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超番外編 かなり危険な現代生活5

いつもより短め。

拒否権はない。

夏休みも残り数日に迫ったある日、紫と藍がお高そうな車で七夜月邸に来訪。

咲夜の対応をソファに座って新聞を見ながら聞いていると、他に誰かと一緒に来ているのが分かった。

そのまま門を開けに行く咲夜を見送り、最後の楽しみの四コマ漫画を見ている。


「お久しぶりー、これお土産よ。早速だけど貴方にお願いがあるの」

紫が咲夜にケーキの入った箱を渡し、テーブルを挟んで恭夜の前に座っていきなり頼み事をしていた。


「なんです学園長? 拒否権ないんでしょうけど」

新聞を畳みテーブルに置き、コーヒーを口にしてから尋ねている。


「恭夜が引き入れたあの子、ここに住まわせられない? 女子寮に空き部屋がなくて」


「鈴仙さん? 相手が嫌がると思うけど。男の家に居候して平気なのは変わり者か好意を持ってる子くらいだよ」

現在地下にいるパチュリーとアリスが変わり者であり、残り六人が好意を持っている者である。


「その点なら平気よ」


「生活費等も私達が振り込むから安心してほしい」

藍が紫の隣に座りながら安心するように言っていた。


「それもう完全に押し切るつもりですよね。……狙いはちょっかい出されない我が家に置きたいって所ですか?」

溜め息を吐きながら珍しく真面目な顔で二人を見ている。


「……ええ、最近あの学園おかしいから。貴方の存在が女尊男卑の思想を加速させたのかもしれないわ。表の学園にも多少影響が出てるみたいだし」


「わかった、俺も男だし最後まで責任持って預かりますよ」

下心も多少はあるようで最終的に受け入れる事にしていた。


「よかったわ。咲夜に部屋に案内するように言った後だからごり押しするしかなかったのよねー。最悪藍の色仕掛けパート2になる所だったわ」


「『私に秘策があるわ』って不敵に笑っていたのに、秘策って私の事だったんですか!?」


「藍さんの色仕掛け……ごくり」

普段からそれに近いような事をされているが、言葉にされるとより魅力的に感じていた。


「それじゃあ、私達は行く所があるから帰るわね。新学期に学園で会いましょう」


「恭夜君、鈴仙さんの事をよろしくお願いするよ。生活費等は既に振り込んでいるからね」

そう言い残して二人は帰っていってしまった。


………

……


そのまま全員を集めて事情を説明し、それぞれが自己紹介をしてから解散している。


「……っはぁぁぁぁ」


「凄い疲れたみたいだけど」

隣に座っている疲れた鈴仙を見て呟いた。


「当たり前よ……スカーレット姉妹にノーレッジの魔女、マーガトロイドの人形遣いまでいるんだもの」


「すぐに慣れるよ」

既に人形製作の手伝いも任されるくらい打ち解けている。


そして先日アリスの血を薄めずに飲まされて再び逝きかけ、小悪魔姉妹にガチ泣きされている。

そんな事もあり好感度が既にカンストしている姉妹揃って夜這いに来て、布団の中で鉢合わせをして言い争いになり恭夜に怒られていたりもする。



「そうだといいなぁ」


「でもよく俺の家で暮らすの了承したね」


「咲夜も居るって聞いたから。でもまさかメイドさんだったなんて思わなかったわ」

咲夜のメイド服を見た時は恭夜の趣味だと思ったようだが、しっかりメイドとしての役割を果たしていて本物だと気がついていた。


