表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/100

超番外編 かなり危険な現代生活

中心にある本編の世界の斜め上くらいにあるかもしれない世界のお話。

ある朝、目が覚めるとある屋敷の部屋のベッドにいる。

記憶の整理をしてみると七夜月恭夜と言う名は変わらず現役の高校生で独り暮らし、両親は一年前に事故で他界している事を思い出した。

今まで塞ぎ込んで引きこもっており、退学してはいないが来年の春からはまた一年生になるのは確定してしまっていた。

裕福な家庭だったようで、このまま一生引きこもり生活をしていても生きていけるだけの遺産を相続している。


「……あれは夢だったのかな」

現実では一夜の出来事だったが、夢の中では数年生活していたから完全に立ち直っている。


夢の中で作り出した『七夜月恭夜』という理想の自分、それが昨夜までの弱かった自分に上書きされていた。

現実では鍛えていないから身体が追いつかないが、剣術や体術の動きは完全に染み付いている不思議。



「……今は十月、四月までに夢の中の俺と同じように」

心は強くなったから身体を鍛えて、知識を蓄える事を決めていた。




それから季節はあっという間に過ぎ去り春になっている。

春休みに担任に呼び出されて退学か留年かの話をされ、迷う事なく留年を選び今年からはしっかり通う事を約束していた。

最後に会った時とは見違えるような姿に担任のお爺ちゃん先生もホッとしたようで、安心して定年退職出来ると笑っていた。



そして……


「……見覚えのあるような顔が多数って凄い」

新入生に混じって周囲を見回すと霊夢に似た女生徒や、教員には慧音に似た女性がいたりと内心動揺している。


小中高大を抱えるかなり大きな私立の学園であり、学費は高いが授業内容はとても素晴らしく部活等も盛んで良い記録をたくさん残している。

敷地も広大で全て別に校舎が建てられており、体育館やプール等も幾つか建てられている。

寮もあるようだが恭夜は自宅からの通学組だから関係がない。



「条件が全く分からない狭き門戸……か」

小声で呟いていた。


有名なこの学園に入学出来る条件は一切不明で、何もしていないのにある日いきなり合格通知が送られてくる。

無理に入学させようと金を積んでも無駄で、圧力をかけようとすると逆に痛い目を見る事になり誰もが手を出せない謎だらけの学園。



そのような事を考えていると学園の理事長兼学園長が姿を現した。

長く美しい金色の髪にちょっとした帽子、紫色のドレスに日傘を手にした見覚えのある女性に恭夜は冷や汗とこれは本当に現実なのかと軽く頬をつねっている。


「これから他にも行かないといけないから簡潔に言わせてもらうわ。知らない人もいるでしょうけど、私が学園長の八雲紫よ。進学、そして入学おめでとう。これからも貴方達のがんばりに期待するわ」

