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はじめに

まずこの作品の主人公を軽く紹介しておこう。本当に軽くにしておく。彼女の詳細については本文で色々書くつもりだ。

名前はタニタ。もちろん名字だ。注意して欲しいのは、「ヘルシーで美味しい」で有名な某食堂と同じ名前であるがために「宣伝か?」「パクリか?」なんて言われそうなので始めに言っておく。全く関係ない。宣伝のつもりはさらさらないし(ヘルシーなんて言葉に興味が無いくらいだ)パクったわけでもない。大体全国に「タニタ」という名前の人物が何人いると思っているのだ。


そして彼女は(タニタは女性だ)調子乗りなところがある。それを長所で捉えるか短所で捉えるか、それは各々にまかせよう。一体どんな風に調子乗りなのか。軽く例を挙げてみる。

ある日タニタとその友達の2人でタニタ宅でお酒を飲んでいた。いわゆる「宅飲み」ってやつだ。タニタは実家暮らしなので会場はタニタの部屋。2人でいつも通りああだこうだ喋っていた。そうやって過ごすうちに話すことも無くなり2人でテレビをボーッと見ていた。タニタが何気なく鼻歌を歌った。ちなみに歌った曲は某コンビニのCMソングだ。「あんたって歌上手いよねー」とその友達がテレビを見ながらなにげなく言った。するとタニタは「えっ!そうかなぁ!そうかなぁ!まいったなぁー!」と満面の笑みを浮かべ、そしておもむろに立ち上がり先程の鼻歌をもう一度披露した。ボリュームは先程よりもちょい増だ。「そんな立ち上がらなくても…」と友達はわざわざ立ち上がって鼻歌を披露するタニタの姿が可笑しかったのか笑いながらそう言った。タニタは「いやー歌はねー実はちょっと自信あるんだよねー」と何故か髪の毛を手で3回くらいフワッとさせてから何を思ったか次は鼻歌ではなくガチで歌い出したのだ。はっきり歌詞を声に出し、はっきりビブラートをかけ、本気で、というより一生懸命歌い出したのだ。

「ゆめをみぃまぁ~した~~ひぃとつみまぁ~し~た~」


もちろんそのボリュームは友達が「ちょっと!親に怒られるよ!」と慌てたくらいの大きさだ。案の定1階のリビングのほうから「うるさいよ!何時だと思ってんの!」と母の怒る声が響いてきた。2階のこの部屋まで十分過ぎるくらいに聞こえてくる母の声も近所迷惑になるくらいのボリュームであった。タニタは歌うのを止め、ドアのほうをじっと見た。友達もドアを見つめていた。夜の10時、タニタ家は静寂に包まれた。しかしその静寂もつかの間であった。静寂を破ったのはやはりお調子者のタニタである。

「でいり~はま~さぁき~ぃ~ふぉーっ!」


これでもか!ってくらいの声量で、しかも何故かオペラ歌手のような伸びやか声で最後の社名を歌い上げたのだ。

社名を歌い上げて数秒後、再び静寂に包まれたタニタ家に誰かが階段を派手に踏み鳴らす音が響いた。階段を上っていたのはもちろん怒り狂った母である。

タニタの部屋のドアが勢い良く開いた。

「何時だと思ってんのアンタ!!デイリーハマサキって何よ!!デイリーハマサキに行きたいの?勝手に行きなさい!子供じゃないんだから!もお!」

母の顔は鬼ですらビビるほどの形相で、その的を微妙に得てない説教をマシンガンの如く猛スピード且つ轟音で放った後、再びドアを勢い良く閉め、階段をこれまたワザと大きく踏み鳴らしリビングへ戻っていった。

部屋は静まり返っていた。タニタは立ち上がったままドアのほうを見ていた。友達も手にチューハイの缶を持ったままドアのほうを見ていた。母の襲来は2人が「一体何があったんだ?」とあっけにとられるくらい、瞬く間の出来事であった。

「怒られちゃったね」と友達がなんとなく重い空気を察し、少しおどけてそう言ってみた。するとタニタは静かに座り、飲みかけのチューハイを2、3口飲んでこう言った。

「どう?上手かった?」

そう言った顔は先程の出来事をすっかり忘れてしまったような満面の笑みであった。






こんな具合である。これを見てタニタを悪く見る者はいるだろうか。きっといないはずだ。なんとなく可愛らしいではないか。ちょっとおバカな子犬を見てる時みたいな気持ちだ。

タニタはそういう女性であった。多少調子乗り、しかし何故か周りの人間は彼女を憎めない。怒ったり、叱ったり、ではなく見守っておきたいと思わせる人間であった。


さてそんなタニタは一体どのような毎日を過ごしているのだろうか。

タニタは別に超能力者でもないし、見た目がすごく良いわけでもない、何らかの才能があるわけでもない。だから読者と同じように普通に働いてお金を稼いで生きているのだ。

今回はそんなタニタのお仕事の様子を書いていこうと思う。

「そんな普通の女性の仕事なんか読んでも面白くないんじゃ…」と思う方々もいるだろう。

確かにタニタは普通の女性だ。しかし最後にこれだけ言わせて欲しい。





タニタは別に超能力者でもないし、見た目がすごく良いわけでもない、何らかの才能があるわけでもない。

しかし一生懸命生きているのだ。

彼女の一生懸命な生き様を是非見て欲しい。

きっと…彼女を応援したくなる。そして…



「あれ?この子ちょっとズレてる…」

と…まぁ先程も書いたが「ちょっとおバカな子犬を見る」ような目で見て欲しい。


尚、この作品に出てくるお店、人物、有名人は全て架空のものだ。そこら辺はあまり気にせず楽しんでもらい。

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