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超番外編 かなり危険な現代生活17

再び時を駆けて色々やらかし回。

五月も終わりに近づいた夜、かつて倒した空を飛ぶ機械の異形が再び現れその後を一人追っていた。


追いつくとそのまま機械槍で砲撃し、直撃してふらついた所を追撃しようと地を蹴り跳び上がったが……



「ちょっ……!?」

緊急事態だからと二本の機械槍を持っていたのが仇となり、手足が生えて抱きつかれて閃光と共に消えていった。


『あっ……先輩!』




気がつくと見覚えのある場所に立っており、巻き添えにしようとしてきた異形は逃げたのか既に姿を消している。


「予想が間違っていなければここって……あぁ、やっぱり」

まだ通信関係が未熟らしく、雑魚に囲まれている二人の女生徒を見て溜め息を吐いている。



「慧音、これ誰か来るまで耐えられるかな……」


「厳しいな……永琳と輝夜が抜けていなければ、簡単に切り抜けられたんだが」

背中合わせになり支給されている薙刀を構えて話をしていた。


「あの仮面の人が助けに来てくれたり」


「そんな漫画や小説じゃないんだからありえない……くっ!」

そう呟くと相対していた異形の群れの中心がいきなり爆発して土煙が上がり、その爆発に巻き込まれた近くの雑魚異形が消え去っていく。


「うわっ! け、慧音!?」

妹紅が相対していた異形の群れも爆発し、同じように消え去っていく。


「い、いったい何が……?」

土煙が納まると二つの槍のような物を持った男の姿が少し離れた場所に居り、それに異形が群がる姿が見える。


その男が手にした槍を軽く振るうだけで異形が消し飛び、懐に潜り込んでくる異形は容赦のない蹴りで砕かれていた。


そして……


「ですよね」

二つの機械槍と機械剣は取り上げられ、後ろ手で縛られて学園長室に連れていかれている。


………

……


学園長室に入ると前学園長がビックリした表情で恭夜を見て、すぐに拘束を解くよう指示を出していた。


「……あれからまだ一ヶ月よ?」


「こちらとしては半年以上経ってるんですけど……あれがまた出ちゃったんです」

あはは、と笑いながら頭を掻いている。


「永琳さんと輝夜さんは今実家に戻っているから、最低でも一ヶ月は帰らないわよ?」


「いえ、あの二人とは十年後に再会出来ますので。寧ろあんな別れをして、そんなすぐには会いたくないですよ」


「ふふっ、そうね。あの家、貴方の名義にして週に一度は掃除させているからまた使いなさい」

そう言うと机から家の鍵を取り出して投げ渡してきた。


「あの、それで今回も……」


「ええ、存分に働いてもらうから。幸いそこにいる二人の班の穴を埋めてもらうにはちょうどいいわ。はい、これね」

鍵のかかった引き出しを開け、中からもしもの時の為に用意していた仮面を取り出している。


「前のお面よりはいいですね。これちょっと武士仮面っぽいですけど」

出された仮面を受け取ると素直に装着している。


呼吸や視界を遮らないように上手く作られており、付けていても邪魔にならないなと思っていた。



「あのー、学園長そろそろ紹介してもらえませんか……?」


「何故男子生徒があのような動きが出来るのかも含めてお願いします」


「そうね、まずはこれから話す事は他言無用よ」


………

……


二週間程情報収集をしながら二人と交流していた。


異形退治もレベルを落として依存したりしないよう適度にあしらい、出来るだけ慧音と妹紅に戦わせている。

普段の戦闘スタイルが槍二つになったからか、当初は誰にも以前のお面の男と同一人物と思われていなかった。


学園長の悪ふざけなのか金のウィッグに緑のカラコンを付けさせられ、更に制服を改造して作った陣羽織も着させられて今では完全にバレないどころか変態なんじゃないかと思われている始末。



