クロスロード篇 その1
「監クラ」1年目終了後にインタビューを書こうと思っていたのですが、彼らの声が聞こえてきたような気がして書いてみました。
静まり返るスタジオで、冷房ががんがんに効いているのにも関わらず、額に冷たい汗が浮き上がりまくり、見た目は足も腕も細いのに、おなかが出っぱっている30代ぐらいのおじさんが、ソファに座って渋いお茶を飲んだような顔をしていた。
スタッフ「クロスロードチームの俳優のみなさん入られました~」
ドキドキする心臓の音がみんなに聞かれてしまうのではと思いながら、笑顔でおじさんは、今入ってきたクロスロードの俳優陣を出迎える。
脩由「いや~よく来て頂きました~」
両手を広げて、少しひくひくと頬を痙攣させながら、笑顔は崩さない脩由の前には、茶色と赤色の間を取ったようなショートヘアーで、身長は180cmぐらい、白のポロシャツから見える少し肌が焼けて筋肉質な腕。青い色の眼鏡にぴったりとヒップラインがはっきり見えるジーンズを着た30代後半のクロスロード監督”上山 孝紀”を先頭に、小柄でぽっちゃり体型の少年と、10代とは思えないナイスボディの女の子が横に並び、その後ろには黒の夏用ジャケットに、ハーフパンツを履いた男性と、白のワンピースを着た女の子の4人の10代ぐらいの男女が入ってくる。
テーブルを挟み、脩由がソファを進めると5人はゆっくりとソファに沈み込む。
脩由「本当によく来て頂きました」
上山「来る気はまったくなかったYO!」
脩由「ですよね~~」
額の汗を拭きながら、脩由が引き攣った顔を見せる。それを見てぷぅっと上山が笑うと、スタジオの空気が和やかに変わる。
上山「まったく、なにびくついてるんだよ」
脩由「いや~だってね~」
上山「その辺の話は後でするとしてさ、司会進行ちゃんと頼むぜ」
脩由「おお~そうでした。では改めまして、”クロスロード”の監督、上山孝紀さんと、神野 匠役の尼川 幸也さん、神野 水無月役の尼川 いちるさん、黒戸 千秋役、堀田 敦也さん、白鷺役の篠川 鈴さんに来て頂きました。よろしくお願いします」
「「宜しくお願いします」」
脩由「早速ですが、みなさんの話を聞いていきたいと思います。まずは監督の上山さんなんですが、話題のCM作品を多く制作され、そこからドラマの監督に転向された経歴をお持ちなんですよね?」
上山「そうですね。初めはドラマを撮るなんて考えてなくて、15~30秒のCMにどれだけのメッセージとアイデアを詰め込めるかっていうのが楽しくてCMを撮っていたんですけどそれが、だんだん評価されてきてテレビでは今”話題”のっていうキャッチフレーズがついちゃいましたね」
脩由「ドラマを撮るきっかけはなんだったんですか?」
上山「ドラマを撮ろうよって誘われた本人から、きっかけって言われると変な気分ですけど、脩由とは飲み仲間で、酒の席で、今度ドラマの脚本書くから監督やってよって言われて、何も考えずに、”あぁいいよ”って答えちゃったのが始まりですかね」
脩由「実際ドラマとCMを撮り始めて、感覚的な違いってあるんですか?」
上山「CMだとクライアントが求めるイメージする為に、映像を撮りながら視点を変えて何カットも同じ場面を撮ったり、それでも納得がいかなかったら加工してみたりして、1つのメッセージをどう具体的に表現するかを始点に考えるんだけど、CMは誰が見ても同じメッセージを受け取られないといけないのに対して、ドラマって役者ごとにイメージが一つじゃないんだよね。受け取られ方なんて人の数だけあるし、けど、俺ら製作者側からのメッセージは1つなんだよね。そうじゃないとドラマがぶれ始めて、結局空中分解してしまう。じゃあ、どうやってチームみんなで俺達が伝えたいメッセージのイメージを1つにするか、そこをどう表現するかが本当に難しくて大変かな」
脩由「確かに、”クロスロード”は初めての投稿作品として、見てくれている人に楽しんでもらいたくて、色々つめこもうとした結果、空中分解を起こして申し訳なかったと思います」
上山「それは脩由だけのせいじゃなくて、俺にもあったと思う。やっぱり、俺にとっても初めてのドラマだったし、面白いものを作ろうとする脩由の気持ちもわかったしね」
