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魔天道  作者: 外野透哉
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第二十話 分断

ー前回のあらすじ

 廃校自体が魔戒と判明する。

犬飼 魔虎たちは、伽藍髑髏がらどくろの手により、分断させられてしまった。

 分断された直後、魔虎は舌打ちした。


――クソ……分断された……最悪な展開だ……


 周囲を見回して、すぐに気づく。


――ここは……女子トイレ……!?


 異様なほど静まり返った空間。

 その沈黙を破るように、三番目の個室のドアが、きぃ……と音を立てて勝手に開いた。


――ッ……おいおい、嘘だろ……!


 そこから、ゆっくりと少女が姿を現す。


「遊びましょ……」


 背筋に冷たいものが走る。


「……花子さんって、実在したのかよ……」


「ふふ……あぁ、花子は花子でも、漢字が違うんだ」


 少女は楽しそうに笑う。


「私は、華やかの華。華子はなこだよ」


「なるほどな」


 魔虎は構えを解かずに言った。


「で? 俺に何の用だ」


「決まってるでしょ」


 華子は首を傾げる。


「お兄さん、私と遊ばない?」


「いいぜ?」


 魔虎は口元を歪める。


「とことん付き合ってやるよ。ただし、このあと仲間と合流しなくちゃいけねぇ。だから、長居はできねぇけどな」


「そう来なくっちゃ」


 華子は嬉しそうに拍手する。


――でも、どういうことだ……?

――華子……? まさかこいつ……


 直感が告げる。


 こいつは、単体の魔戒。


 中戒クラス――。


 魔虎が踏み込み、攻撃に移ろうとした、その瞬間。


輪廻解錠りんねかいじょう――遊摺ゆうしゅう


「ッ……!」


 華子の姿が、すっと地面に溶けるように消える。


――毛色は違うが……また潜る系かよ……


 嫌な記憶が脳裏をよぎる。


――黒影こくえい……


 魔虎が警戒した次の瞬間。


 足元の床が波打ち、華子が顔を出した。


「見ーつけた」


「しまっ……!」


 魔虎の身体が引き摺り込まれる。


――ッ……! これは……ヤバそうだ……


 引き摺り込まれた先は、水中。


 暗く、冷たい水中だった。


「苦しい?」


 華子の声だけが、はっきりと響く。


――息が……できない……!


 肺が悲鳴を上げる。



 迅が目を覚ました場所は、理科室だった。


――ここは……理科室か……


 その直後。


 人体模型が、無機質な動きで襲いかかってきた。


「ッ……!」


 迅は咄嗟に腕で受け止める。


――またこいつかよ……!


 次の瞬間。


「ようこそ」


「……喋った!?」


 迅は目を見開く。


「申し遅れたな。俺の名は、トルソーだ」


「トルソー……?」


「そうだ」


 迅は一瞬で理解する。


――喋る……単体行動……

――こいつは、校舎の魔戒の一部なんかじゃない……!


――単体の魔戒だ……!


 中戒――。


 だが、迅は冷静だった。


――人体模型……

  核は心臓部……しかも剥き出し……


――弱点、丸見えじゃねぇか


 周囲を見渡す。


 理科室。

 金属器具はいくらでもある。


輪廻解錠りんねかいじょう――磁鋼収束じこうしゅうそく!」


 器具が音を立てて引き寄せられる。


磁鋼発じこうは――」


 だが、その瞬間。


輪廻解錠りんねかいじょう――死術オペレーション


 トルソーの全身から、メス、鋸、チェーンソー。

 無数の刃物が生え、狂ったように振り回される。


「うおっ……!」


 迅は必死に跳び退く。


「これのどこがオペなんだよ!!」



 雫が立っていたのは、音楽室だった。


――音楽……室……?


 誰も触れていないはずのピアノが、突然音を奏で始める。


「ひぃっ!!」


――これって……まさか……


「透明人間……!?」


「私の名前は、インビジット」


 姿の見えない声が、すぐ背後から聞こえた。


――喋った……!


「今からあなたを殺すけど……いいよね?」


 雫の背筋が凍りつく。


輪廻解錠りんねかいじょう――催眠ヒプノシス


 ピアノの旋律が、意識に染み込む。


「……なんか……急に……眠く……」


 だが次の瞬間。


「ぐっ……!」


 見えない拳が、雫の身体を殴り飛ばした。


「まだ早いよ」


 愉快そうな声。


「もっと頑張って」


「はぁ……はぁ……」


――見えない……!

――早く……早く犬飼くんたちと……合流しなきゃ……


 それぞれが、別々の地獄に叩き込まれていた。


――さぁ……


 校舎全体を監視し、伽藍髑髏が笑う。


――ワシを殺すことは……できるかな



 女子トイレで、勝手に開く個室の扉。そしてその中の少女。

 理科室で、命を持ったかのように動き出す人体模型。

 音楽室で、誰もいないはずのピアノが鳴り響く。


 それぞれが直感的に理解してしまう。


――これって……


魔虎は、背筋を走る嫌な予感を噛み殺す。



迅は、動く人体模型を睨みながら、確信に近い違和感を覚える。


――廃校、動く人体模型……



水無瀬は、ピアノの旋律に耳を塞ぎながら、喉が鳴るのを感じていた。


ーーそんな……まさか……



離れた場所にいながら、三人の思考が重なる。


――七不思議!?

皆様!新年、明けましておめでとうございます!!

これを書いてるのは9月15日なので、全っ然明けてませんが…笑

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