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番外編 三週目の世界で4

宴会から半年が経ち、また元の引きこもり生活に戻ったようだが……


「パチュリーと小悪魔が二階の一室を紅魔館の地下図書館を繋げるとか勝手にやってて困る。しかも図書館側の扉はあの二人以外は見えないとかドヤ顔で語ってたのがまた」


「恭夜が持ってた魔導書?を見てビックリするくらい大きな声を上げて喜んでたよね」


「持ち帰るのはダメって言ったからかなぁ」

その日から毎晩入り浸るようになり、恭夜に質問を幾度もする内に仲良くなっている。


そんな暇な時間に誘惑してきた小悪魔に手を出し、逆に恭夜なしではいられなくしていた。

一週間ほど鈴仙達が来ない時があり、それでも毎日来てわざとらしく転んで抱きついてくるパチュリーに限界が来て押し倒した事もある。



「恭夜のお手付きだからだと思うわ」

大家族みたいになってきて嬉しくなり、様々な負担も減って鈴仙にとってはいい事ばかりだった。


「ですよね」


………

……


噂のパチュリーは地下図書館で館の主とティータイム中である。


「……ふぅ」


「……パチェ、貴女最近妙に色っぽくなってない?」

何故か行動全てが色っぽく見えてしまう。


「あの七夜月恭夜の虜にされたからかしらね。……はぁ」

色々されたのを思い出してうっとりとした色っぽい表情で吐息を漏らしている。


「あの男に……」

何度か会っているが本心を見せない存在であり、そんな男に親友が手を出されて不安になっていた。


「外に出るとどこからともなく風見幽香が寄ってくるからって引きこもっているのよ」


「それはあの宴会でド派手にやっていたし仕方ないわ」


「……あの後、全力で完膚なきまでに叩きのめしたらしいわ。そうしたら恭夜限定で痛みを求めて近寄ってくるみたいで、気持ち悪くてあまり外に出たくないって」

プライドをへし折り、圧倒的な力で叩きのめした結果恭夜限定ドMになってしまったらしい。


「流石に嘘よね?」


「実際に見たのよ。あの風見幽香が彼を見つけた途端に日傘を放り投げて駆け寄って行ったわ」


「そっちのが信じられないわよ……今度の宴会で引き摺り出してみましょうか」


「毎週三回は人里に行かないといけないって嘆いていたから、タイミング次第で見れると思うわよ? 鈴仙が恭夜にくっつく風見幽香を引き剥がそうと必死になる光景もセットで、付いたあだ名が妖怪のお医者さん」

妖怪専門のという意味ではなく、恭夜が妖怪だという意味だった。


「咲夜に連れてこさせようかしら。一度試しにあの男の血を飲んでみたいわ」


「実験に使いたいからって少しだけ貰ってきたのあるけど舐めてみる?」


「あら、それは嬉しいわね」

見透かすような赤い瞳が怖いようであまり会いたくないと考えている。


それを聞くと試験管に入った血を取り出してレミリアに手渡した。

固形化しないように施しているらしく、液体のままで綺麗な赤色をしている。

蓋を外すと今まで飲んだ事のない血の香りがし、思わず涎が出そうになり慌てて袖で拭っていた。



「レミィが涎を垂らしそうになるなんてね」


「それだけ美味しそうな香りなのよ。これを飲んでフランにあの男が見つかったら大変でしょうね……これはたくさん吸ったらおかしくなる、これ以外が不味くて我慢して飲まないといけなくなるわ」

もっと飲みたいという欲求を抑えながら血の感想を伝えていた。


「フランが館を抜け出して夜通し遊んで、いつのまにか朝になって困ってる所を助けた事があるって言ってたけど。カウンセリングをして血とご飯を食べさせたって」

それからフランは何度かこっそりと恭夜に会いに行く為に抜け出している。


恭夜達に出迎えられて楽しい団欒を過ごし、カウンセリングを受けて暖かい時間を体験していた。

頭ごなしに怒るのではなく、叱る時はちゃんと叱るのでフランは新鮮な気持ちになっている。

狂気に飲まれてしまった時も全力で相手をし、正気に戻るまで付き合ってくれる恭夜に実の姉より好感を抱き始めていたり。



「……それお礼言わないとダメじゃない」


「そうね、ワイン辺りを持っていくと喜ぶわよ。鬼と対等に飲めるくらいお酒好きよ」

夕飯が終わるくらいに訪ねるとビールをご馳走になる事が多く、最近はワインをよく持っていくようになっている。


「今度パチェに付いていくわ」


「そうね、彼が嫌がらなければ連れていくわ」



そんな話を二人がしてから数日が経ち、恭夜は鈴仙を連れて嫌々里へ往診に出向いていた。

運良く幽香には遭遇せず里に到着、何人かの患者の家を訪ねて診察をして薬を処方している。

それから里の医者に挨拶をして使用した薬の補充と恭夜が診ている患者の診察をしていた。


「あー、やっと終わった。鈴仙、このカルテをそこの棚にお願い」

ファイルにしまったカルテを鈴仙に手渡して伸びをしている。


とにかく恭夜の患者には外来人が多く、永琳に自由にしていいと言われているので料金も格安で払えない時もいつか払ってくれればいいと緩い。

一度マミゾウが人に化けて見に来た時は弱点を聴診器で重点的に責め、荒い息になってきたら特に異常はありませんねと冷静に服を着るように言っていたり。

それ以来里を歩いていると人に化けた状態で接触してくる事が増え、二人きりで診察をしてくれないかと要求されるが鈴仙が居るのでいつも断られている。



「お疲れさま。お昼はお蕎麦屋さんにする?」


「そうだなー。永琳からお給金貰ってるけど使い道ないし、色々使っていくか」

邪神達に頼めば外から持って来てくれるので基本的に買うことはない。


「うんっ。そう言えば今日は妖怪が混じっていたりしなかったね」


「前回は八雲紫と霍青娥が見物気分で混ざってたんだっけ。気がつかないフリして聴診器と触診で徹底的に責めたら切なそうに目を潤ませ始めたから、すかさず異常はありませんねーってやめたら何か言いたげにずっと見てきたな」