それじゃ、と言い一瞬だけ恭夜を見るとそのまま立ち去っていった。


「……」

高校からの入学組、しかも留年してるから目を付けられたのかと少し焦っている。


昨年は両親の事故があり入学式には出ず、両親が手続きだけしていたから紫が学園長である事を知らなかったらしい。

そのまま教室に帰されるのかと思ったが、様々な部活の紹介等も始まっていた。


………

……


教室に戻り自己紹介等を終え、本日は帰宅の時間になっている。

敷地内の帰り道には部活の勧誘の者が大勢待っており、敷地から出るのが大変な程だった。

そして……


「……迷っちゃった」

既に夜になってしまい敷地の外れの森のような場所をさ迷っている。




「……今年も外部からの入学組はハズレね。特に男子は酷いわね、最低値しかないから使い物にならないし」

持っていた資料をゴミ箱に放り投げ、溜め息を吐きながら呟いていた。


「紫様、そう簡単には集まりませんよ。それにアレを前にしたら基準を越えていても……」


「人が抱える負の塊が異形になる。それを祓い無に還す役目の為に招集してるの伝えると辞めるって言うから困るわ」

椅子に深く腰かけてここ数年新人が増えない事を考えて困っている。


「私達に良い所を見せようとする者程、実際に対峙すると恐怖で使い物にならないのも困りますね」


「藍ったら相変わらず厳しいわねー……あら?」

コーヒーの入ったカップを手にして部屋に置かれたモニターの電源を入れると森をさ迷う恭夜の姿が映し出された。


「紫様、彼は……」


「ええ、あの日に両親を異形に殺された生徒よ。……霊夢と魔理沙が間に合わなかったのが悔やまれるわ」

迷っている恭夜を助けるように藍に伝えようとしたが……


「そうでしたか……紫様! 彼の両親と同じ匂いに惹かれたのかアレが来ます!」

設置された計器に異形の出現パターンが表示されていた。


「藍、誰か出られる子は?」


「今日は誰もいません。ですので私が行きます」

普段は出現するのにもパターンがあり、今日は本来出るはずがない日で皆が寮や自宅に帰っていて呼び出すのにも時間がかかる。


「わかったわ。私がサポートをする……から……?」


「紫様?」


「ふ、ふふふふ! 凄い、凄いわ! 彼は当たりだったのよ!」

モニターに映る恭夜は蒼く巨大な槍を手にし、牛の頭をした人の形をした異形と対峙していた。





「……ずっと練習しといてよかった」

霊力を固めて作った蒼いグングニルを急に現れた牛頭に突きつけている。


魔力はないが気と霊力だけは夢と同じように扱える状態であり、現代では持ち歩けない武器を作り出せるようにグングニルを参考にしていた。



「ウゥゥゥゥ……」

手にした鉄の棒を構えてタイミングを見計らっている。


「何とも物騒な世界だったんだなぁ……」

対処出来る人間いるのかな、と考えながらも目は逸らさない。


「オォォォォォォ!!」

咆哮を上げると手にした鉄の棒を振り回しながら襲いかかってきた。


「鈍重でマジ助かる。頭潰せば消えるかな」

グッと脚に力を入れると後ろに飛んで結構な距離を取り、そのまま投擲の体勢に入った。


牛頭は周囲の木をへし折りながらこちらに進んできており、避けるような事はしそうになかった。

ただ恭夜を殺す事しか頭にないようで……



「……神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

夢の中のレミリアをリスペクトして技の名前を貰い、全力で槍を投擲している。


「オォォォォ! ……」

手加減一切なく放たれた槍は牛頭の上半身を軽く吹き飛ばし、衝撃で周囲の木々を薙ぎ倒して巨大な木にぶち当たった所でようやく停止して消えていった。



「うわぁ……」

自分でやっておきながら引いており、置いておいた鞄を拾いに向かうとそのまま逃げ帰っている。




所変わって学園長室では


「……」


「何というスピードと破壊力だ……」

紫は開いた口が塞がらず、藍もとんでもない物を見たという顔で呟いていた。


「藍、彼をどうにかこちら側に引き込みなさい。どうしても首を縦に振らなかったら……その身体を使って籠絡しなさい」

何をしても欲しい人材であり、今まで絶対に言わなかった身体を使えという指示まで出す程である。


「御意」


「……まぁ、さっきから熱い視線をモニターに向けてるから身体を使ってって言ったんだけどね。もしかしないでも一目惚れ?」

普段は堅苦しい藍の滅多に見れない表情にニヤニヤが止まらず、そのままからかい始めている。


「いえ、その……はい」

スーツ姿の藍は頬を赤らめながらそう答えていた。


「うふふ、藍にもようやく春が来るかもね。とりあえず彼のクラスの変更手続きをして、大学卒業後はここの教員になってもらうようにしないといけないわ。……私が子供の頃から居た、あのお爺ちゃん先生が後継者にって押してた理由はこれだったのね」

ここ十数年出ていなかった大当たりの男子に紫も興奮しており、物凄くテンションが上がっている。


「あの牛頭は一年間逃げ切り、他の異形を喰らって成長していました。現在の主力である霊夢や魔理沙でも苦戦を強いられたと思います。それを一撃で葬る程の力の持ち主です、今後現れると考えられている強力な異形との戦いの切り札になりますね」

ナイフや銃剣を手にすれば今以上の活躍も考えられる。


「ただ問題は他のみんなが受け入れてくれるかどうかなのよね。最悪の場合は藍と同じで私直属にするわ。……とりあえず藍には明日直接彼の家に行って話をしてきてもらおうかしら」


