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日常の一コマ的なアレ

小鈴が百物語をしたいと言い出してそれに付き合う事になり、霊夢の隣にでも座ろうとしたが何故か妖夢に服の裾を握られて動けなくなっていた。


既知の里の者も居るが恭夜の周りは妖怪やその類で溢れて近づけず、小鈴はちゃっかりと恭夜の隣に座っている。


早苗は真後ろから怖いからと密着し、恭夜は平然としながら背中に全神経を集中させていた。


ハーレム状態で羨ましいと思えるのは外来人だけであり、大妖怪やその類に囲まれて平然としているのを見て里の者は相変わらず凄いと考えて見ている。


「……それじゃあ、これは俺が体験した話なんだけど」


自分の番が来た恭夜は皆が知らない外で体験したガチホラーを語り、妖夢を恐怖のどん底に叩き落している。


問題は話の後半で、怨霊のあまりのしつこさに恭夜がボコボコにして三途の川に送還した部分が完全に手に汗握るバトル物になっていた。


「……だったんだ。おしまい」


妖夢は前半で既に腕が折れるんじゃないかという力で抱きつき、小鈴も思ったより怖い話にピッタリ隣にくっついている。


恭夜が無駄に強いから戦えただけであり、普通の者なら魅入られた段階で詰んでいる事が分かるので里の者はゾッとしていた。



「次は妖夢……がスヤァしてるから続けて俺が。これも実体験なんだけど」


………

……


魔理沙のドッキリで小鈴と妖夢が気絶した百物語の翌日、お土産を手に守矢神社を訪れていた。


「最近は心が乙女だったり、心がおとこだったりする方々からも神のような扱いをされてて困る。お世話になってるから、これも全部守矢の神々のお陰なんだって言っておいたよ」


「最近やけに信仰が集まりやすいなって思ってたんです。それが恭夜さんのお陰だったなんて……もう結婚しかないですね」



「ちょっと諏訪子! 一個だって言われたでしょ!」


「神奈子は甘いよ。恭夜の言った事の裏を読まないと」



「あっちはケーキ食べて喧嘩してるなぁ……」


「貴重な洋菓子ですから。私はこの前のフルーツを使ったパウンドケーキが好きですね」


「一時期は紫にバターやら買って来て貰ってたんだけど、最近は一緒に買いに行かされるんだよなぁ……一人にしておくとナンパされてるし」

相手の命が危ないから割って入る事が多く、余程の身の程知らず以外は恭夜の容姿と対応で諦めるので楽なようだが。


「私はこっちのが気楽でいいですねー。やっと里の一部の方々から恭夜さんの妻として見られるようになりましたし」


「おばあちゃんに浮気はしても奥さん大事にしなさいねって言われて苦笑するしかなかったんだが?」


「えへへ、照れちゃいますねー」


「大ちゃんが早苗を真似しようとした時は小脇に抱えて全力で里から離れたなぁ。あれは危なかった……冗談抜きにド外道扱いされちゃう」




「この恭夜の信仰心たっぷりのケーキ、この前は遊びに来てた他所の神々に沢山食べられちゃったから今日は食べなきゃ」


「自分達の事も信仰してほしいって恭夜に絡んでたね。寧ろ世話役に欲しいって目をしてみんな本気だった」


「男神は避けたりしながら答えてたのに、女神は避けない恭夜はもうあれだったね」




「月の異変で霊夢達に追いついた瞬間に流れ弾に当たった時は死ぬかと思ったなぁ……」


「気絶した恭夜さんを鈴仙さんが慌てて介護して、霊夢さんがブチギレ本気モードで圧倒してましたよ」


「起きたら早苗に膝枕されてた時は何が起きたのか分からなかった」

異変に慣れ始めて油断したらしく、いい角度で入って気絶していたようだった。


「涎垂らしてましたよー」


「いや、起きた時には出てなかったけど……」


「キスしてなかった事にしておきました。異変の時に恭夜さんが舐めていたオレンジの飴の味がしましたね」

気を失っている間に好き勝手されていた。




「早苗はもう何が起きても恭夜に嫁に貰ってもらわないとダメな所まで来ちゃったね」


「外に居た頃は恭夜に恋い焦がれた乙女で、幻想郷に行くって言った時なんて動揺してたのにね」


「こっちに来てしばらく元気なかったけど、まさかの再会をしてから頭のネジがたくさん無くなっちゃって……」


「でもあれはビックリしたよ。私が神の威厳バリバリ出して行ったら、恭夜が立ってるんだもの」




「それは役得だし出来るなら起きてる時にお願い。結局純狐さんには殺せるはずなのに殺せない不思議な存在だって言われてるし、妙に構いに来るしで甘やかされたらダメになりそう」


