第二話 今の俺にできること
ー前回のあらすじ
普通の人間として暮らしていた主人公・犬飼 魔虎の家が突然、魔戒の襲撃を受ける。すると犬飼 魔虎の目の前に鬼灯と名乗る新たな魔戒が現れ、契約を交わすことになる。
犬飼 魔虎の運命とは—
鬼灯「そうこないとなぁ。お前は俺の力に耐え、この力を我が物とすることができるかな」
すると鬼灯が犬飼 魔虎の中に入り、犬飼 魔虎を激しい苦痛や激痛が襲い、苦しみ悶える。
犬飼 魔虎「痛い…熱い…苦しい…!!はぁ、はぁ、、ま、負けるかよ!!」
蜘蛛の魔戒が、父親・犬飼 誠司を攻撃しようとしたその瞬間、犬飼 魔虎が割って入り、腕を振り、蜘蛛の魔戒を薙ぎ飛ばす。その腕は、契約した鬼灯のような、青色に変色していた。
犬飼 誠司「ま、魔虎?」
犬飼 魔虎「はぁ、はぁ、、」
体内の鬼灯が幻影となって話しかける。
鬼灯「おめでとう、契約成立だ。」
犬飼 魔虎は、鬼灯の力をなんとか抑え込んだ。
蜘蛛の魔戒「おいおいまじかよ、この力、よりによってあいつの…」
蜘蛛の魔戒「これは流石に分が悪いな」
蜘蛛の魔戒「輪廻解錠 蛛糸純赫!」
蜘蛛の魔戒は、赫く鋭利で太い糸の束を6束生成し、連続で目にも止まらぬ速さで突き続ける。
犬飼 魔虎は、父親を庇いながらなんとか捌くが、ダメージを負ってしまう。
犬飼 魔虎「ぐ…なんなんだよ、輪廻解錠って!」
鬼灯「それが能力だよ。お前はまだできないみたいだがな。」
犬飼 魔虎「はぁ!?ずりぃだろ!やり方教えろよ!」
鬼灯「んなもん自分で感覚を掴め。」
鬼灯「ただし、魔戒を殺す唯一の方法を教える。心臓の"核"を狙え。まぁあとは頑張れ。」
そう言い残すと鬼灯は消えてしまった。
犬飼 魔虎「はぁ!?ざけんな!無理ゲーだろこんなの!」
契約したことで、動体視力や反射神経が増し、ダメージを負いつつも攻撃はなんとか捌けてはいるが、防戦一方になっている。
犬飼 魔虎「くそ!」
犬飼 魔虎(一か八か…攻めは最大の防御!)
犬飼 誠司「一体、なにが…」
犬飼 魔虎「親父!立てるか!?立てるなら逃げてどっかに隠れてろ!」
犬飼 誠司「魔虎…」
犬飼 魔虎「早く!」
犬飼 誠司「わ、わかった!」
犬飼 誠司は痛みを我慢し、走って逃げる。
犬飼 魔虎は、攻撃を捌きながら、覚悟を決めたように深呼吸をし、蜘蛛の魔戒に向かって思いっきり突っ込む。
犬飼 魔虎「やってやる!」
犬飼 魔虎はダメージを負いながら、蜘蛛の魔戒の懐に潜り込む。
犬飼 魔虎(取った!)
犬飼魔虎は核を狙って、右手の拳で渾身の一撃を放った。
しかし…ギリギリで防がれてしまった。
蜘蛛の魔戒「はぁ、惜しいな。」
犬飼 魔虎「は…嘘だろ!?」
蜘蛛の魔戒は、犬飼 魔虎を吹き飛ばす。
犬飼 魔虎「はぁ…はぁ…こんなやつ、勝てるかよ…」
犬飼 魔虎が諦めかけたその時、追い打ちをかけるように蜘蛛の魔戒がすかさず技を繰り出す。
蜘蛛の魔戒「輪廻解錠 刻慈獄」
突然、見えない糸が半径50mを刻み続け、犬飼 魔虎は体を切り刻まれる。
犬飼 魔虎(やばい、死ぬ…殺される…)
犬飼 魔虎(親父…!)
