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魔天道  作者: 外野透哉
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第十九話 迷宮

ー前回のあらすじ

 上戒の魔戒が出たとの報告を受け、犬飼 魔虎、辛島 迅、水無瀬 雫は廃校へ向かう。

しかし、廃校そのものが魔戒だった。

 校舎の内部に足を踏み入れた瞬間、魔虎は肌で察した。

 入った時点で、終わってた。


「俺らが校舎に入った時点で、相手の術中……!」


 魔虎が吐き捨てるように言う。


「完全にやられた!」


 迅が悔しそうに叫んだ。


「ど、どうしよう……!」


 雫の声は、はっきりと怯えていた。


「落ち着け。魔戒である以上、核は必ずある。まずはそれを探すぞ」


 魔虎は二人を見回し、強く言い切る。


「いいか、絶対に離れるな。分断されたら、取り返しがつかねぇ」


 三人は互いの距離を保ちながら、校舎内を駆ける。

 廊下は歪み、壁は脈打つようにうねっていた。



「まだ見てねぇのは、ここだ!」


 迅が家庭科室の扉を勢いよく開ける。


「……クソ。ここもハズレか」


 魔虎が吐き捨てた、その直後。


 床が軋み、壁が盛り上がり、視界が強制的に反転する。

 気づけば、先ほどまでいた家庭科室は消え、まったく別の教室が広がっていた。


「は!? 変形だけでも厄介なのに、教室まで入れ替えるとかありかよ!」


 魔虎が声を荒げる。


「迷宮……だね」


 雫が周囲を見回しながら呟く。


「マジで最悪だな……」


 迅が低く言った瞬間。


 壁の一部が鋭く突き出し、三人へ襲いかかる。


「あっぶね!」


 魔虎が跳び退く。


――どこから来るかわかんねぇ攻撃を避けながら核探し……しかも場所はランダム……無理ゲーだろ……!


 迅が歯を食いしばった、その刹那。


 別方向から伸びた壁が、雫へ向かって一直線に迫った。


「水無瀬!!」


 叫んだのは魔虎だった。


輪廻解錠りんねかいじょう――水蓮華すいれんげ!」


 雫の周囲に水の花弁が咲き、壁の攻撃を砕き散らす。


「大丈夫か!?」


 迅が駆け寄る。


「う、うん……ごめん!」


 雫は息を切らしながら答えた。


 だが、状況は悪化する一方だった。


 床、壁、天井。

 四方八方から、同時に攻撃が押し寄せる。


「やべぇぞ、これ!」


 魔虎が叫んだ、その視界の端。


 教室の隅に立っていた人体模型が、不自然な動きで走り出してきた。


「ひっ……!」


 雫が悲鳴を上げる。


「おい、人体模型まで動くのかよ!」


 迅が叫ぶ。


「多分な。この校舎全部が、あいつの骨であり肉だ」


 魔虎は即座に分析する。


「つまり、備品だろうが何だろうが、全部操れるってことだ!」


「……なるほどな」


 迅が短く応じる。


「にしても、状況は最悪だ」


 魔虎が言い切った、その瞬間。


 死角から伸びた壁の一撃が、魔虎の脇腹を捉えた。


「ぐっ……!」


「魔虎!」


 迅が叫ぶ。


「犬飼くん!」


 雫も駆け寄る。


 床に倒れた魔虎のもとへ、二人が急ぐ。


「大丈夫か!?」


 迅が問いかける。


「あぁ……平気だ。不意を突かれただけだ……」


 魔虎は息を整えながら答える。


――クソ……規模がデカすぎる……。そもそも、核はどこだ……?


 そのとき、魔虎の視線が廊下の窓に向いた。


――……窓か!


 魔虎は立ち上がり、廊下の窓ガラスを勢いよく叩き割る。


ーーここから外に出られれば……!


 迅と雫も、その意図を即座に理解し、走り出す。


 しかし。


――は……?


 校舎全体が傾き、三人はまとめて壁へと叩きつけられた。


――クソ……!


 魔虎が歯を食いしばる。


――一体、どうすれば……!


 雫の胸に不安が広がる。


――これじゃ、完全にイタチごっこじゃねぇか……!


 迅が内心で吐き捨てた。


――もっと転がれ〜


 伽藍髑髏は遊んでいる。


――じっくり痛ぶって殺してから、三人ともワシが喰ってやる


 床が大きく傾き、再び三人の背中が壁に叩きつけられる。


「ぐっ……!」


 魔虎が呻く。


「はぁ……はぁ……」


 雫は膝をつき、必死に呼吸を整える。


「完全に……俺らで遊んでやがる……」


 迅が悔しそうに呟いた。


――この状況……どう切り抜ける……?


 魔虎が思考を巡らせた、その直後。


 壁、床、天井が同時に大きく変形し、三人を包み込む。

 視界が引き裂かれ、世界が強制的に分断された。



 次に目を開けた時――


「……嘘でしょ……」


 雫は、見知らぬ空間で一人、呟いていた。


「マジかよ……!」


 別の場所で、迅が拳を握り締める。


「最悪だ……」


 魔虎は一人、低く吐き捨てた。


 三人は、それぞれ別々の場所で、同じ事実を突きつけられていた。


「分断された!?」

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