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特別編 ロリハーレムへの道

諸行無常と達筆な字で書かれた白のTシャツに香霖堂で購入したジーンズの青年が空を飛び、河童が作ったお洒落なインカムを付けて指示を出しながら里を逃げ回る何かを追いかけていた。

そして地上では涼しげな白のワンピース姿の少女と黒のワンピース姿の少女もインカムを付け、指示された通りに二手に別れて何かを追い詰めていた。


「主よ、奴をようやく追い詰めたぞ!」


「マスター、こちらも逃げ道は塞ぎました!」


「何だっていい! 奴を捕まえるチャンスだ!」

そう言いながら空から降りてきて最後の逃げ道を塞ぎ、ジリジリと三人で間合いを狭め……



「……よし、依頼されてた猫を捕まえたぞ!」

恭夜に抱っこされて身を捩りながらニャーと鳴いている。


「毎度思うのだが依頼の落差が激しすぎる。昨日は人を喰らい続けて里の者にまで手を出し始めた獣の妖怪変化の抹殺、今日は逃げ出した猫の捕獲」


「一昨日は夏場に出来るスタミナ料理の指導だったわ。先週は大十字九郎とあの世界のアル=アジフが遊びに来たから私達だけお仕事オフだったけど」

二人はこちらの世界に遊びに来て一週間滞在していったようだ。


毎日ご飯がたらふく食べられる事に感動しているのを見て恭夜は涙が止まらなかったらしい。

すっかり意気投合したガチペド二人は即席のチームを組んで依頼をこなし、報酬を受け取ると茶屋で甘味に舌鼓を打ったりと幻想ライフを満喫。

最終日にはその内にあちらの世界に遊びに行く事を約束し、お土産に野菜をたくさん持たせて見送っていた。



「文句言うなってば。安全な依頼もないと疲れるだろ? 妖怪退治の依頼で依頼人に、騙して悪いが……とか言われた時はマジで笑えたよな。アルとエセルが欲しいからとか言い出してさ」


「ああ、あの時の事だな。妾とエセルが汝に思いっきりツッコミを入れた日」


「物凄いブーメランで流石の私もマスターの擁護は出来ませんでした」

エセルドレーダは当時の事を思い出してクスッと笑っている。


「解せぬ。俺はあいつに、この変態ロリコン野郎が!って言っただけなのに」


「汝が言うな!って叫んでたわ」


「マスターも人の事を言えません!って叫んでいました」

物凄いブーメランに思わず二人は叫んでしまったらしく、恭夜はまさかの身内からのツッコミに目を白黒させていたらしい。


「まぁ、最後は妖怪の餌になってもらったんだけどさ」

手足にさよならをさせて痛みで苦しませ、殺してくれと言われてから首と胴体にもさよならをさせていた。


………

……


アルとエセルドレーダがお出掛けしている間の暇潰しに物置を見て回っている。

そして何故か部屋の隅に積まれた覚悟のススメを発見、懐かしさと憧れの英雄が載っている漫画を嬉々として部屋に全て持ち帰っていた。


「……はぁ、やっぱ格好良いわー。強化外骨格もたまらん」


「……」


「……もうアルとエセルにメイド服を着てもらえないかと思うと、現実逃避をしたくなるんだぜ」

胡座の上に座る金と紫のオッドアイの非常に無口な少女を見て呟いていた。


「……」


「しゃべってくれないのは警戒してるからなのか……でもそう考えると思いっきり俺に寄りかかってるのはおかしいな。この子もアルとエセルみたいに魔導書の精霊なんだろうけど」