「料理は一日交代だし掃除は俺も一緒にしてるよ。俺以外は女の子だけだから、洗濯は完全に任せてるけどね」

恭夜の洗濯物を手に出来る咲夜は洗濯を楽しんでいて、稀に美鈴も手伝うのを名目に混ざっている。


「私も手伝った方がいいかな?」


「自分の部屋の掃除くらいはしてもらおうかな。流石に入って掃除するのは悪いし」


「それは当たり前の事だと思うんだけど……」


「フランとレミリア、パチュリーの部屋は俺が掃除してるから一応ね」

最近フランとレミリアは一緒に掃除をしており、パチュリーは完全におんぶにだっこで任せきり。


「お嬢様二人と気分屋の魔女の部屋を……」


「とりあえずお昼まで自由にしてていいよ。入りたいなら俺の部屋に入ってもいいし、見たいDVDとかあったら貸してあげるから。それじゃあ、俺は昼の準備してくるから」

またね、と言い鈴仙を残してキッチンに行ってしまった。


「あ、うん。……部屋、見てみようかな」



言われるがまま恭夜の部屋を見に向かうと扉に可愛らしいネームプレートが張ってあり、それが隣のフランとお揃いなのが分かる。

居ないのはわかっているがノックをし、断りを入れてから部屋の中に入った。


「ここは和室なんだー……何かドキドキしてきちゃった。確か男の子の部屋にはえっちな本とかDVDがあるって聞いた事があるわ」

そう呟くと部屋の中を軽く探索し始めた。


綺麗に整頓されていて清潔感があり、本棚には漫画やゲームにDVDが並んでいる。

お菓子や料理の独自のレシピが書かれたノートも何冊か納められており、レパートリーの広さが窺える。



「……これって私の資料?」

テーブルに置かれた紙の束を見てみると鈴仙に関する資料と写真が記載されていた。


指示を出すのに必要な情報だけをマーカーでチェックしていて、とてもわかりやすくなっている。

稀に関係のない好物や嫌いな物にもチェックが入っていたり。



「……よかった、体重とかスリーサイズは載ってないわ。もし知られていたら恥ずかしくて顔も見れなくなっちゃう所だった」

必死にチェックしてホッとしている。


「他の七夜月班の人の資料もある。博麗霊夢、霧雨魔理沙……力が強くて扱い辛いツートップじゃない。あ、やっぱり咲夜もいるんだ」

咲夜の項目は恭夜以外には殆ど従わないので七夜月班固定とだけ書かれていた。


圧倒的チートな恭夜の影に隠れているが霊夢と魔理沙もトップレベルの力を有している。

それでいて二人とも扱い辛く他班に馴染めず最終的に紫直属になっていた。

社交的で処世術を心得ている恭夜は他班との関係も良好で、どの班も欲しいと紫に訴えたようだが却下されている。

程なくして恭夜をリーダーにした十三班が新設、そこに霊夢と魔理沙がねじ込まれピーキーな二人をまとめる大変さに全ての者から同情をされていた。



「この二人を指揮下に置くってどんな魔法を使ったんだろう……」

餌付けと的確な指示で徐々に信頼を勝ち得た結果。


「さぁ、今日もご主人様のお布団でハァハァしてクンカクンカする時間が……あ」


「あ」

ノックもせずに先程挨拶をしたばかりの小悪魔姉が興奮した様子で入ってきた。


「……なんだお仲間ですか。ふっ、ですが私が先ですから」

そう言いながら布団を敷き、いそいそと潜り込んでいる。


「こぁさん……でしたよね」


「そうですがまだ譲りませんよ」

マーキングも兼ねていてしばらくは出る気はないらしい。


「あ、いえ、それは後でいいです」

