表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/27

18.低換気症状 と、ついでの過換気






 こんにちは。


 今度こそは「久しぶり」にならないように真面目に書いております。

 ……って、ゆきのさんの原稿が、既に数日間から手元に来ているのですけどね(苦笑)

 


 今回は、医療雑学の中でも更にマニアックになってきます。

 症例数が少ないのですが、命にかかわる症状のお話です。


 前書きにゆきのさんの外傷の話しがありますがテンプレと思って流して下さい。



  


 ちょっと難しい病態のお話なので解説を少しだけ入れておきます。


 今回は「低換気症候群」 息をしたいと思っているのに出来なくなる症状です。



 人間呼吸は、ある程度自分でコントロールできます。

 吸ったり吐いたり。

 これが出来なくなるのです。


 見た感じだけ似ているのに過換気症状があります。

 理由は様々ですが呼吸の回数のコントロールができなくなって、呼吸をしすぎてしまうんです。

 これは呼吸が止まる訳ではないので死ぬことはありません。

 一見すごく苦しそうですが死ぬことはありませんので側で様子を見ていたら大丈夫です。

 


 話がそれました。

 低換気症です。


 呼吸をコントロールするのは、脳にある呼吸中枢です。

 この呼吸中枢が「もう酸素は十分あるから呼吸ゆっくりでもいいや」とか、「走ったから酸素が沢山いる!呼吸急いで!」とかいう指令を出すのです。

 その指令に従って呼吸に関する神経や筋肉等の下っ端が、頑張って働く事にって正常な呼吸ができているのです。


 ところが困ったことになる時があります。


 酸素が十分にあるのに「呼吸急げ!急がんか―い!!」と騒ぎだすのが過換気。

 まぁこれは死にはしないので割愛。


 酸素が足りないのに「え―もー疲れた―」とか言い出して呼吸を止めるor浅くなるのが低換気。

 こっちは死にます。


 そして一番困ったことは、この二つの症状、ちょっと見には良く似てるんですよね……(涙)

 




 と言う訳でゆきのさんの経験談です。

 ……ホンットにネタに困らない人だ……(涙)







  ◇ ◇ ◇  








 さて、また三途の川を見てきたスタローン・ユキノです。


 三途の川ってそうそう何度も見るものではないと思うのですが、まあスタローンなのでいいでしょう。本物のスタローンはもっと見ている気がしますし。


 ↑見てない!絶対スタローンだって三途の川なんて見てないはずだ!!



 今回は症例が色々な意味で重いのでまずは軽いジャブを。シャブではありません。

 覚醒剤ダメ!ゼッタイ!


 ↑覚せい剤はダメ・ゼッタイですが、ゆきのさんのジャブはジャブになっておりません……(泣)




 玄関先で転んだ私。

 このままいくと顔から生垣に突っ込んでしまう!

 それだけはまずいと前屈姿勢から無理やり体勢を立て直し、後ろ向きに倒れるように受け身を取ります。なかなか難しい技でしたが普段訓練している甲斐もあって成功しました。

 訓練と筋肉は裏切らない……!


 ↑何の訓練か詳しく説明して下さいね?

  そして良い子はまねをしないでくださいませm(_ _)m



 そのかわり、顔ではなく足が生垣に突っ込み、枝がスネを貫通しましたがそんなことどうでもいいのです。


 ↑良くない!良くないってば!!



 これが顔だと思ったら……とぞっとしたあと、破傷風と感染防止のため創内部を腹が立つほど洗浄→圧迫止血→ヘモスタパッドのいつもの処置をし、さすがにこの痛みだと車の運転は無理だと判断してもともとの目的地のコンビニにホテホテと歩いて行きました。

 それでそのまま寝ました。


 ↑寝るな! 受診しろ――!!




 だって朝樹さんが「病院に行ったらこういう処置をする」ってすごく怖くて痛そうなことを言うから……。


 いえ、人のせいにするのはやめましょう。ただ私が外傷の際は異常なほどの病院嫌いだというだけです。


 だって怖いんだもん。針。


 ↑参考までに土などで汚れた物で怪我をした場合、破傷風などの危険があるので怪我が深い場合など受診して破傷風の予防接種をして下さいね。破傷風は現代日本医療を持ってしても、発症すれば三割が死亡すると言う恐ろしい病気です。

 ちなみに今回のゆきのさんのケースだと、生理食塩水で洗えるだけ洗って…… 縫うかどうかは傷を見てからって感じでしょうか。傷が大きい場合には抗生物質の点滴をする場合があります。





 では本題に入ります。


 ↑ここまではテンプレでした。m(_ _)m






 いまではだいぶメジャーになった過呼吸。


 息が苦しくて死んでしまいそうな気分になるけれど、落ち着いてローソクの火を消すような呼吸をゆったり続けるようにすれば10分程度で楽になってくるアレです。

 昔は紙袋を顔に当てて呼吸をするというペーパーバッグ法が主でしたが、窒息死した方が相当名出たのでいまではこの「ローソク消すつもり療法」の方が推奨されています。


 ↑過換気慣れ?している方は袋を口に当てていないと落ち着かないと言う方もいます。

  そういう人は好きにさせてあげて下さい。自分流の過換気の治め方を持っておられると思われます。



 ※過呼吸のような症状が出ても、ほかに随伴症状がある場合は早急に病院に行った方がいい場合もあります。私は10分以上過呼吸が続き、ひどい頭痛、嘔吐、歩けないなどの症状が出たのでさすがに救急に行ったことがあります。この辺は朝樹さん任せた!