脩由「しかし本音の所はどうなんですか?打ち切りという形で終わってしまって」
上山「まずは殺すと思ったね。監督って家族でいうと親父的な存在なんだよね。家族を守るのが使命っていうか。素直に殺意を覚えたね。けど、う~ん初投稿作品をボツにするってどんな気持ちなんだろうって思った部分もあって簡単じゃなかったと思うんだよ」
脩由「いい作品にしたかったという気持ちがあって、書いている時はすごく気持ちがいいんですけど、読み返していくうちに、”クロスロード”で何がしたかったんだろうっと思えてくると、疑問が頭から離れなくなって、本来はハーレムものを書きたかったわけじゃないんですよ。いじめられっ子が苦悩しながら成長する話を書きたくて、いきなり強い力を手に入れた時に、急激な精神的変化をしてしまうのか?それとも力を押さえつけて、自分のいい所は別にあると違う道を歩くのか書きたかった作品なんですよ」
上山「その辺は何度も話をしたので、わかってはいたんですけどね。魅せきれていなかった事は俺にとっても反省ですね」
脩由「実は、上山さんには、”クロスロード”だけじゃなくて、”旧 退魔医術士 左近”、”退魔医術士 左近(リニューアル版)”の監督もやっていただいているのですが、”クロスロード”と”左近”どっちが好きですか?」
上山「ちょ、おま!それ聞く?え~、”クロスロード”は初めてドラマを撮らせて頂いた作品で、ここで成長できた事も一杯あるんですよ。”左近”は新旧、監督を任せていただいて、本当にわかりやすく自分でも成長が出せている作品だと思うわけで・・・どっちかって言われれば”左近”ですね」
脩由「じゃあ”クロスロード”のリニューアル版は違う監督に」
上山「お前マジ殺す。そこは俺に撮らせるのが筋だろ?!」
脩由「あ、撮りたい?じゃあお願いします」
上山「あれ?今何かおかしかったよな?」
脩由「ということで、次は神野 匠役の尼川 幸也さん、神野 水無月役の尼川 いちるさんにお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします」
「「よろしくお願いします」」
脩由「まずは、匠役の尼川 幸也さんからなんですが、実は僕の匠像イメージぴったりなんですよ」
幸也「この体型ですか?あんまり好きじゃないんですけど、ありがとうございます」
脩由「体型もそうなんですけど、顔が優しそうで、年上のお姉さんにかわいがられそうじゃないですか?」
幸也「いや~そんな事でもないですよ。近所のおば様方の受けは確かにいいほうかもしれないですけどね」
脩由「幸也さん的には年上は好みなんですか?」
幸也「今は16歳なので、できれば24歳ぐらいまでならいいかなっと思いますけど、じゃあ20歳になった時に8歳差はどうかといわれれば、多分違うと思うんですよ」
脩由「なるほど」
幸也「脩由さんはどうなんですか?女性関係は?」
脩由「私ですか?ぽっこりおなかですし、女性の年齢の話でいうなら同じ歳ぐらいの方がいいですかね。価値観近いほうが、うれしいです。恋愛っぽい話になったのでついでに、今回、本当の姉弟で演技されてましたけど、血の繋がっていない姉弟という設定で、ちょっとエッチなシーンとかありましたけど大丈夫でしたか?」
幸也「僕は、家でいちるを見ているので、あんまり普段と変わらないかなっと」
いちる「そうですね。リアルでは不必要にボディタッチはないですけど、姉弟としては仲が悪くないですし、逆に緊張せず演技できたかなと思いますけどね」
脩由「水無月役で一番上の姉を演じていただきましたけど、妹の純役の姫 和歌さんとの掛け合いは大丈夫でしたか?」
いちる「初め、水無月も純も、匠に恋愛感情が爆発しているという設定があって、どうやって違いを出そうかと思っていたのですが、純が一歩引いた形になっていって、水無月が匠にラブラブファイヤー状態になっていったので、どこで本当の姉弟としての境界線を吹っ切ろうかと思いましたけどね。和歌ちゃんとは、今でも仲良くやってますよ」
脩由「もし、あのまま話が進んでラブシーンとかあった場合って、きつくないですか?」