「あ、明日ですか?」


「早ければ早いだけいいわ。それに二人っきりよ? そのまま仲良くなれるかも」

とにかく早く手駒に欲しく、藍の好意を利用してでも手に入れようとしている。


「わかりました。クラスの変更の話から入るので明日の夕方に向かいます」


「ええ、それまでに書類は用意しておくわ」


………

……


翌日は特に何事もなく、年上だと知っても仲良くしてくれる同級生に感謝しつつ学園生活を謳歌していた。

昼は幼馴染みだという男女にオタク趣味で気があった男子一名の四人で取り、放課後はスーパーに寄って数日分の食材を購入して帰宅。

早いうちに夕飯の仕込みをして、翌日の弁当に入れるおかずも作って冷蔵庫にしまっている。

するとチャイムが鳴り……


「はい、どちら様ですか?」

モニターで確認するとスーツ姿の女性が立っており、セールスなら断ろうと考えながらインターホンに出ていた。


『……学園の者です。重要な話があるので失礼とは思いましたが伺わせていただきました』


「わかりました」

そう答えて切ると玄関に急いだ。



玄関の鍵を開けてドアを開き門まで急ぐと、尻尾はないが懐かしい顔をした女性が立っていて面食らっていた。


「私は八雲藍と申します。少し長くなるのであがらせてもらって構わないでしょうか?」


「あ、は、はい」

知っているが知らない存在にやはり混乱し、どうぞとそのまま家に招き入れている。


………

……


「……という訳で七夜月君にはクラスを移動してもらう事になりました」

リビングのソファに座りテーブルで向かい合い、目が合うとさっと逸らしながらもしっかりと説明していた。


設定としては紫のきまぐれで春休みに恭夜だけ行ったテストでかなり良い成績を叩き出していて、それを入学式が終わってやっと確認が出来て明日から特別なクラスに移動して貰いたいという、実際だったら無茶苦茶だがこの学園ならありえそうな設定になっている。



「わかりました。学費の免除は助かりますし、喜んで移動させてもらいます」

よろしくお願いします、と藍に頭を下げていた。


さらに学費も三年間免除、良い成績をキープし続ければ大学にも推薦してもらえると聞いて恭夜は二つ返事でお願いしている。



「……ここからが本題になるので少し言葉を崩させてもらうよ」


「はい?」

書類にサインをして印鑑を捺印し、藍に手渡したらそんな事を言われて思わず聞き返していた。


「この動画を見てほしい」

鞄からタブレットを取り出して軽く操作をし、動画を再生し始めた。


昨晩の一連の出来事が再生され始め、みるみる恭夜の顔が真っ青になっていく。

これを見せて藍が何がしたいのか分からず、警戒心を強め始めた。



「……君のこの力を私達に貸してもらえないだろうか?」

動画が終えたのを確認し、そのまま頭を下げてお願いしている。


「……え?」


「無論タダでとは言わない。危険な事だから多額の給料も払うし、何なら私の身体を自由にしてもらっても構わない」

そう言うと頭を上げて立ち上がり、恭夜に有無を言わさず服を脱ぎ下着姿になってしまった。


「うっ」


「君の力が必要なんだ……」

そのまま恭夜に近づいて強く抱きつき、耳元で甘えるように囁いている。


「わ、わかりましたから早く服を着てください!」


「……恥ずかしかったぁ」

離れると慌てて服を着て、チラチラ見ながら頬を朱に染めていた。


「やっばい。超いい匂いしたし、柔らかかったし。夢の俺はこんなんに毎回耐えるとかどんだけだよ」

改めて夢の中の自分をリスペクトしている。


「恭夜君、その、私からお願いがあるんだが……」

砕けた言葉のままで、いつのまにか自然に名前呼びになっていた。


「何ですか」

おっぱい触らせてもらえばよかったと後悔している最中だったが、顔を上げて藍を見ている。


「電話番号とアドレス、教えてもらえないかな……?」


「いや、でも書類に記入しましたけど」

緊急時の連絡用にと先程書いたばかりだった。


「ち、違うんだ。プライベートでって事……」

昔から忙しすぎて彼氏いない歴=年齢であり、しかも運命だとすら思った一目惚れの相手に対して勇気を出したが、さっきの下着姿になった事の恥ずかしさもプラスされて一気に顔が真っ赤に染まっている。