「甘やかされていいと思いますよ。毎日大変でしょうし、恭夜さんは甘えさせてくれる方に甘えないと無理ばかりしますし」


「でもなぁ……」


………

……


永遠亭で必要な薬の材料を取りに行く鈴仙と永琳の代わりに診察やらを任され、診察室で輝夜の相手をしていた。


「何かおかしいよなぁ」


「永琳もいいカモが来たって顔をしてたわよ」


「輝夜の世話と患者の対応とかなぁ……」


「せんせー、輝夜ぽんぽんいたいー」


「んー、メスでいいかな?」


「何で切ろうとするのよ! こんな美少女なんだからそこは触診でしょ!」


「そんな事を言ってるけど、ガチでやったら真っ赤になって逃げる癖に」


「う……さ、早苗だって実際にやられたら逃げるでしょ!」


「逃げないどころか俺が逃げると追ってくるんだよなぁ……輝夜の負けだな」

健康診断では脱ぐ必要のない下まで脱ぎ始め、慌てて止めながら諏訪子達を呼んで事なきを得たようだった。


「くっ、女の子の状態だったらグイグイ行けるのに!」


「何だろうね。薬を買う為に輝夜が働くようになったから定期的に飲んであげてって言うから飲んでるだけなんだけど……まぁ、俺も色々融通してもらってるからあれだけど」

誰も悲しまない優しい世界の完成である。


「それでいつまで居てくれるの? 一ヶ月? 半年?」


「怪我もしてないのに一ヶ月も半年もいるわけないだろ……」


「えー! つまんない!」


「逆に家でメイドになるとかは? ダラダラ出来ないけど」

少しだけ輝夜のメイド姿が見たいという気持ちもあった。


「いやよ。ねぇ、外の世界にちょくちょく行ってるみたいだけど楽しい?」


「便利ではあるけど楽しくはないよ。外の世界で知り合ったお嬢にホイッスルを買い取りたいって言われて、パチュリーと共謀してかなりの量のホイッスルを作って高値で売ったのが間違いだった……」