島で助けられて帰るまでの二日間も優しくされ、咲夜の惚気話を電話で散々聞かされて徐々にだが本当に好きになっていた。


「ほほぅ、では後で潜り込むと」


「し、しません!」

ニヤニヤする小悪魔姉の指摘で気がつき、恥ずかしくなって大声で否定している。


「じゃあ、私だけで楽しみます」

頭まで掛け布団を被ると体を丸め、濃い恭夜の匂いに恍惚の表情を浮かべていた。


「見えないけどどんな表情をしているか想像出来るわ……あ、このDVD見たかったやつだ。後で貸し……ここで一緒に見せてもらおっと」

一番出遅れているのを自覚しており、出来るだけ一緒に居て好感度を稼ごうとしている。


「ハァハァ……暑いですけど最高です」

こっちは通常運行だった。


………

……


お昼はTVを見て食べたくなった餡掛け焼きそばを皆で美味しくいただいている。

食べ終えると皆がそれぞれ部屋に戻っていき、後片付けを終えた恭夜が戻ると鈴仙だけが残っていた。


「はい、アイスココア」

島に居た時によく飲んでいたのを覚えていて、涼しげなグラスに入れて鈴仙の前に置いている。


「あ……ありがとう」


「で、何か聞きたい事があるの?」

残っている時点で何かあるんじゃないかと思いテーブルを挟んで鈴仙の前に座った。


「ううん、特には。アリスさん以外に会ってきたんだけど、みんないい人達ね」


「こぁだけは変態だけど」

安定しない魔力を安定させる為に小悪魔姉と肉体的な関係を持つようにパチュリーに何度も言われているが、自力でどうにかしようとして魔法の使用が不可になっている。


要所要所で引っ掛かっている魔力を小悪魔姉との魔力共有で潤滑にする、というのがパチュリーの提案だった。

既に関係を持つカウントダウンは始まっているようなもので、数日後には魔法使いとしても活躍出来る日が来る。



「あはは……七夜月さんは」


「恭夜って呼んでもらって構わないよ。名字だと長くて面倒だろうし、俺も鈴仙さんを名前で呼んでるし」

少し大変だろうと思い配慮していた。


「あ、いいの? いきなり名前で呼んだら馴れ馴れしいかなって思ってたから嬉しい」


「アリスさんとパチュリーは会って十分経たずに呼び捨てにしてきてたし気にしないよ」

まだアリスにはさんを付けて呼んでいるようだが、最近人形製作の手伝いを始めたのですぐに付けなくなりそうだった。


「ありがとう。で、恭夜に聞きたい事があってね? あの博麗霊夢と霧雨魔理沙をどうやって指揮下に置いたの?」


「餌付けして一度だけ俺の指示を聞くように頼んだから。それで俺の指示でいつもより気持ち良く、いつも以上の力で戦えたからって以後も聞いてくれてるよ」

じゃじゃ馬二人を飼い慣らす恭夜に皆が畏敬の眼差しを向けたりするが、夢でのように二人と接しているだけなので全く苦になっていない。


「なるほどね」


「魔理沙によく恋の相談を何故かされたりもする。魔理沙の家族がやってる店で働いてる人に好意を持っているらしいんだけどねぇ……」


「何か不都合でもあるの?」


「常連になってそれとなくて話を聞いてみたんだけど『ぶっちゃけ男にしか興味がないんだ』とかキリッとした顔で言われて何も言えなかった」

どうやらこの現実だと彼はガチな方だったらしい。


「うわぁ……」


「それから怖くてあのお店に行ってない。お釣り渡される時に優しく手を握ってきたり、お客さんが居ない時はマンツーマンで案内してくれたり、やたらスキンシップをしてきたり……あの話を聞いた後だと超怖い。俺は女の子が好きだし」