いちる「それを含めてオーディション受けましたし、幸也とならいけるんじゃないかなと思いますけどね」
脩由「そうですか。なんかこれ以上聞くと、居酒屋で飲んでるおっさんみたいになりそうなのでここら辺で、この話はやめておきます。では次に、黒戸 千秋役、堀田 敦也さん、白鷺役の篠川 鈴さんにお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします」
「「お願いします」」
脩由「お二人には、ちょっとぶっ飛んでいる設定のキャラクターを演じていただいたわけですが、抵抗はなかったですか?いつも僕は書いていて千秋役の堀田さんにこんな事させていいのかなと思ってましたけど」
堀田「僕は”クロスロード”の影の主人公は千秋だと思っているんですよ。なのでどんな演技でも演じきってみせると思ってましたね」
篠川「私も、そんな千秋の相方的存在として、遠慮はせずに堀田さんとがっつり演技させてもらいました」
堀田「確かに、篠川さんからは遠慮のない突っ込みとかありましたけど、後で見たとき、僕自身、千秋はいい動きしてるな~って思ってましたから、白鷺があそこまでいい突っ込みしてくれてよかったと思ってます」
脩由「実は千秋と白鷺って初め登場する予定じゃなかったんですよね。匠が魔力を持って何とか自分でコントロールする予定だったんで、ただ僕の文章力が足りなくて、どうしても新しいキャラで話をカバーしたいと思った時に生まれたんですよ。今ではそれは正解だったと思ってますけど。二人は主従関係にありながら、立場が逆みたいな設定でしたけど」
堀田「話しを頂いた時に、千秋のイメージを最初に想像したとき、”俺様”ってイメージじゃなくて、懐の広いおおらかな、何でもドンと受け止めるおねぇ~として出来上がったんですけど、心の許容範囲は大きいんですけど、どこか頼りない感じもあって、それを受け止めてくれる存在が白鷺なのかなって思ってましたね」
篠川「私は逆で、何でもできるマスターとして千秋という存在が先にあって、それに仕える命がある人形ってどうなんだろうって考えて、マスターに相応しく、自分も何でもでき、静かに千秋のそばにいる事に幸せを感じているのが白鷺かなって思ってました」
脩由「お二人のイメージとはちょっと違うんですよね。僕の千秋と白鷺って。匠の敵として、初めは考えていたので、自分達の駒として匠を洗脳して育てて、その過程で魔力のコントロールを教えるって事を考えていたんですよ。けどお二人の持ってきたイメージのほうが面白いそうだなってそこから書き換えて、今の千秋と白鷺ってあるんですよね。新たに出すなら多少壊れててもいいからインパクトがあるキャラクターがほしかったので助かりました」
上山「ところでさ~。さっきも話に上がってたけど”クロスロード”やるの?」
脩由「今4つの作品が動いていて、”監クラ”と”左近”はしばらく終わりそうにないので、”鬼殺し”か”ミッション”が終わればやる方向で考えてます。けど、近いうちにどっかでやるでしょうね。初投稿作品を未完で終わらせるのは悔しいですし」
上山「じゃあさこっちからの質問なんだけど”監クラ”と”左近”どっちが好きなわけ?」
脩由「さっきの仕返しですか?!う~ん作品は全部同じラインで好きですよ。もちろん、終わった作品も含めて。正直あ~あそこでこの話をしたかったのにとか、後悔はしないので。常に書いている時は全力ですし、書いている時に次に話が出てこなくて悩んで、悩んで出てきたときのうれしさは同じなので、書き直しは基本したくないですね」
上山「じゃあ、いじり終わった所で、最後閉めましょうか」
脩由「何で勝手に話進めるんですか。本当に~。今日着ていただいてモチベーションがぐっと上がりました。できるだけ早く”クロスロード”を書きますので、できれば今回のメンバーで撮って貰えるようにがんばりますので宜しくお願いします。では”クロスロード”の監督、上山孝紀さんと、神野 匠役の尼川 幸也さん、神野 水無月役の尼川 いちるさん、黒戸 千秋役、堀田 敦也さん、白鷺役の篠川 鈴さんにありがとうございました」
「「ありがとうございました」」