 ↑はーい。えーと、後で詳しく書きます。




 で、これの正反対の症状が出る病気があるのですよ。

 それは……未呼吸。


 どうですか?「未」です。なんだかまずそうな気配がドコドコ伝わってきますよね。


 これは神経が「息をしてね」(訳:酸素足りねー)と私たちが知らないうちに脳に指令を出しているのをやめてしまう病気です。働けよ神経。




 すると脳は「じゃあ息をしなくてもいいんだ!」と体に呼吸させるのをやめてしまいます。脳も少しは自分でものを考えろ。

 

 ↑脳は情報が足りていない指令本部な状況です。



 脳がサボり出すので体もどうしていいかわからなくなり「脳さんがそう言うなら……」と職場放棄をします。


 というわけで息ができなくなります。

 できても浅く間のあいた小さな呼吸なので生命維持にはとても足りません。




 この前、私、それになりました。


 あの「息ができない」恐怖はすごいです。

 いくら息がしたくてできません。そのうちチアノーゼも出てきます。


 さすがに怖くなり救急車を呼びました。


 ↑良かった… ゆきのさんが救急車と言う言葉を思い出して本当に良かった!!



 でもいちばん怖いのはそれでも救急車を呼ぼうとせず、這うように自力で通報している娘を見下ろしている母でした。彼女のレッドラインはもっと高かったようです。


 ↑母……(涙)



 まあそれはいいとして。


 徒歩で移動できて自力で救急車に乗れ意識レベルも清明、会話もできる私を「あー、過呼吸だ……」みたいな目で見ていた救急隊員さんが血中酸素濃度の数値を見て慌てだします。

 モニターを見てみたら酸素濃度は70を行ったり来たりしていました。

 参考までに、祖父が急逝した時の最後の酸素濃度は82でした。


「息して!息して!」と言われますができません。


 ↑そうなんですよね― 過換気とちょっと見似ているんです。

 でも顔色とか爪の色とか紫色になって来て、がっつりチアノーゼの症状が出来てきます。

 ちなみに本人も息をしたくても出来ないのが怖いところ。




 私は速攻で総合病院に搬送されました。


 そこから心電図、採血、検査のフルコースです。「採血は我慢しますから点滴だけはやめてください……」と苦しい息で訴えましたが点滴のルートも取られ、とりあえず輸液を突っ込まれました。


 ↑当たり前です。



 だから病院は嫌いなんです。

 今回は外傷じゃないからそういうのは食らわないと思ったのに……。


 ↑外傷よりも点滴率は高いです。何が起こるか分からないので、いつ心臓が止まっても薬が使えるように点滴(栄養を入れると言うより緊急時の薬の入口)は必ず取ります。




 診断は「重度の自律神経失調発作」でした。

 調べてみたら「中枢神経性無換気」というものらしいです。

 放っておいたら呼吸不全で死亡したり酸素不足で後遺症が残る場合もあるそうです。


 というわけでみなさん、息が物理的にできなくなってチアノーゼが出たら救急車を呼んでくださいね!


 あとは最後の手段として鎖骨のすぐ下を力いっぱい叩いて無理やり息をさせる方法もありますが、痛いし危険なのでやめてください。

 なにしろ出典がヤクザ雑誌の「肺の上を思い切り殴られるとカハッて息が出てしまう」という記事なので……。

 私には効きましたが殴ったところが腫れ上がりDVを受けた人みたいになってしまいますし……。


 それでは朝樹さん、解説をお願いします。

 今回はちゃんと救急車呼びましたからね!ね!






  ◇ ◇ ◇




 うん、うん、救急車は偉かったよね。

 

 でもホントに命は大事にしてね。





 で。

 えーと、過換気と間違えそうな危険な疾患です。


 何だかはぁはぁしてる。

 他に症状を聞くと気分が悪いと。

 こう言う場合多いのが急性アルコール中毒。

 「なんだアルコール中毒か」と布団かぶせて寝かせたあなた。翌日冷たくなって発見されたなんてこともありますよ~

 救急車とまでは言いませんが、病院へ行って点滴してもらってくださいね。



 過換気+すごく頭痛がする。

 これは救急車です。

 年齢にもよりますが、脳卒中の可能性があります。(でもお酒の飲み過ぎの可能性もある/苦笑)


 過換気+胸が痛い。痛いのは、場合によって背中だったり顎だったり肩だったりする。

 これも救急車です。

 心筋梗塞の可能性があります。



 過換気+手かしびれる。

 

 これは難しいです。過換気で二酸化炭素が減っても手がしびれるのですが、脳梗塞でも手がしびれたりします。

 でも脳梗塞の方は手足両方の、左右どちらかです。

 二酸化炭素が減っている方は両方の手がしびれます。

 これは心配ありません。


 

 中枢性低換気(今回のゆきのさん)の場合は自分で呼吸のコントロールが出来ませんが、過換気の方はほとんどの場合自分でコントロールができます。

 側について背中を撫でながら「吸って― 吐いて―」と一分に十回くらい呼吸ができるように誘導してあげて下さい。




 中枢性低換気は非常に珍しい疾患です。


 こう言う症例もあるんだって知ってください。

 もし過換気かな―って言う人がいて、顔色が紫だったら速攻救急車呼んであげて下さい。


 知っていれば出来る事って増えますもんね。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