「白玉クリームあんみつ」


「白玉あんみつー」


「あのさぁ……」

学園長から貰った家に二人も入り浸るようになり、おやつを要求していた。


「チームなんだから仕方ないよね」


「仲良くならないと連携が出来ないから仕方ないな」


「もう十分仲良しだと思うの」

輝夜と永琳の時のように付かず離れずの距離を保ち、既に友人として仲良くなっていた。


「いいから早くー」


「もう私達は恭夜なしでは生きていけない身体にされてしまったから……」


「慧音は誤解を招くような言い方をするのやめてもらえない? ただ単に俺の作るお菓子が好きになっただけでしょ」

慧音に関しては色々知りたいからと二人きりになる事も多く、恭夜は二人きりに慣れているから全く気にしていないが慧音は意識しまくっていたりする。


「確かに慧音の言い方はちょっといやらしいね」


「ただでさえそんな妹紅とは違って魅力的なわがままボディなのに、あんな事を言われたらなぁ」

既に二週間その手の行為をしておらず、稀に見せる色気にやられそうになっていた。


「ねぇ、私とは違うってどういう事?」


「そりゃあれよ、おっぱい的な……痛い痛い痛い!」


「アァン!?」

身長差をものともせず得意なコブラツイストを仕掛けて苦しめている。


「いたたたた!! やめろォ!」


「どうだ! 私だって少しは……!」


「痛くてそれどころじゃねぇよ!?」

慧音は恥ずかしさやら魅力的と言われた事への嬉しさやらでモジモジしており、騒ぐ二人を止めるつもりはないようだった。




一ヶ月が経過しても機械の異形の足取りは掴めず、後は来るに任せるしかなく日々をだらだら過ごしている。


更に輝夜と永琳は新学期まで帰ってこないのが確定していた。


「やばい、潜り込んできたから……」


「すぅ……」

全裸の慧音が布団の中で抱きついて寝ており、脱ぎ散らかされた衣服が部屋に散らばっている。


「妹紅が泊まってなくてよかったって言うべきか……」




少しして慧音が目を覚ますと即土下座をしながら状況を説明し、死ぬ以外なら何でもするからと頭を擦り付けていた。


「……実は前にお面をかぶっていた時からこっそり後をつけていて、恭夜の素顔は知っていたんだ」


「本当に申し訳……え?」

頭を擦り付けながら謝っていると衝撃の真実を話始めた。


「永琳とデートをしていたのも全部見ていたよ」

この時代で初のストーカーであり、あの日に去るまで毎日見ていたらしい。


「へー」

だが元の時代で恭夜を気に入っている名も知らぬ名家のお嬢様達が普通にやっている事もあり、大した衝撃を受けていない。


「ふふふ」


「いや、待てよ。慧音って俺が小学生の時によく会った綺麗なお姉さんに似てる気が……」

永琳で年上のお姉さんが好きになり、それからほぼ毎日会っていた慧音似のお姉さんのお陰で完全に年上好きになっていた。


「そうだな、私はあの永琳が手当てをした少年とよく会っているよ。私が手を握るとビックリした表情になった後に嬉しそうに笑ってくれて……ふふ」


「やっぱあれ慧音だったのかよ」


「それで元の時代に帰ったら、私をその時代の恭夜の家に住まわせてほしいのだが」


「それで許してもらえるのならいいよ」

好意があってストーキングされていた話を聞いても、許しなく強引に抱いてしまった事を悔やんでいる。


「まぁ、許すと言うか私の望みの結果になったわけだから。……その、だな。帰るまでの間は私が相手をしたいと思うんだ」


「お願いします」

頬を赤らめながらの願ってもない申し出に飛び付いていた。


………

……


過去に来て一ヶ月と二週間が経ち、徐々に機械の異形の気配が強まってきたのを感じている。


「最近学園長がお腹を擦りながら綺麗な笑顔を浮かべてるけど」


「あ、恭夜も気づいてた? あれは間違いなく赤ちゃんだよね」


「既に学園長は夫と死に別れているらしいが、このままだと誰の子かで荒れる事になりそうだな」

ただ慧音は誰の子か予想はついているが、目の前の存在が本気で分かっていないから言わないらしい。


「女の子だったら翠って名前にしたりして」


「男の子だったら?」


「蒼とか?」


「うわー、どっちもありえそう」


「問題はそれが分かる前にお別れが来るって事だなー」

一週間以内には来るのが何となくわかり、全力を出す為にここ何度かは戦わずに指示だけを出している。


「そうか……それなら毎日を大切にしないといけないな」


「慧音?」

小声で何かを呟く慧音を見て妹紅は不思議そうに小首を傾げていた。



しかし一週間が経っても近くにいる気配だけで姿を見せず、若干イライラし始めた時に喧嘩を売られてそれを買っている。


「班に戻るんだな。お前にも待っている班員がいるだろう」

機械剣を手にしながら、目の前で両手で構えていた剣を吹き飛ばされた少女に告げている。


「な、なんで私がこんな男に……?」


「なんでかって? 何故なら俺は既に誰よりも強いから」

調子に乗っているように聞こえるが慢心しておらず、日々腕を磨き成長を続けているから当然の事を言ったまでだった。


「くっ……!」


「しかし名前も知らない相手に喧嘩を売られると思わなかった」


「……比那名居天子」


「死なない天使?」


「ひ・な・な・い!」


「うん、知ってる。マスク・ド・ブシドー、情報収集得意」

何故か片言になっている。


未来に影響がありそうな本名を出すわけにもいかず、学園長が慧音達と話し合った結果マスク・ド・ブシドーに決まっていた。


その決まった名前が原因で金髪のウィッグ、緑のカラコン、改造制服陣羽織という変態装備が完成してしまったようだが。



「うぅ、こんな変態に負けるなんて……」


「俺だって好きでこんな格好してるわけじゃない」


「覚えてなさいよ!!」

そう言い残し両手剣を回収して脱兎の如く逃げていった。


「……ふん、鎧袖一触とはこの事か」

少しだけ格好つけているが、何故か情けなく見えてしまう。




それから更に二週間が経過し、ようやくその忌まわしい姿を現した。


「空飛ぶ巨大ロボかよ……」

機械剣は邪魔にならないよう腰に付け、出番が来た二つの機械槍を手にして目の前の巨体を見上げている。


既に恭夜以外の面々には撤退命令が出ており、単騎で相手をする事になっていた。



「手足は別個体が変形してるのかよ!」

いきなり手足が分離したと思ったら、四方八方から飛んできて必死に避けている。



そのままタイミングが遅い一つの足を霊力を纏わせた旧機械槍で貫き地面に串刺しにし、二つの手が掴もうとしてきた所を新機械槍で薙ぎ払って真っ二つにし、残りの足を機械剣で切り裂いた。


