特別編 ガチペドロリコンへの道3
持ち込まれる依頼をこなしながら別世界に乗り込んでしまったり、ジャンピング土下座からの土下寝までして某邪神を自分達の世界に連れ帰ったりと忙しい日々を送っている。
聖書の獣とその世界のナコト写本、貧乏探偵とその世界の死霊秘法が思わず怯むくらいの恐ろしさで他所の世界で悪さをしていた知り合いの邪神をシバいたりと常識は投げ捨てていた。
「あの魔を断つ剣とかめっちゃ格好良かったなぁ。河童に頼んだらアルのアイオーンをあれ風に改造してくれないかな」
ぎっくり腰でしばらく働けなくなった爺様の代わりに田植えを手伝いながら呟いている。
「しかし、我が主ながらあれはとても美しい土下座だった」
日焼けや日射病にならないように完全防備で田植えをしながらエセルドレーダに話しかけていた。
「あのジャンプからの土下座は今まで見たマスターの土下座の中でもトップ3に入るわ。ニャルラトホテプ……あの世界ではナイアと名乗っていたけど、マスターが忙しくて遊んでくれないからって他所の世界に干渉していたなんてね」
最近少しだけ仲良くなったらしく話し合っていた。
「うむ、正直に言えば怒らないと恭夜に言われて馬鹿正直に答えるとは妾も想像できなかった」
………
……
…
「恭夜さん達ー! そろそろお昼にしようやー!」
夢中になって田植えをしていると、他の爺様や婆様達が手を振りながら三人に声をかけてきた。
「はーい! ……とりあえず言われた分は終わったし、お昼ご馳走になったら家で風呂に入ろう」
手拭いで汗を拭きながら呟くと、背後の二人にも聞こえたのかピクッと反応している。
「今日は確か……」
アルは何かを考えながら指折り数えていた。
「今日は三人で入る日よ、夜も三人一緒」
考えているアルに横から口を出し、ついでに夜の予定も教えていた。
「最近は毎晩早苗が邪魔しに来るから、今日は早い時間に結界を張るしかない」
「そうしましょう。あの現人神はマスターのロリコンを治すと言って夜を独占するから許せないわ」
アルとエセルドレーダにはいい雰囲気になった時に自ら手を出し、早苗に関しては神社で二柱の神に謀られ盛られて獣のように貪ったらしい。
「うむ、あれはロリコンではなく女好きなだけだ。早苗にくっつかれてデレデレしている顔でわかる」
そんな田植えの日から数日が経っていた。
妙にツヤツヤしたアル、エセルドレーダ、早苗の三人は居間で談笑していて、恭夜はゲッソリした表情で何か薬のような物を取り出して飲んでいる。
和解でもしたのか三人は和気藹々としていて、今までの揃った時の剣呑な空気は微塵もない。
「話してみるとアルさんとエセルさんとは気が合いますねー」
「うむ、早苗が我が家に通う事を妾が認めよう!」
「それはマスターが決める事よ、アル=アジフ。でもマスターにはYESかはいのどちらかしかないと分かっているかもしれないわ」
部屋の隅で背を向けて耳を塞いでいる恭夜を見て妖艶に微笑んでいる。
「諏訪子様と神奈子様も次代の風祝の誕生を心待ちにしてますから、早く子を身籠る為にも出来るだけ通いたいですねー」
「妾もいつか子を産む日が来るのかと思うと胸が熱くなるな」
「そうなると腹違いの兄弟姉妹になるのね」
リアルなちょっと先の未来の話に花を咲かせ、三人で恭夜の人生という名のレールを誘導し始めていた。
居候だった小傘が修行するからと出ていって数ヵ月。
ストッパーだった小傘が居なくなった事で仕事のない日は朝から晩までアルとエセルドレーダの二人とイチャイチャしていたりと、完全に受け入れて二人に手を出している。
早苗とは神社での一件以来気まずくなって距離を置いていた。
だが早苗がこっそり遊びに来てたまたま二人と致す光景を見てしまい、このままではダメだと更正を名目に成熟した身体で迫ってそのままにゃんにゃんする仲になったらしい。
ロリが好きな訳ではなく、ロリも好きになったのだと早苗との事後に話していたようだが。
「まだ貯蓄とか家の建て直しとかが……」
部屋の隅にいたが、子供という単語が聞こえてから即座に現在の貯蓄やらの計算を始めている。
「お二人は驚かれるかもしれないですけど、恭夜さんは神様になるかもしれないんですよ。邪神と旧神の方々が話し合った結果、僅差で旧神として迎え入れて長く一緒に遊べるようにって。邪神の方々は悔しそうにしてましたけど、桃鉄99年で勝負をつけたから仕方ないですね」
