべてを信じてほしいとは言いませんけど、俺が毎日金縛りにあってる時になんとなく映像だったり気持ちだったりが伝わるんですよ。

初日は、あの子をとめてって声と悲しい気持ちです。殺人を犯そうとしている鈴木さんを止めたかったんだと思います。

2日目、太田さんが亡くなった日ですけど、あの子をとめてって声と映像で細川さんをとめてって気持ちです。

3日目は、あの子をとめてって声と映像で細川さんをとめてって気持ちとピクシィのパスワードとIDです。

山田春香さんはあなたをずっと止めたがってたんですよ。

そのことを伝えたくて俺は八木刑事に頼んでここに連れてきてもらったんです。

俺はずっと山田春香さんのいう`あの子´って細川さんのことだと思ってたんです。

金縛りの女の人が山田春香さんだって知らなかったから。

金縛りの女の人が山田春香さんだと分かってあの写真を見たら、あの子は鈴木さんのことだと思ったんです。

だって山田春香さんより年上の細川さんを`あの子´って呼ぶのはおかしいでしょ?

`あの子´が鈴木さんだとしたら、山田春香さんは、鈴木さんをとめて。細川さんをとめてって言ってたことになります。

2人をとめてってどういうことか分からなかったんですが、太田さんを殺した犯人が鈴木さんだとすれば、細川さんを殺すのをとめて。細川さんを殺そうとしてる鈴木さんをとめて。ってことなんじゃないかって気づきましてずっと様子を見てたんです。

さっきの話を聞いて鈴木さんが、山田春香さんの最後の手紙に細川さんのことは分からないって言ってたから、細川さんに確かめに行くと思いまして。

だから関係のない細川さんを殺そうとするのはやめてください。

ずっと山田春香さんは鈴木さんのこと心配してるんですよ。」

「なんで、そんなこと。」

「さぁ、俺にも詳しくは分かりません。俺は、山田春香さんの気持ちを伝えただけだから。でも山田春香さんはずっと鈴木さんのことを想ってくれてたってことを信じてほしいんです。」

うろたえる鈴木さんだけど、俺も分からないものは分からないのだ。でも俺にとっての本当のことだから伝えたい、だから伝えたのだ。

「一ノ瀬さん、俺はあなたのこと全部信じます。教えてくれてありがとうございます。」

「とりあえず署で話を聞こうか。」

泣きそうに微笑む鈴木さんを八木刑事が連れて行った。






鈴木さんを見送った俺は家に帰りベットにゴロリと横になる。

殺人事件に巻き込まれるなんて今回のことは予想外すぎた。

あー、日吉にすべて片付いたって連絡しないとな。

スマホを手に取り日吉に電話をかける。

5コールでつながった電話に日吉の仕事も片付いたのかと一安心する。

「あー、もしもし、俺だけど、電話大丈夫か?」

「こっちも片付いたばっかや。イッチー、なんかあったか?」

「事件解決したぞ。」

俺は日吉に今回の事件のあらましを説明する。

「ふーん、いろいろ大変やったんやねぇ。でも霊が犯人ってありえへんわ。」

日吉の笑う声が聞こえる。

「まぁ、確かにおかしいよな。」

「霊が人を殺すより生きてる人間の方が人を殺してんのになぁ。」

「は?」

ちょっと待て、日吉、霊も生きてる人を殺すのか?と聞きたいのに日吉はしゃべり続ける。

「いやいや、考えてみ?霊体で殺人なんて呪い殺すぐらい…いやもっとあんのか?まぁええか。それぐらいだとして生きてる人間が人を殺そうとしたらどんだけバリエーションあると思っとるんや?

絞殺、刺殺、毒殺、撲殺、溺死…よりどりみどりやないか。」

「はぁ。」

考えが追いつかなくて相槌しかうてない。

「霊より生きてる人間の方が怖いんやで。イッチー、よぅ覚えとき。」

「はぁ、わかりました。」

俺の適当すぎるわかりましたという言葉で満足したのか日吉が労ってくれる。

「お疲れさん。」

「おう。ありがとな。今度お礼したいからご飯とは別に欲しいもん考えとけよ。」

「別にいらんし、気にすんなや。」

「でも…」

引き下がらない俺に

「なら、今度イッチーの家泊めてくれればええで。ミケと思いっきり遊ぶんや。」

「わかった。今度来たときは目一杯もてなしてやるよ。んじゃ、またな。」

「おう。また連絡するわ。」

電話をきり再びベットに横になる。

最近寝れてなかったし、とても眠い。せっかくの休みだけどこのまま寝てしまおう。

今日は金縛りが起きる気がしない。

俺は久しぶりの深い眠りについた。

これで完結です。

やっと完結できた!!

完結して読み返してみたら、推理している気がしないのでホラーのジャンルに移動しようと思います。

推理を期待して読んでくださった方がいたら本当に推理がしょぼくて申し訳ないです。


あらすじにも書きましたが、自分が体験した心霊現象をアイディアにこの話を作りました。

・心霊現象のTVを見てその日に金縛りがくる。

・金縛りがくる日は寝る前になんとなく分かる。

・金縛り最中に映像が頭の中に流れる。

下の2つは分かる友達にも「マジで?1回もないよ。」って言われたので誰かこんな体験した人いないかなって思ってこの話を作ってます。

他にも不思議な体験をしているんですが、上手く話せなくて話せるようになったらまた小説という形で話せたらいいなぁと思ってます。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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