「あ、はい。女の人を登録するの……っていうよりも機種変更してから誰かを登録するの初めてです」

電話くらいしか使ってないからガラケーのままだが、最近はスマホのゲームとかやってみたいなと考えていたり。


「そ、そうなのか!」

ぱぁっ!と素敵な笑顔になり、慌ててスマホを取り出していた。


「とりあえず赤外線で」


「わかった」

お互いのアドレスと番号を交換している。



そのまま二人で楽しく雑談をしているとすっかり夜も更けてしまい、女性を一人で帰す訳にはいかない時間になっていた。


「藍さん、部屋はあるんで泊まっていってください。夕飯もすぐ出来ますから」


「……お言葉に甘えさせてもらおうかな」

初めて会ったとは思えないくらい一緒に居て心地よく、やはり運命の相手なのだと藍は考えている。


………

……


藍は色々期待していたようだが何事もなく朝を迎えていた。

早起きな恭夜の朝御飯を食べると書類を届けるからと礼を言い、後ろ髪を引かれながらも家から出ていった。


「……高校生の料理なんてと馬鹿にしていた過去の自分が恥ずかしくなる。昨晩のお手製コロッケ、今朝の卵焼きと最高だった……ん?」

鞄が昨日より膨らんでいるのに気がついて開けてみると、中にお弁当が入っていると思われる包みが入っていた。


「これは……彼はどちらかと言えば嫁にしたいタイプ。そうなると彼が花嫁衣装に?」

昨晩のコロッケをたくさん美味しそうに食べてくれた事が嬉しかったようで、朝食を食べる前にこっそりと入れておいたらしい。



その日の昼、紫は注文していた業者のお弁当を広げていたが藍は恭夜お手製の弁当を取り出していた。


「あら、藍は珍しく手作り?」


「ええ、まあ」

二段の弁当の蓋を開けると手の込んだ美味しそうなおかずと昨晩のコロッケに卵焼き、そして下の段が海苔弁になっていた。


「わぁ……」


「いただきます」

箸を手にして早速卵焼きに手をつけている。


「ら、藍! 何か交換しましょ?」

予想以上に美味しそうなおかずに交換しようと持ちかけていた。


「嫌です」


「従姉妹なんだから交換してくれたっていいでしょー!」

どうしても食べたいらしく、子供のように頬を膨らませている。


「本家の当主がそれじゃダメでしょう。もう子供じゃないんですから」


「今度藍の大好きな、あの店のいなり寿司奢るから!」


「……はぁ、一つだけですからね。折角彼が私だけに作ってくれたのに」

ぶつぶつと小声で文句を言いながら卵焼きを紫の弁当の白米の上に乗せた。


「何だかんだ言いながらちゃんとくれるから藍大好き! いただきまーす!」

パクッと一口で食べている。


「……」

藍は次々と要求される前にどんどん食べていく。


「うわっ、何これ美味しっ。甘さもちょうどいいし、これは幾らでも食べれ……ちょっ、藍ずるい! 私が感想言ってる間に全部食べるとか!」


「ごちそうさまでした」

右から左へスルーして弁当箱を包み鞄にしまいこんだ。


「うー……ねぇ、明日から私の分も」


「私が作った訳ではないので無理です」


「そうなの?」

自分の弁当に手をつけながら改めて藍に聞き返している。


「ええ、作ってくれたのは紫様もご存知の彼ですよ。七夜月恭夜君」


「え、嘘。だって高校生よ? あの卵焼きなんて今まで生きてきて一番美味しかったのに。正直我が家のシェフ涙目よ?」

家事特化な事が現代では何よりも価値があった。


「それと細かい説明はしていませんから、本日も彼の家を訪れて異形に関する説明をしたいと思います」


「……仕方ないわね。今日は私も行くわ」


「確かにそうしていただけるとスムーズになりますけど、間違いなくご飯目当てですよね」

今日も行くという部分に反応した紫に溜め息を吐いている。


「とりあえず食材買ってから行きましょうね」

既に作らせる気満々だった。


「ごめん、恭夜君。私じゃ止められそうにない」

教室で同級生と雑談しているであろう恭夜に止められない事を謝っている。




「うわっ、何か今ゾクッと来た!」


「ほらほら誤魔化してないで。次は七夜月さんの番っすよ」


「これ詰んでるだろ……ジェンガだけに」

既にフラフラしているジェンガを前にそんな事を口走っている。


「寒っ」


「先輩も冗談言うんですね」

幼馴染みの男女は二人して少し引いていた。


「え、何この空気。トランプとUNOで無双したから?」

この現実でもカードを使うゲームでは圧倒的な強さでダントツだったらしい。


「ハートのロイヤルストレートフラッシュをスペードのロイヤルストレートフラッシュで潰すって信じられない光景を見たっす」