ルルイエ異本に気がついたのは部屋に戻ってきてすぐであり、慌てて戻そうとしたが手遅れだった。


「……」


「やたら騒ぐリアルなツンデレのアル、俺に忠誠を誓いながらも愛情を捧げてくるエセル。そして無口なのに体勢を変えて抱きついてくる君」

二人の名前を出すと向かい合うように胡座の上に座り、離すまいと強く抱きついている。


「……あれか、漫画で封印されたから二人が怖いのかな」

頭をぽむぽむして撫で始めた。


「……」

いきなり触れられてビクッとしたが目を閉じ心地良さそうにしている。



そのまま数時間密着したままでいると帰ってきた二人の怒声が家に響き渡った。


「このうつけ者が!!」


「あれだけ触らないようにと言いましたよね!」

普段大きな声を出さないエセルドレーダまで大きな声で怒っている。


「いや、その……」

恭夜は正座させられているが、二人から隠れるようにして背中にルルイエ異本が抱きついていた。


「妾は汝が本当に反省するまでしばらく別の部屋で寝る事にする」


「私もそうします」

少し冷静になった二人が残酷な事を言い放っている。


「いや、それは厳しすぎるって! それは考え直そう、ね?」

どちらかを抱き枕のようにして毎日寝ているからか死活問題らしく、物凄く慌てて二人に考え直すように訴えていた。


「イヤだ」


「今回の罰です」


「あぁぁ……何て日だ!!」

青年よ、これが絶望だ。




しかし恭夜はロリを惹き寄せる程度の能力の持ち主なんじゃないかと思われる程であり、二人が冷たく接してしまうと……


「二人はまだ冷たいけど、ルルイエ異本が可愛くて仕方がない」

やけくそになって契約も済ませ、一週間ですっかり懐いたルルイエ異本を可愛がっている。


「……」


「ただ夜が色んな意味でキツいのが……」

たったの一週間で手を出すわけにもいかず、潜り込んでくるルルイエ異本に困っていた。


三人に手を出した時点で既にガラス並の自制心になっており、いつ手を出してもおかしくない状態になっている。



「……」


「遠い昔にこんな無口なタンポポみたいなライオンの相棒が居たような……」

脳内に微かに浮かんだがすぐに消え去っていった。


………

……


それから一週間が経ちようやく二人と仲直り、さらに二週間が経つ頃には仕方ないとルルイエ異本を二人とも受け入れていた。


「これで四人家族になったな」

新しく部屋も用意して仲良く生活している。


「まぁ、これで汝が小さい子好きだというのが里の者達の間で確定事項になったがな」


「ですが里の役に立っている事と磨き上げた容姿の良さで、マイナス部分を消していますから安心してください」


「……」

ルルイエ異本は恭夜に買ってもらったアル、エセルドレーダとお揃いで色違いの青いワンピースを着て座布団に座ってやり取りを眺めている。


「ロリも好きなだけなのに困るな。今年もそろそろプールに空気を入れて庭に出すかー」

毎年巨大なプールを庭に出しており、知り合いの妖怪達も西瓜やとうもろこし等を持参して遊びに来たりする。


「むっ、それなら水着を出さねばな。今年も妾の水着姿に見惚れる汝の姿が目に浮かぶ」


「そうなるとルルイエ異本の水着も買いに行かないといけませんね」

エセルドレーダはじーっと三人を観察していたルルイエ異本を見て恭夜に提案していた。


「そうだなー。俺も今年こそはブーメランタイプの水着にするべきか」

身体に自信があるからブーメランタイプを恥ずかしげもなく選べ、霖之助から布教された褌も着用して二人で寒中水泳を楽しんで死にかけたりもしている。


「勿体ないからダメです。マスターは去年のトランクスタイプを使ってください」


「あー、確かにまだ使えるし勿体ないか」


「そしてマスターのへそくりで私達は新しい水着を揃えます」

物凄く素敵な笑顔でエセルドレーダは封筒を手にしていた。


「そ、それはルルイエ異本専用のメイド服の購入資金……」