とんでもない理由で意見が一致したらしく、着々と旧神化計画が進んでいて早苗は同じラインに立つ事になるのが本当に嬉しそうだった。
「そうなると妾達も影響を受けそうな気がする」
「私はあの時の契約を魂レベルでしたから間違いなく影響を受けるわ」
「それなら私達四人はずっと一緒に居られそうですね!」
昨晩何があったのかはわからないが本当に仲良くなっていた。
それからもイチャイチャしたり子作りに励んだり依頼をこなしながら、本当に楽しい日々を過ごしている。
ただ今回の妖怪退治で少々心に傷を負ったようで……
「マギウス・スタイルを見た外来人から『黒いピチピチの変態がいるー!?』とか言われた……」
妖怪退治のお仕事をしてきたようで、心ない外来人に本当の事を言われて膝を抱えて部屋の隅でボヤいている。
「わ、妾は恭夜の腹筋とかがはっきり見えて好きだぞ!」
「私もマスターの素敵な肉体がはっきり分かって大好きです」
「ありがとう、二人とも超愛してる。……あー、死にたい。薄々は気づいてたけど真正面から言われると傷つくわー」
助けた相手に変態扱いされて結構グサッと来たらしい。
「……仕方ない。今夜は恭夜の大好きなメイド服を」
「マジか」
メイド服という単語で言い切る前に元気になり、アルの肩を掴んで確認している。
「汝、本当にメイド服が好きなのだな。ま、まぁ、妾も嫌いではないが……」
「メイド服だとマスターは通常の三倍激しく……」
エセルドレーダはその時の事を思い出し、ポッと頬に手をあてて照れていた。
「二人のメイド姿が凄く可愛いから仕方ない。二人のお陰で元気出てきたし、今日の夕飯は少し気合い入れて作るわ」
「エセルドレーダ、妾達はきっと今夜は寝かせてもらえない。あれは野獣の目をしておるわ」
「ええ、アル。でもその貪られるのが今から楽しみで仕方ないわ」
互いに名前で呼ぶようになっており、以前よりも仲良しになっていた。
「うぐぐ、僕の親友であり伴侶になるはずだった存在がエロ本ロリ娘二人に寝取られた……」
サプライズで遊びに来て聞き耳を立てていた霖之助が、玄関前でorz状態で発見されるのはそれから数分後の事。
………
……
…
「霖之助が血涙を流しながらこれ頼まれてた服だから!って紙袋を俺に渡して、何故かアルとエセルを睨んでから逃げ帰ってしまった」
紙袋の中にはアル、エセルドレーダの新しい服や恭夜の服が入っている。
「あの男からは何やらよからぬ物を感じるが」
「主にマスターの貞操的な意味で」
だんだんエセルドレーダも染まってきて緩くなっていた。
新しい服を着てご機嫌なアルとエセルドレーダを見ながら、先日の鬼械神への初搭乗の事を思い出していた。
「紫からダイダラボッチの暴走を止めてくれとか無茶を言われた時はどうしようかと思ったな。アルのアイオーンかエセルのリベル・レギスのどっちか使う許可が下りてマジでよかった」
生身で行く勇気は流石になかったようで、紫に土下座してお願いしたらしい。
「だが汝は妾のアイオーンで正気に戻るまでぶん殴る!ってノリノリだったな」
「まぁ、武器やら魔術を使ったら死んでしまうんじゃないかって思ったから。でもアルとエセルが色々な制御を担当してくれたから、アイオーンを自分の手足のように動かせたんだよな」
アルが地道に色々と手を加えていたようで、三人まで制御担当として乗り込む事が可能になったがその分だけ動かす為の魔力量が増えている。
魔力に関しては魔法の森の食用ではないキノコを食べてしまった時に、心臓が脈打つ度に魔力を生み出す炉のような物になっていてかなりの余裕があった。
一ヶ月も意識不明で永遠亭で生死の境をさ迷い、何度となく心停止を繰り返して得たもの。
アルとエセルドレーダは恭夜が生きて意識を取り戻してくれた事に喜び、歩く魔力タンクになった恭夜のお陰で魔術を使い放題になった事も喜んでいた。
「初めてなのに自身の手足のように動かすマスターは凄かったですよ。次の機会には私のリベル・レギスで……」
「出来ればその機会がない方がいいんだけどなー」
ダイダラボッチがでかすぎて怖かったらしく、次の機会がない事を期待している。
「だがトラブルを引き寄せるのが汝だから安心はできん」
「ですよねー」
「そうなったらリベル・レギスを使いましょう」
エセルドレーダはナチュラルに胡座の上に座り寄りかかっている。
「エセルのリベル・レギス押しは凄いな」
両手をエセルドレーダのお腹に回し頭に軽く顎を乗せ、いつものイチャイチャする時の体勢になっていた。