既に五個くらいしかなかった恭夜呼びのホイッスルを千近くに増やし、値段設定を強気の一個五万にして売ったらしい。


恭夜を好きな時に呼べてこれは安いとそのお嬢様は大喜びし、二倍を想定してキャッシュを一億用意していたらしく一括で支払われ今に至る。



「私も欲しい」


「嫌だよ。……あ、一日メイドとして働いてくれたら一個はあげるけど」


「ぐぬぬ……」


「ふっ」

鈴仙には毎回入院した時に世話をしてもらっている礼に渡しており、それを首から下げてとても大切にしている。




夕方には永琳達が帰宅し、出迎えに玄関に行くとニコニコしながら手を出してくる永琳とぺこぺこと頭を下げる鈴仙を見て察していた。


「へー、これが恭夜召喚の笛なのね。大切に仕舞っておきましょう」


「紐を通して目の前で胸元にしまうとかドキドキしちゃう……」

大胆に胸元を見せながら仕舞う永琳にドキドキしながらもガン見している。


「わーたーしーにーもー!」


「だからあげないってば。寧ろ俺が輝夜から貰うべきだと思う」

普段迷惑をかけられる側故に何か欲しいと要求していた。


「私と結婚出来る権利をあげるわ!」


「難題五つ解いてるんでいらないです」


「あっ……そうね、私はもう恭夜の嫁だったわ」


「誤解を招く言い方と可愛く擦り寄るのをやめなさい」

頬を朱に染めながら擦り寄ってくる輝夜にそう告げている。


「こんな美少女が嫁なんて幸せ者なんだから」


「いや、嫁に貰える権利なだけで嫁じゃないからね。輝夜の場合は嫁よりペットに近くない?」


「……姫を嫁にしたいって男は数多居たけど、ペット扱いは初めて聞いたわ」


「私をペット扱いして四つん這いにさせたりするんでしょ! この変態!」


「き、恭夜がそういうのが好きなら私はいいよ……?」


「輝夜はうっせぇ! 鈴仙、俺はそういうの好きじゃないから」



煽る永琳、吼える輝夜、肯定する鈴仙、否定する恭夜とカオスな玄関になんだなんだと妖怪兎達まで集まり始めていた。


中でも恭夜大好きな妖怪兎の一羽はぴょんぴょん跳ねて近づき脚に身体を擦り付け、それに気づいた恭夜は抱き抱えながら吼える輝夜とやりあっていた。


「……さっきから撫でてるけど、全身の力を抜いて警戒心ゼロじゃない」


「入院中の鈴仙がいない時にいつも居てくれる子だからな。苦しい時に何度も永琳や鈴仙を呼びに行ってくれるしで助かってる」

てゐのような幼女形態には恥ずかしがってならないらしく、恭夜が気絶しているか寝ている時以外は兎のままでいる。


「くっ、恭夜の中で私より優先度が高い気がするわ」


「鈴仙、永琳、てゐ、この子、輝夜の順かなー」


「一番の鈴仙なんて恭夜の手足をへし折ってたのに! 二番の永琳も色んな薬を飲ませてるのに!」

まさかの五番目に輝夜は更に吼えていた。


「ごめんね、ごめんね。倒されるまで思い出せなくて手足を力任せに折って……」


「あら、姫ったら。治験に耐え得るのが恭夜しかいないから仕方ないのよ」


「鈴仙はいいのよ、気にしてないしあれは仕方なかったから。永琳はギブアンドテイクだからなぁ……」

虚ろな目で謝り始めた鈴仙を慰め、永琳は仕方ないと受け入れている。


「てゐは!」


「俺とは最強タッグですしおすし」

てゐを背負うだけでミラクルラッキーマン化し、あらゆるものが恭夜の味方になる故に劇場版限定フォーム呼ばわりされているが。


「うー!」


「何でシリアスな時はカリスマある人達はぽんこつになるとうーうー言うんだろう。お嬢様は可愛いから鼻から忠誠心が出るけど」


………

……


「さぁ、厄神様にお供え物を持って行くのじゃ!」


「何キャラ付けなんてしてんの爺さんよ。いつもは『ほら、早く厄神様にお供え物を持って行ってくれ。年老いても語尾にじゃとか付けないワシ、マジナウな里長』とか訳わからん事を言ってたのに」


「ワシも里の娘達に可愛いとか言われたいんじゃ! あ、妖怪とかはノーサンキュー」


「無駄に外来人から学習してて腹立つなぁ……」


「お主が助け連れて来る外来人は妖怪でも見た目がいいからと羨ましがったり、嫉妬したりしているが命の危機と背中合わせな事に気がついておらんから言えるんじゃろうな」


「だろうね。天狗とか下っ端は信用出来ないし、河童も色んな意味で怖い」

河童は改造されそうな気がしてガチビビリする事が多い。


「既に何人か喰われたり逆撫でして殺されておるが……まぁ、お主の真似なんて無謀な事をしたからじゃな」


「折角助けたのに自ら死んで行くスタイル。じゃあ、行ってくるから」

雛担当の恭夜はお泊まり用の荷物とお供え物を手にし、里長に行ってくると告げて歩き出した。



そのまま空を飛び妖怪の山に向かい、山への入り口に着くとそのまま歩いて入っていく。


「雛さん?」


「待ってたわ。今日はお供え物が来る日ですもの」

お供え物=恭夜であり、雛は持って来ている本来のお供え物には興味がなかった。


「今日は野菜とお米ですよ」


「さぁ、早く行きましょう」


腕を組みハートが飛び散りそうなくらい寄り添い、そのまま二人は山の中へと消えて行った。

大体こんな毎日。



エミヤオルタはちょっと見た目がなぁ。

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