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魔天道  作者: 外野透哉
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第二十三話 初白星

ー前回のあらすじ

 無事に合流した三人。

伽藍髑髏の核は屋上にあるということに気づき、なんとかして屋上に出るが、伽藍髑髏はとてつもなく巨大だった。

 果たして勝つことはできるのか……

 魔虎は目の前にそびえ立つ巨大な妖怪を見上げ、思わず息を呑んだ。屋上のフェンスを悠々と越えるその巨体。骨と骨の隙間から、黒い霧のような気配が滲み出ている。


「でけぇ……」


 巨大な骸骨が、ゆっくりと腕を振り上げる。関節が軋む音が、屋上全体に不気味に響いた。


「ワシは伽藍髑髏がらどくろ


「伽藍髑髏……?巨大妖怪、ガシャドクロか……」


「見たところ全員まだ10代っぽいなぁ……美味そうだ」


 迅が一歩前に出かけ、あることに気づき、すぐに足を止める。


「コイツ……」


――核はどこだ……?骸骨だから、トルソー同様剥き出しになってるはずじゃないのか?本来核があるべき場所に、ねぇ……


「結局また核探しかよ……」


 次の瞬間、伽藍髑髏が腕を振り上げる。三人まとめて叩き潰す勢いだった。


「ッ……!」


 三人は反射的に跳び退く。だが――


「ッ……!」


 魔虎の足が滑った。華子との戦いで受けた感電の痺れが、まだ完全に抜けきっていなかった。


「犬飼くん、大丈夫?」


「あぁ、ちょっと足滑っただけだ」


 魔虎は平然を装うが


――マズイな……まだ少し体の自由が効かない……


 伽藍髑髏はその様子を見逃さず、ニヤリと笑う。


――なるほど……あやつ、さっきの戦いで体が痺れて上手く動けないんだ


輪廻解錠りんねかいじょう――裂鎚れっつい


 屋上の床が枝分かれするように変形し、鋭利な突起となって魔虎へと迫る。


「ッ……!」


 そこへ――


輪廻解錠りんねかいじょう――鋼縛こうばく


 迅が屋上のフェンスを操り、魔虎の身体に巻きつけて一気に引き寄せる。突起は、空を切った。


「悪い、助かった……」


「困った時はお互い様だ」


 迅はそう言って、伽藍髑髏を睨みつける。


「にしても、タチ悪りぃぞお前」


「何を言っておる。戦場じゃ、弱ってる者から殺すのは卑怯でもなんでもないぞ?」


 魔虎は我慢して言う。


「確かにな。でも勘違いすんなよ?お前程度……体痺れてるくらいのハンデがあってトントンなんだよ」


「強がりも程々にな」


 伽藍髑髏が床に触れる。


輪廻解錠りんねかいじょう――隆突りゅうとつ


「ッ……!」


 床が無数の鋭利な形に隆起し、三人の足元から突き上げる。


――流石にこれは……やべぇ……!


――痛い……!


――クソ……!


 動けない三人に向かって、伽藍髑髏が腕を振り上げる。


 しかし――


輪廻解錠りんねかいじょう――灼槍しゃくそう


 魔虎の放った一撃が、伽藍髑髏の腕ごと胴体を消し飛ばす。大きな風穴が開き、巨体は一度崩れ落ちた。


「マジかよ……!」


「でも……」


「あぁ、魔戒は核を破壊しない限り死なない」


 屋上の床が蠢き、伽藍髑髏は再びその姿を形作る。


「いやぁ、良い一撃だった」


 魔虎は腕と脚を青く変化させ、体に刺さった棘を砕く。続けて迅と雫の棘も破壊し、二人を解放した。


「ありがとう……」


「すまねぇ……」


――核……どこだ……核が無いなんてことはないはずだ……


 魔虎があることに気がついた。


――アイツ、さっきから床を守るように戦ってる……

  まさか……下!


「お前ら、伏せろ!」


輪廻解錠りんねかいじょう――灼槍しゃくそうそく!」


 屋上の中心に向けて技を放つ。床が砕け、赤黒い核が剥き出しになった。


――あった……!これだ!


 だが、床は一瞬で閉じる。


――クソ……!


「もう終わりじゃ」


輪廻解錠りんねかいじょう――伽藍胴がらんどう


 床が三人を包み込み、圧殺するように迫る。


「なんだこれ……」


「閉じ込められた……!」


「どんどん迫ってくる……!」


輪廻解錠りんねかいじょう――水蓮華すいれんげ!」


 だが、砕けない。


――ダメだ……!


 圧迫が限界に近づく。


「このままじゃ、俺たち全員……」


 迅がそう言うと、雫が思考を巡らす。


――何か方法は……


――ッ……!やってみるしかない……!


輪廻解錠りんねかいじょう――水穿すいせん!」


 高圧の水流がドリル状に回転し、コンクリートを抉る。


――いける……!

  お願い、砕けて……!!


 ついにコンクリートが砕け、三人は脱出する。


「すげぇよ水無瀬!」


「ありがとな、助かった」


「うんっ!」


「さぁいくぜ」


 魔虎が再び床を蹴って跳び、中心に向かって技を放つ。


輪廻解錠りんねかいじょう――灼槍しゃくそうそく!」


――床を砕いてからじゃ間に合わねぇ……なら、中でぶっ放す!


 魔虎は床が閉じる前に中へ飛び込む。


――これで核を破壊できる。でも……この密閉空間で灼槍しゃくそう蒼電砲アーク・レイを使えば俺まで消し飛ぶ……なら……即興新技!


輪廻解錠りんねかいじょう――烈掌れっしょう!」


 伽藍髑髏は、焦って腕を振り上げる。


挿絵(By みてみん)


 しかし――もう遅かった。

 拳に宿した青い炎が、核を打ち抜く。


挿絵(By みてみん)


「バカなッ……!!」


 そう言い残し、伽藍髑髏は消滅した。



「すごい……犬飼くん!」


「魔虎!」


 核は完全に破壊された。


 核を破壊した時の衝撃で空いた穴から、魔虎が這い出てくる。


「はぁ……危うく自分も爆散するとこだったぜ……」


 迅と雫が駆け寄る。


「やったよ!ついに!」


「ナイスファインプレー!」


「あぁ」


「んなことより備えろ。この廃校そのものが魔戒……つまり……崩壊するぞ!」



 廃校が崩れ落ちる。


「うわぁぁ!!」


「やべ!」


 雫が叫ぶ。


「二人とも息止めて!」


輪廻解錠りんねかいじょう――アクアリウム!」


 雫が地面に着く直前、三人を四角い水で包み込む。


「解除……!」


 雫はアクアリウムを解除し、三人は解放される。


「助かった……ありがとう水無瀬」


「サンキュー……」



 鬼灯が実体化して現れる。


「今回は俺の力一切無しで良くやったな」


「ほんとだよ!『がんばれー』の一言も無かったし!」


 すると鬼灯が呆れ顔で言う。


「いや戦闘中にそんなん脳内で言われたら邪魔だろ……」


 魔虎はため息をつく。


「確かに……でも、初めて……上戒に勝った……!」


「だね!」


「あぁ!」


「よし、帰るか!」


 三人は上戒に初勝利を収め、その場を後にする。

ついに「夜の廃校編」終了です!

楽しんでいただけましたか?これからも連載していくのでよろしくお願いします!

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