若干トラウマになっている。


「それなら今度私と行かない? カミングアウトしてから恭夜が来なくなって傷ついてるかもしれないわ」


「それはそうなんだけどさ……」


「あの時みたいに私とう、腕を組んで行けば分かってもらえるんじゃない?」

積極的に行く事に決めたらしくそんな提案をしている。


「機会があったらお願いしようかな。……だけど下手したら俺の彼女だって噂が流れてしまう可能性があるけど」


「い、いいよ別に。私は気にしないから」

逆に噂が流れた方が自分に有利な展開に持ち込めると考えていた。


「鈴仙さんマジ天使」

家族になった者達以外からの好意に弱く、こんな俺と噂になってもいいなんて!と本気で感激している。


「て、天使……えへへ」




鈴仙が居候し始めて一週間が経ち、来週には新学期がスタートする所まで来ていた。

その間は当番ではないので皆で自宅でだらだらして過ごしている。


「こぁがいつも以上にべったりしてきて困る」

地下図書館のパチュリーの部屋を訪れており、惚けた顔で腕を絡めてくっついてくる小悪魔姉の対処に困っていた。


「うへへへへ」

頬が緩むのを止められなくなっている。


「恭夜は魔力が安定してより強く、こぁは精気を吸えて少しだけ強く。Win-Winの関係ね」


「……何があったのか把握されてるのが怖いんですが」


「その安定した魔力の流れを見れば分かるわ。責任とか考えなくていいのよ、こぁは死ぬまで貴方から離れられないんだから」

どうせなら誰も選べなくなるまで手を出し続けてもらい、膠着状態を作り出そうと考え優しく言い聞かせ始めていた。



「お姉ちゃんね、もう身も心も完全にご主人様の物なの……」

名残惜しみながらも妹に自慢する為に恭夜から離れている。


「抜け駆けなしよってお姉ちゃんが言ってたのにズルい!」


「私はただご主人様のお部屋の掃除をしていただけよ? いつもよりちょっと胸元が開いてて、スカートも短かっただけで」

専用のメイド服を小悪魔姉は作っており、思春期故に我慢の限界が来てこうなったらしい。


「みんなに私だけバカにされちゃうぅぅ」


「ふふふ、お姉ちゃんは一足先に大人になったのよ」

落ち込む妹の頭を撫で撫でしながら優越感に浸っていた。



「責任云々言ったら同じような事を言われたよ。俺が死ぬまで傍に居るから、ちょくちょく可愛がってくれればいいって。みんながいつか去っても咲夜とこぁだけは残ってくれるのが確定して嬉しいな」

暖かさを再び知った事で一人に戻るのをかなり恐れており、出来るならば皆と一生一緒に居たいと考えている。


「私も去らないわよ。そうするとここぁも去らないし、あの美鈴も去らないでしょうね。ほら、これで六人家族よ」

恭夜が一人に戻るのを恐れているのを理解しており、咲夜達のように本当の家族になろうとしてくれていた。


「……それは嬉しいな」


「ふふふ」

小悪魔姉と関係を持った事で、新学期までの短い期間で皆に手を出しそうな予感をパチュリーは感じていた。


「恭夜様! 私もお姉ちゃんみたいに大人にしてください!」


「ちょっ……!」

ほんわかした空気の二人の間に小悪魔妹が割って入り、恭夜に抱きついて大胆な発言をしている。


「ご主人様から離れなさいー!」


「イヤー!」


「悪魔ハーレムね」


「こいつら混ざるとシリアス展開もブレイクされる……」

必死にしがみつく小悪魔妹と剥がそうとする小悪魔姉を見て溜め息を吐き、同時に慕ってくれる二人に微笑みを浮かべていた。


「いいじゃない、シリアス嫌いって言ってたでしょ?」


「まぁ、そうなんだけどさ。……こぁと違ってここぁちゃんに手を出すと犯罪の匂いしかしないと思うの」

フランやレミリアよりはマシだが犯罪っぽい事に変わりはない。


「そこは仕方ないわ。私、こぁ、ここぁと最低でも三人に手を出す事になるんだから慣れないとダメよ」


「うん、わかったよ……え?」


「言質は取ったわよ」

ボイスレコーダーを起動させていたらしく、テーブルの上のスマホを手にしながら頬を赤らめていた。


「モテ期ってすごい」

普段から皆に細やかな気遣いをしており、さらにパチュリーに付いていける知識を有しているから惹かれたのだと思われる。


「モテ期じゃなくて自分の魅力で勝ち取ったと思いなさい」


「こんなに綺麗な女性に好かれるとかモテ期以外じゃ考えられないっす」

小悪魔姉妹を含めて綺麗だったり可愛かったりする女性に自分が好かれるのはモテ期だからと考えているのは仕方のない事。


「以前の貴方はわからないけど、今の貴方はハイスペックなんだから自信を持ちなさい。何が切っ掛けで変わったのか知りたいわ」


「こうやって話をしている俺の腹と背中には静かになったこぁとここぁがくっついているっていう」

二人の会話の邪魔をしないようにくっついていた。



過剰な戦力の集まってる七夜月家で匿う事になりました。


小悪魔姉に手を出しちゃってもいいじゃない、思春期だもの。


恭夜




書き貯めてあった番外編も後少ししかないのに、GE2が楽しくて本編が書けないんだぜ。

フラン、エリナ、シエルとフラグを立ててる主人公さんマジパネェっす。

とあるキャラのキャラエピソードで、助走をつけて殴るを見て腹を抱えてわらった。

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