第三話 輪廻解錠
ー前回のあらすじ
犬飼 魔虎は、鬼灯と契約を交わし、鬼灯の持つ能力を得た。使い方もあまりわからない中、蜘蛛の魔戒の討伐に成功する。
しかしそんな犬飼 魔虎をビルの屋上から眺める謎の男。彼の目的とはー
ーあれから3日後
家は壊れたため、家が見つかるまで今はビジネスホテルに泊まっている。
鬼灯「起きろ、魔虎。」
犬飼 魔虎「ん?なんだ鬼灯。まだ6時半だぞ…」
鬼灯「行くぞ。」
犬飼 魔虎「行くって、どこに」
鬼灯「修行だ!」
犬飼 魔虎「………はぁ!!?」
なぜか修行することになり、森に来た。
犬飼 魔虎「修行ったってなにすんだよ。こんなんただの森じゃねぇか。それに、だいぶマシになったとはいえ、まだ完治してないんですけどぉー?あのぉー聞いてますかぁー?青鬼さーん!」
鬼灯「青鬼じゃない、鬼灯だ」
犬飼 魔虎「どっかで聞いたセリフ…」
犬飼 魔虎「つーかお前実体化してないか?」
鬼灯「あぁ、だが実体化しても、契約者と魔戒にしか見えん。まあ、契約前は契約者と、俺が契約すると決めたやつにしか見えんがな。」
犬飼 魔虎(じゃあなんで、あの実体化してた蜘蛛の魔戒は俺や親父に見えてたんだよ)
そう疑問に思いながらしばらく森を歩いていると、ひらけた場所についた。
鬼灯「ここだ。」
犬飼 魔虎「で?ここでなにすんの」
数秒の沈黙の後、鬼灯が襲いかかってきて、ギリギリでかわした。
犬飼 魔虎「あっぶね!いきなり何すんだよ!」
鬼灯「あんなのに苦戦するようじゃ、お前はこの先やっていけない。」
犬飼 魔虎「は?いや、流石にあいつは強すぎた!」
鬼灯「だからやっていけないと言ってるんだ。」
犬飼 魔虎「どういうことだよ」
鬼灯「いいか、俺ら魔戒にはランクがある。」
鬼灯「1番下から下戒・中戒・上戒・最上戒そして特戒だ。」
鬼灯「ちなみに、俺は特戒の魔戒だ。お前は1ミリも俺の力を使えてなかったがなっ」
犬飼 魔虎「うるせぇな!」
鬼灯「そして魔虎、こっからが本題だ。お前がこないだ戦った魔戒は…"下戒"だ」
犬飼 魔虎「……え?」
衝撃的な事実に、開いた口が塞がらない。
犬飼 魔虎「嘘…だよな?」
鬼灯「いいや、嘘じゃない。つまりお前は、下戒の魔戒に苦戦したどころか、殺されかけたんだ。あんな雑魚に苦戦してるようじゃこの先、命がいくつあっても足りねぇぞ。」
犬飼 魔虎「あいつが…下戒…」
鬼灯「てなわけで、お前にはこれから毎日修行して、習得してもらう。」
犬飼 魔虎「習得?」
鬼灯「あぁ、お前がやりたがっていた輪廻解錠をな!」
犬飼 魔虎「でも、だからって急に攻撃はねぇだろ!」
鬼灯「言ったろ、感覚で掴めって。生物は窮地に追い込まれたときに覚醒するもんなんだよ、火事場の馬鹿力ってやつだ。」
そう言いながら、鬼灯は犬飼 魔虎を攻撃し続け、犬飼 魔虎は毎回ギリギリでかわす。
犬飼 魔虎「あぶな!おい!話聞け!おい!」
鬼灯「そんなんじゃダメダメ!特戒である俺の力を持っといて、輪廻解錠を使えないなんて許さねぇぞ!」
犬飼 魔虎「んなこと言ったって仕方ねぇだろ!」
鬼灯「力を得たからって急激に強くなれないって言ってたのは誰だー?」
犬飼 魔虎「え、心の声聞かれてたのかよ!」
鬼灯「俺とお前は契約した時から一心同体だ!お前の心の声は筒抜けだぞ?」
犬飼 魔虎「俺のプライベートがっ!」
鬼灯「俺は能力を一切使わないし、手も抜いてやるから安心しろ」
犬飼 魔虎「これのどこが手抜いてるってんだよ!」
鬼灯は攻撃を続け、犬飼 魔虎は避けるので精一杯。
だが体の一部を変化させる感覚は掴んだようで、腕と脚を青く変色させた。
犬飼 魔虎「クソ!やってやる!輪廻解錠!!」
……………
犬飼 魔虎「出るわけねぇー!!!」
不発に終わり、ただカッコつけて技名を叫ぶイタイ厨二病になってしまった。
鬼灯「おらおらどうしたー!逃げてるだけじゃ強くなれねぇぞー!」
犬飼 魔虎「クソがー!」
―修行開始から2日後
何度も何度も殴られ蹴られ、それでもまだ輪廻解錠は使えない。
鬼灯「能力の扉をこじ開けるイメージだ。」
犬飼 魔虎「んなもんわかんねぇよ」
―修行開始から5日後
なんとか攻撃を読めるようになってきた。
徐々にこっちの攻撃も、かする程度だが当たるようになってきた。
―そして修行開始から1週間後…
犬飼 魔虎「今日で決めるぞ。」
鬼灯「顔つきがマジになったな。」
2人は見合った後、同時に飛び出した。
2人の拳が衝突した。
激しい攻防の末…
犬飼 魔虎(あの時は感覚で掴めって意味がよく分からなかった。けど俺は、体の一部を変化させることは感覚で掴んでた。なら出来るはずなんだ!)
すると右腕が熱くなった。
犬飼 魔虎(これだ!いける気がする!今までは『使おう』って意識が強かった。けどそれが邪念になってた。『意識して』使うのではなく、使えるのが『当たり前』と思考を変えるんだ!扉を開けろ!)
そしてついに、扉は開かれる…
犬飼 魔虎「輪廻解錠 灼槍!」
太い青い炎の槍を生成して掴み、勢いよく鬼灯に向かって投げ飛ばす。
すると大きなクレーターができた。
鬼灯「へぇ、まだ荒削りだが、1週間で使えるようになるとは、こりゃあ驚いたな!」
犬飼 魔虎「相変わらずお前は無傷なんだな…」
鬼灯「そりゃあ、俺は強いからなっ!」(ドヤ顔)
犬飼 魔虎「腹立つ!」
そうしていると、謎の男が拍手しながら近づいてきた。
謎の男「いやぁ、良いもの見せてもらったよ。」
犬飼 魔虎「誰だ」
謎の男「これは失礼、俺の名前は一ノ瀬 千弥、よろしくね」
鬼灯「お前が来たってことは、大体察しはつくが、一応聞こう。何の用だ。」
一ノ瀬 千弥「お、俺のこと知ってくれてるんだぁ、いやぁ嬉しいなぁ」
鬼灯「そりゃあ、お前は俺らの世界じゃ有名人だからな」
犬飼 魔虎「おいおい、勝手に話が進んで行ってるように感じるけど、なんなんだよ」
一ノ瀬 千弥「あーごめんね!メインを置いてけぼりにして」
犬飼 魔虎「メイン?」
一ノ瀬 千弥「そう!俺が来た理由は一つ!君を…スカウトに来た。」
犬飼 魔虎「スカウト?」
鬼灯「やっぱりな」
一ノ瀬 千弥「魔戒を滅ぼすための、契約者を育成する機関、聖与にね」