ただ面白半分に見物しに来る妖怪等には全力でセクハラするようだが、それが癖になってリピーターが増えたりもしていて結果マイナスだった。


「あれ見てて逆に可哀想になったよ? 中途半端だし、診察だからもっとしてほしいとか言えないし」


「それが狙いだから仕方ないよ。忙しいのに邪魔しにくるから」

本当に体調が悪そうな妖怪はちゃんと診るので問題はなかった。


「それはそうなんだけど……ほら、そろそろ行こう?」


「わかったわかった。……それじゃあ、また二日後に来ます」

道具をまとめた鞄を手にし、隣の診察室にいる里の医者に声をかけてから人里へと繰り出した。



腕を組んで仲良くイチャつきながら里を歩き、蕎麦屋でもあーんとかやり始める始末。

店の人達は慣れているが新参者の外来人は慣れていないらしく、チラチラと興味津々で見ていた。


「あ、ネギついてるよ」


「ん? ……こんな人前で何という事を」

我慢できなかったらしくチュッと軽くキスをしてきて、回りはガタタッ!と激しい反応をしている。


「だってキスしたかったんだもん」


「それなら仕方ないか。山葵の味がしたわ」

赤い瞳の二人組のイチャつき具合に皆、砂糖を吐きそうだった。


………

……


「そう言えば恭夜」


「どうかした?」

和やかな空気で無言のまま里をぶらぶらしていると鈴仙が話しかけてきた。


「吹っ切れたって言ってたけど、あのメイドを見ても平気?」

ほら、と指差す先で咲夜が買い物をしている。


「元嫁さんの姉妹だと考えてるから平気だよ。今の俺には鈴仙のが大切だから」

咲夜を見つけて不安になったのか、腕を組み身体をより密着させてくる鈴仙が安心するように言っている。


「えへへ、わかってても少し不安だったの」


「それに俺を好いてくれてるのって鈴仙、永琳先生、勇儀……とあの二人くらいだよ」

パチュリーと小悪魔は正直好意の前に行為に及んだようなものであり、好かれているかわからないから最後に付け足していた。


「あの白狼天狗は?」


「強い男なら他にも居るんじゃないかな?って言ってから接触ないから、多分もう平気だと思う」

そう言っているが実際はただ強い男が居ないかを見て回っていたが、結局恭夜を上回る者は居らず次の機会を窺っているだけだったりする。


幽香のプライドをへし折っている所を千里眼で見ていたらしく、それから毎日観察して遂には直接家まで訪ねてきたらしい。

何となく予想がついたので自分よりも強い男がいるのではないか、と言い聞かせて穏便に帰ってもらっていた。



「まぁ、私は増えてもいいけどね」


「いや、ダメだよ。妖怪の山を出てもいいとか言い出した時は焦ったし、下手に俺と交流したら本当に追放されるかもしれないんだから」

来る者拒まず去る者追わずで暮らしているが、流石に今までの全てを失う選択をしようとする者の事は止めるようだ。


命を代償にしたとはいえ勇儀を行動不能に追い込み、最近では幽香を返り討ちにした事で話題になっている。

それ故に妖怪の山ではかなり危険視されていて、接触禁止の処置が取られる始末。



「確かにそれはそうかも。一時の感情で決めたら絶対に後悔するわね」


「だけどこんな話をここでしなくてもよかった気がする。人通りがなくてよかった」


「あはは……あ、師匠達にお土産買っていこう?」


「輝夜にはこのご自由にお持ちください箱にある、よくわからない木彫りの置物にしよう」

ある家の前に置かれていたご自由にどうぞボックスからひょいと拾い上げている。


「えぇっ!?」


「それで永琳先生には焼き饅頭、てゐには団子でいっか」


「で、でも姫様もきっとそれだと悲しむよ?」


「じゃあこの何に使うか分からないネジも貰っていこう」

今度もボックスからネジのたくさん入った袋を手にしていた。


「あ、もしかして姫様と喧嘩してるの?」


「いや、全然?」


「えーっ!?」

素で輝夜に持って帰ろうとしている事に鈴仙は驚愕している。


「ついでに食べたがってた外来人のたい焼きも買っていこうか」


「どちらかと言えばそっちがメインだよ!」


「それなら、これはいらないのね? ご自由にだよ?」

手にした物をボックスに戻して本当にいらないのか鈴仙に確認していた。


「寧ろ持って帰ったら師匠に怒られるわよ」


「今度俺もご自由にボックスやろうかな……それじゃあ、行こうか」

着なくなったシャツやら何やらを雑巾代わりにしてもらおうと、ご自由にボックスを設置する事を決めている。

色々あって短め。


二週目と比べて三週目の皆はスペックが格段に下がってるから、三週目の恭夜が本気を出せば圧倒出来るレベル。

強くなる為に皆が精進したらすぐに追い抜かれるからあれだけど。

きっと三週目で蓬莱人になった彼にとっては命は投げ捨てる物。


正妻公認のハーレムも来る者拒まず去る者追わずで着々と大きくなってきてる。

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