「な……ずるいぞエセルドレーダ!」
「早い者勝ちよ、アル」
「……最近アルとエセルが本の状態になってるのを貸してくれって小鈴が言ってくるから困るわ」
本物の知識は生易しい物ではないから無理だと断り、霖之助から購入している外来本を譲る事で誤魔化しているようだが。
「あの小娘はいつか身を滅ぼす気がするな」
「マスター以外には触られたくないです」
「てかこの前の緊急での依頼にあったビヤーキー退治、あれ呼び出したの間違いなく小鈴だよな」
文と咲夜に協力を要請、どうにか捕獲して元の場所に送り返し何とかなっていた。
「折角妾達が稼いだ金も鈴奈庵の魔導書関係を買い占めたせいですっからかん」
「そのせいでマスターのおこづかいは半年なしです」
「いや、あれは仕方ないだろ……」
目だけ笑っていない笑顔で小鈴から魔導書を全て買い取り、次はないという警告も遠回しにしている。
「確かにルルイエ異本があったのは不味かったが、他の魔導書まで買い占める必要はあったのか疑問が残る。むしろ騒ぎを起こさせて妾達で解決すればよかったような」
「確かに何回か騒ぎを起こさせれば、没収という形で魔導書を全て持って帰ってこれたわ」
「二人のマスターのはずなんですが、何故か遠回しに責められている気がします」
結婚したら尻に敷かれるタイプである。
………
……
…
「ルルイエ異本が動いたって?」
恭夜が部屋で夏服を出そうとしていると、二人が入ってきて冷静に伝えていた。
「うむ、だから妾達が部屋の隅に追いやって漫画を上に積んでおいた。汝は触るんじゃないぞ」
「あれなら動けませんからご安心ください。それとマスターは触ってはいけません」
「何それ触りたい」
二人に触るなと言われて逆に触りたくなっていた。
「これ以上増やさない為だからな。もし触ったらメイド服は二度と着てやらん」
「うん、絶対触らない」
長年ブラックな紅魔館で働けていたのもメイド萌えだったからなのかもしれない。
「ふふん、妾のような美少女に着てもらえる幸福を噛み締めて……」
「アルは可愛いなぁ!」
腰に手をあててドヤ顔を決めるアルを思いっきり抱き締めていた。
「こ、こら! いきなり何をする!」
と口では文句を言いながらも抵抗せず、抱き締められたままエセルドレーダに勝ち誇った笑みを浮かべている。
「……ふっ」
アルが知らない場所で抱き締められたり、情熱的にキスされたりと圧倒的な正妻力でそれくらいじゃ悔しくもないようだった。
「最近やたら見合いの話が来るからストレス溜まってたけど、アルが可愛くて一瞬で吹き飛んだわー」
大体がお得意様からのお誘い故にお断りする事も出来ず一度は会う事になっている。
何故か見合いに来るのが10〜12歳程の少女ばかりなのは言うまでもない。
里の者からは完全に小さい女の子好きだと思われていて、その内に慧音が矯正しに来そうな程に情報も錯綜している。
本人はアルとエセルだから好きなんであって、別にロリが好きというわけではないと言っている模様。
「毎回小さな女の子ばかりが連れてこられる感想は?」
「今回はなかった事に、って言えるから楽でいいけど」
そして嗜好は普通の成人男性と同じだと伝えると物凄く驚かれる所までがお約束。
「マスターは幼い子が好きなのだと皆が誤解していますね」
「俺は好きな女の子ならどんな見た目でも好きなタイプだから。ガチペドロリコンとか、トラペゾヘドロンみたいな語感の良さで誤解されるような事を言うのはマジで困る」
アルを抱き締めながら言っている時点で説得力が皆無だった。
「誤…解……?」
腕の中でアルが不思議そうな声を上げていたがスルー。
「……しかし明日は大人になりたての天狗達との戦闘訓練とか気が重すぎるわ」
話の流れを変える為にアルから離れ、明日の予定を手帳で確認し始めた。
なりたてで文字通り天狗になっているので、その傲慢さを捨てさせる為に見下している自身達より劣悪な人間からフルボッコにされる行事。
去年はビヤーキーを何体も呼び出して数の暴力で決着をつけたりとやりたい放題。
「今年はどうしますか?」
「妾は去年と同じでいいと思うが」
「だな。ちょっとハスターに電話してくるから」
旧神と邪神、他にも世界中の神々で電話帳が埋まっている携帯を取り出して部屋から出ていった。
色々と手遅れでござる。
他所の世界にお邪魔して原作完全崩壊させてたり、タイトルの道がいらない状態になってたり。