ちまちました依頼をこっそり受けて貯めていたメイド服用のへそくりだったようで、隠し場所も誰にも知られていないはずだった。


「ちょうど妾達三人が新しい水着を買うのにぴったりな金額のへそくり……このHENTAIめ!」

アルは何かを察してポッと頬を赤らめながらHENTAI呼ばわりしている。


「脳内ピンク色とかお前はエロ本の精霊か!」

メイド服が買えなくなるからか対応が少し辛辣になっていた。


「なっ!? 恭夜こそ本当は妾達の新しい水着姿を妄想する為にへそくりを貯めておったくせに!」


「そういえば、いつも全裸には萌えがないと言って夜の時も全部脱がす事は少ないですよね」


「いつでもアルがどんな服が似合うか妄想してるからへそくりは関係ないね! それとエセル、夜とか言わなくていいから。まだ無知な子もいるんだから、ね?」

ルルイエ異本には手を出さずにマスコットのようにして愛でており、出来るなら生々しい会話を聞かせたくないらしい。


「マスター、彼女は無知ではないです。連日覗かれていましたから」

アルが恭夜のデレ発言に照れてパクパクしている間に衝撃的な事を口にしていた。


「なん……だと……?」

思わずルルイエ異本を見ると頬がほんのり桜色になっており、目があうとサッと逸らしたのが何よりの証拠である。


「『ピー!』が『ピー!』で『ピー!』した所も見られてますし、彼女はムッツリエロ本娘ですね」

自分の事を棚に上げてエロ本娘呼ばわりをしていた。


「そ、そんな所まで?」


「はい。ですので私は見せつけて逃げ帰らせようと思ったのですが、逆に興味を持たれてしまったみたいです」


「次からはちゃんと結界張ろう」

キリッとした顔で決意を新たにしたのはいいが、にゃんにゃんする事に対する決意で色々台無しだった。



その日からルルイエ異本はアルとエセル相手には口数は少ないが何かを話始めたが、恭夜が話しかけても頷いたりはするが喋ってくれないまま。

ただそれまでは依頼に同行せず自宅待機していた彼女が一緒に付いて来たり、三人で買いに行った水着を真っ先に見せに来たりと嫌われてはいないようだった。


「最近ロリコンの外来人達から神と崇められている件について」

ちなみにその外来人の一部は様々な家に婿入りし、まだ寺子屋に通う少女の未来の旦那になっているようだが。


「前からだな」


「前からですね」


「えっ、マジで? 俺はルルイエ異本が来てからだとばかり……」

一部からは宇宙的ロリコン呼ばわりもされている。


「ヤスが妾達二人を恭夜の嫁だと吹聴し始めた時から陰で言われていたな」


「マスターに悪い虫が付かないように当時の私はマスターの恋人だと偽っていましたから、それで拍車がかかったのかもしれません」


「ありがたくて涙が出るわ。……それで今朝聞いた事を再確認するけど、ルルイエ異本は現在人間の言葉を勉強中なんだよな?」

自分から話を振っておいて話を違う方に持って行き始めた。


「うむ、妾達が日本語を教えている」


「だから喋れなかったんだな。クトゥルー召喚の呪歌は聞き取れたけど」

それに反応したのか、呼んだ?とか軽いノリで現れたクトゥルーにルルイエ異本も驚いていたようだが。


「簡単に出てくる邪神に妾達は慣れたが、相当驚いていたのは確かだな」

エセルドレーダを先生にして一生懸命ひらがなをノートに書き写す姿を見ながら話している。


「西瓜食べてる時にいきなり口ずさみ出して、詠唱終わったと思ったら間髪入れずにプールから出てきたもんな。西瓜食べて帰って行ったけど」


「ルルイエ異本を膝に乗せている姿がシュールだった」

迷惑にならないように部屋の隅に移動し、座布団を敷いて向き合って座り話している。


「お爺ちゃんと孫みたいな感じだったよな」

のんびりとした時間をアルと過ごしていた。

三冊目の魔導書の精霊と契約。

アーカムに行く約束をしているけど色々危ない。

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