プロローグ
少年にとって無くしたものは……小さかった。
目が覚めると白い世界が広がっていた。天井から布団から壁から何までもだ。そんな不思議な世界の中に少年は目覚めた。そして呟く。
「今日もいい朝だ。」
彼にとって普通の朝だ。どこかに異変を感じるわけでもなく、いつも通りの殺風景な部屋だ。起きるとまず、寝惚けた状態でパンをトースターにセットする。ちなみに焼けるとプレートがある方向へ飛ばしてくれるスグレモノだ......が、なぜか全く売れてない商品らしく、既に店頭には売り出されていないようだ。飛ばす時に時折天井に当たるぐらいの誤差がある以外はとても良いのになぜ売れないのだろうか。僕には理解ができない......などと考えながら学校へ行く支度を終わらせた。いつも通りの時間だ。
――家を出ると、七月の蒸し暑い空気が僕の肺に押し寄せてきた。今日は一学期の終業式の当日。明日から夏休みだと思うと、自然とワクワクし始める。うん、いい日だ。今日は天気もいいし、雲も見当たらないし、洗濯物が早く乾きそうだ。一人暮らしの......なんて考えながら歩き出す。
カチッカチッ
それにしてもホントにいい天気だ。
カチッカチッ
......入道雲はあるかな。
カチッカチッ
こんな暑い日は少しだけ打ち水程度でも雨が欲しいな。
カチッカチッ
彼の知らない世界は
カチッカチッ
ここからだった。
作者の一言。
あのトースター欲しい。
こんな作品でも楽しんでいただけたのならば、嬉しい限りです。
という感謝の言葉と共にあとがきを締めさせてもらいます。