その時、犬飼 魔虎は走馬灯を見た。
(回想)
犬飼 魔虎(幼少期)が怪我をして帰ってきた。
犬飼 誠司「どうした魔虎!何があった!」
犬飼 魔虎(幼少期)「いじめられてるやつがいたから、見てられなくてさ!いじめてたやつらをボコボコにした!」
犬飼 誠司「…なぁ魔虎、何か夢とかあるか?」
犬飼 魔虎(幼少期)「俺、ヒーローになりたい!困ってるやつを助けたい!」
犬飼 誠司は優しく笑った。
犬飼 誠司「そうかヒーローか!きっとなれるさ!でもな魔虎、助けるためには、まず自分が助からないと助けられないぞ?」
犬飼 魔虎(幼少期)「わかった!俺、まず自分が助かるように強くなる!!」
犬飼 誠司「ん、その粋だ!」
犬飼 誠司は、また微笑むように優しく笑った。
犬飼 魔虎(そうだよ…何諦めてんだよ!助けるためには、まず自分が助からなきゃ意味ねぇだろ!)
犬飼 魔虎は噛み締める。
蜘蛛の魔戒「やはり、契約者はそう簡単には死なないな。」
犬飼 魔虎は、見えない糸で切り刻まれる中、耐えながら立つ。
犬飼 魔虎「歯食いしばれ…」
犬飼 魔虎は、腕だけでなく脚までも鬼灯と同じように、靴は破け、青く変色した。脚も変化したため、脚力も上がった。
そして先程とは比べ物にならない速度で蜘蛛の魔戒の懐に潜り込む。
蜘蛛の魔戒「はあ、またか。」
蜘蛛の魔戒「…ッ!」
犬飼 魔虎(なんでさっき俺の攻撃が塞がれたのか、分かった気がする。"脚"だ!あのとき俺は、腕だけで殴ってた。だから攻撃が軽いうえに、何よりも遅い。それじゃ届かない!脚も使え!)
犬飼 魔虎(現実世界には主人公補正なんて無い。力を得たからって急激に強くなんかなれない!だから!"今の俺にできること"は、溜めて放つではなく、溜めながら放つ!隙を作るな!)
蜘蛛の魔戒「こいつ…!」
犬飼 魔虎は、力を溜めながら蜘蛛の魔戒の核に拳が当たる直前で渾身の一撃を放ち、核の破壊に成功する。
蜘蛛の魔戒は消滅した。
犬飼 魔虎「はぁ…はぁ…はぁ……」
また幻影として鬼灯が現れた。
鬼灯「へぇ、やるじゃねぇか。」
犬飼 魔虎「はぁ…どんなもんよ…」
犬飼 魔虎の腕と脚は、元に戻った。
犬飼 魔虎「にしても……いっっっってぇぇぇ!!!」
当然、犬飼 魔虎が受けた傷は尋常じゃない。
鬼灯「まぁ俺と契約したんだ。そのくらいの傷ならすぐ治るから安心しろ。」
犬飼 魔虎「そういう問題じゃねぇ!今治って欲しいの!」
そうしていると犬飼 誠司が走って戻ってきた。
犬飼 誠司「魔虎ーー!!!!!」
犬飼 誠司「すまねぇ、守れなくて!」
犬飼 誠司は、犬飼 魔虎を抱きしめる。
犬飼 魔虎「いてててて、いてぇよ親父!」
犬飼 誠司「す、すまん」
犬飼 誠司「にしても、なんなんだ?あの力は」
犬飼 魔虎「俺が聞きたいくらいだ、でも、無事で良かった…」
遠くのビルの屋上から眺める謎の男。
スマホで誰かと電話している。
ープルルルル
謎の男「面白い子を見つけました、校長。はい、スカウトしてきます。」
電話を切る。
謎の男「さあ…君は"僕たち"について来れるかな?」