一瞬で手足をバラバラにしたのを学園長室で見ていた面々は驚愕の表情を浮かべ、天子に到ってはあれでも手加減をされていた事に気がつき顔を真っ赤にして怒っている。



「……飛んでいれば逃げられると思ったのか。だがそれは大間違いだ」

更に空高く舞い上がっていく異形にそう呟き、新旧機械槍を突きつけ変形させた。



霊力が充填されていきバチバチと火花が弾け、間髪入れず蒼い二つの光が放たれている。

二つの閃光はかなりの速度で飛んでいた異形を貫き、そのまま体勢を崩して落下してきた。


その衝撃でカメラが壊れたのを確認すると金のウィッグと緑のカラコンを取り、付けていた仮面を外し、陣羽織を脱ぎ捨ててから倒れ伏した異形の核を機械槍で刺し貫き……


………

……


『あ、あれ? 先輩の反応戻りました』


「マジかよ、ここからなの? 数分?」

今回はあっさり戻ってきたがまだ戦闘中であり、早く休みたいのにと不満そうに呟いている。


気を取り直して状況確認をしながら指示を出し、何とか終わらせると学園長室に来るよう大妖精から言われていた。




時間がかかるかもしれないからと大妖精を除く皆に先に帰るように言い、送迎の車に乗って帰るのを見届けてから学園長室に向かった。


そして学園長室前に着くとノックをし、許可が出てから中に入ると何となく想像していた通りに慧音と妹紅が紫や大妖精と共に待っていた。


「あのね、恭夜。私が現役JKだった頃に二度衝撃的な光景を見たのよ」

大妖精の横に座るように言い、紫は話を始めている。


「はぁ……」


「一度目はパンのお面の男、二度目は金髪緑眼で仮面をつけた改造陣羽織の変態」


「へー」


「どっちも貴方でしょ!?」


「お前の母親のせいだよ!」


「過去と現在を二回も行き来するなんて……お母様を孕ませたのも貴方でしょ!」


「流石にそれは引くわ」

紫の発言にドン引きして冷静になっていた。


「えっ」


「寧ろ何でそう思ったのか聞きたいわ。意識を失うまで無理矢理酒を飲ませてきたり、あんな悪ノリしてくる人はちょっと……」

最初に過去に渡った時に意識を失うまで飲まされ、その時に色々とされているので紫の言っている事は間違ってはいなかったりする。


「それよりやっと再会出来たんだが」


「あ……慧音、さっきぶり」

まだ何か言いたげな紫は無視して慧音に答えていた。


「ああ、その呼び捨ても十年ぶりだ」


「私は?」


「もこたんは……あの時のままだなぁ」

チラッと胸に目を向けてから優しく微笑んでいる。


「おいこら今どこ見て言った? アァン?」


「……ねぇ、俺に学園への入学案内を送ったのって」

何かに気がついたのか口をついて言葉が出ている。


「私だ」

前学園長からの指示もあり、簡単に通ったらしい。


「慧音って紫にその手の事を任されてるもんね」


「去年復学する時に色々面倒な手続きを既にしていてくれたのは」


「それも私だ」

あらゆる手を使って恭夜のサポートをしていたらしい。


「こう考えると俺の生涯の七割に慧音が関わってるなぁ。顔が思い出せなかったけど、華仙姉さんや幽香さんとは別に一緒に遊んでくれたお姉さんだったみたいだし」


「ふっ」


「恭夜が人工呼吸で幼馴染みを助けたって話を聞いて嫉妬して、視線を合わせてキスしたって話を聞いた時は流石の私も引いたけどね」


「……?」

恭夜は覚えていないらしく、不思議そうな顔をしている。


「それ事案じゃないの!」

話を聞いていた紫がハッとして叫んでいた。


「大丈夫だ、公園の人が来ない所でしたからな。ついでに口移しでアメを舐めきるまでした」

自重というリミッターが外れたままになり、咲夜や美鈴を上回るストーカーの元祖である。


「慧音、それは犯罪だよ……」


「先輩、上白沢先生には近づいちゃダメです」


「今だと凄い御褒美だけど、当時は衝撃的だったのか全く覚えてねぇ……」

記憶が飛ぶくらい強烈で衝撃的だったのかもしれない。



それも私だ。



カントークラシックでバリアー覚えたワタルのカイリューが貰えるから、欲しい人は参加して規定回数戦おうね。

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