トランプを二つ使っていたから出来たようなものだが、本来ならありえない潰し方に見ていた者達もどよめいていたりする。


………

……


帰宅して明日の弁当の仕込みを終えた夕方頃、唐突にチャイムが鳴りインターホンを確認していた。

すまなそうな顔の藍が立っていたので玄関まで行き門に向かっている。


「度々すまない、昨日説明出来なかった事を説明しに来たんだ。それとこれ、とても美味しかったよ。ちゃんと洗ってきたから」


「お邪魔しまーす」

紫は立ち話をする二人の間をスッと通り、玄関まで行くと靴を脱いでちゃんと並べてからリビングに向かっていった。


「別に洗わないでそのままでもよか……って今誰か許可してないのにナチュラルに入っていきましたよ!?」

横を通りすぎて中に入っていく紫をチラ見してから弁当箱を受け取り、何で許可なく入ったのかと思わず振り返っている。


「ああ、もう紫様! まだ恭夜君に許可を貰ってないんですからダメですってば!」


「フリーダム過ぎるだろ……」



紫の後を追うとリビングではなく仏間に居り、線香をあげてから恭夜の両親に頭を下げていた。


「あの時、私がもう少し早く指示を出していたらといつも悔やんでいました。一年間も苦しませてしまった事、貴方達の息子さんの心を壊してしまった事……謝って許してもらおうとは思いません」


「……」

藍にはリビングに行ってもらったらしく、声をかけず仏間の入り口に立って聞いている。


「話をしましょう」

頭を上げて恭夜の方を向いてそう告げた。




紫と向き合い徹底的に根掘り葉掘り聞き出している。

人のマイナスの感情が生み出す異形の事、学園には力が最低ラインある者だけを集めている事、紫の家が代々国から支援を受けて異形と戦っている事などなど。


「他にもここの学園みたいな場所はあるんですか?」


「ええ、あるわよ。ただ私の学園が最前線みたいな物で、基本的に他の学園には力の強い異形は現れないわ」

故に優秀な者が集められ国からの支援もしっかりしていて、他の学園とは比べ物にならない程の規模になっている。


「強い霊力を持った者の魂を喰らうからでしょうね。学園長や藍さん、他の教員にも強い霊力を持った方が居ますし」

理由は不明だが夢で見た自分と能力が完全にリンクしており、実は戦闘以外の方が超優秀だったりする。


「ふふふ、賢い子は好きよ。一昨日貴方が祓った牛頭のお陰でしばらくは負の念が実体化しないはずなの。かなりの力を持っていたから、散る時に浄化された念が広範囲に広がったしね」


「それはよかったです。それと好きとか言われると好きになっちゃうんでやめてもらえると嬉しいです」

凄く単純だから綺麗な女性に好意を持たれるとすぐに好きになってしまう。


「あらそれは嬉しいわ。貴方について詳しく調べて本家に報告したら、鬱陶しかったお見合いの話が一気に消えたのよ」


「?」

言っている事の意味が理解出来ず不思議そうに紫を見ている。


「私のお婿さん候補」

ビシッと指差してそう言い放った。


「なにそれこわい」


「もしそうなったら藍が妾になるわ。ここ数百年産まれていない優秀すぎる力を持った男、本家と分家にその血を取り入れたいと皆が考えているの」

その手の力は女性のが強いらしく、男でこれだけの力を持つのは過去の英雄くらいでしか存在していない。


「堅苦しいのはちょっと……」

ちょっと心惹かれたようだが自由がなくなりそうで警戒している。


「高校卒業まで猶予はあるから大丈夫」


「毎年留年をしよう(迫真)」


「テスト受けなくても無理矢理上げる事は出来るのよ? ふふふ、権力大好き」

本気で留年しそうな恭夜に対して悪そうな笑みを浮かべていた。


「……あれ? これって人生詰んでる?」

俺の恋をしたりされたりする青春は?と本気で不安になっている。


「恋愛とかは力のある子なら私は別に構わないわよ? ただ藍みたいに妾になってもらうけどね」

会話していく内に好感を持ち始めていて、この子なら別にいいかもと紫は思っていた。


「どうしよう、いつのまにか学園長ルートに入ってる。二日前の放課後のデータをロードして部活の勧誘を受ければ青春ルートに」

最近プレイしているギャルゲー的な現実逃避をし始めている。


「大丈夫よ、貴方が卒業するくらいの時には私が家の権力を掌握してるから」


「えぇぇぇぇ……」



こんな学園生活をする世界もあるのかもしれない。

こんな感じの現代学園物。

本編と違ってこっちなら俺TUEEEEE!!!が出来るけど、戦うのが好きじゃないから意味なし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