第十話 最強
ー前回のあらすじ
ついに梶 才牙の能力が明らかになった。そして戦況がひっくり返る。激戦を繰り広げたのち、謎の人影が…
犬飼 魔虎たちと黒影は激戦を繰り広げる。
犬飼 魔虎「やっぱ強ぇな…」
すると、犬飼 魔虎の背後から、謎の足音が…
コツ…コツ…コツ…
黒影が目を見開く。
黒影「ッ…!お前は…!」
犬飼魔虎、梶 才牙、水無瀬 雫が振り返る。
三人「ッ…!!」
犬飼 魔虎「なんで…あ、あんたは!」
その人物とは…
犬飼 魔虎「一ノ瀬 千弥!!」
一ノ瀬 千弥「やぁ。」
犬飼 魔虎を聖与にスカウトした聖与四年、一ノ瀬 千弥だった。
犬飼 魔虎「なんであんたが…!」
一ノ瀬 千弥「永瀬先生から連絡があってね、後輩のピンチに飛んできたってわけ。」
―数分前
永瀬 脩が一ノ瀬 千弥に電話をする。
永瀬 脩「すまない…本当は僕が行くべきなのに…」
一ノ瀬 千弥「気にしないでください。今すぐいきます。」
犬飼 魔虎「飛んできたって…ここ秋田だそ!東京から、連絡を受けてから動いたってのかよ…どうやって…」
一ノ瀬 千弥「すぐ分かるさ。途中の中戒も処理してきたから安心して。」
―数秒前
凩 摩稀「なんで…一ノ瀬が…」
一ノ瀬 千弥「ごめんね、急がないと。話は後で。」
一ノ瀬 千弥は、一瞬にして空闓の背後に背中合わせで立っていた。
空闓「……」
空闓「…は?」(ズシャッ)
空闓が気づく間もなく、心臓の核は破壊され、消滅した。
一ノ瀬 千弥は、犬飼 魔虎の前へ出た。
犬飼 魔虎「おい…」
鬼灯「まあ見てろ。あいつは最強だ。」
一ノ瀬 千弥は、黒影に尋ねる。
一ノ瀬 千弥「君さ、名前は?」
黒影「黒影…」
一ノ瀬 千弥は、笑顔で言った。
一ノ瀬 千弥「そうか…黒影くんさ…」
すると一ノ瀬 千弥は、口は微笑んでいるが、目は一切笑っていなく、殺気のこもった目で言った。
一ノ瀬 千弥「僕の可愛い後輩たちを…随分痛めつけてくれたようだね?」
黒影「ッ……!!!」(ドクンッ)
一ノ瀬 千弥は、ポケットに入れていた両手を出し、言った。
一ノ瀬 千弥「さあ始めようか…」
一ノ瀬 千弥「ショータイムだ。」
黒影がすぐに技を繰り出す。
黒影「輪廻解錠 影刃・昴!!」
この技は、影刃よりもさらに鋭く、硬く、大きく、数も多い。影刃の上位技。
しかし…一ノ瀬 千弥には掠るどころか、当たりすらせず、むしろ勝手に向きが黒影の方に変わって、黒影が攻撃を受ける。
黒影「やはり当たるわけないか…」
水無瀬 雫「何が…どうなって…」
一ノ瀬 千弥「僕と契約した魔戒は、オルド・ヴェクタ。ベクトル操作さ。」
三人「は!?」
犬飼 魔虎「強すぎるだろ…」
梶 才牙「だからさっき…」
一ノ瀬 千弥「そ!ただ"向きを変えた"だけっ!」
一ノ瀬 千弥「まぁベクトル操作と言っても正確には、"向き"だけじゃなくて、ベクトルの中に含まれる"大きさ"も操作できるんだけどね。」
犬飼 魔虎「だから一瞬で東京から秋田まで来れたのか…速度のベクトルを上げて…」
一ノ瀬 千弥「そゆこと〜」
黒影(まずい…)
一ノ瀬 千弥「輪廻解錠 方天」
黒影「ッ…!!」
一ノ瀬 千弥はベクトルを操作し、黒影を上に打ち上げた。
黒影は、空中でなんとか一ノ瀬 千弥に対して技を繰り出す。
黒影「輪廻解錠 夜閃!!」
この技は、自身の影を一点に集中させ放つ、破壊力と貫通力の高い技。
しかし…また技の向きが変わり、黒影を襲うが、本来の夜閃より威力が高い。
黒影(はぁ…はぁ…こ、これは…)
一ノ瀬 千弥「気をつけなよー?倍の威力で返ってくることも視野に入れないと。」
黒影「噂には聞いていたが、これ程とは…一ノ瀬…千弥…!」
犬飼 魔虎「今のって…」
一ノ瀬 千弥「今のはね、技の威力を倍にして返したんだ。もちろんエネルギー保存の法則ってのがあるから、夜閃自体の威力を倍にしてるわけじゃない。そのエネルギーはどこからくるの?って話になるからね。答えは簡単!"僕のエネルギーを上乗せ"したんだ。」
一ノ瀬 千弥「もちろん、失ったエネルギーは戻らないけど、僕は自分の体のエネルギー量は好きに増やせるから、実質無限。」
犬飼 魔虎(なんでもありかよ…)
犬飼 魔虎「つかそんなペラペラ喋ってる場合かよ。」
一ノ瀬 千弥「あー大丈夫大丈夫〜!地面に押し付けて起き上がれないようにしてるからさ!」
黒影は、一ノ瀬 千弥のベクトル操作の能力により、動けないでいる。
黒影「まだ…だ…!」
黒影はなんとか立とうとするが、立ち上がれない。
一ノ瀬 千弥「何言ってるの?もう終わりだよ。」
一ノ瀬 千弥「輪廻解錠…」
一ノ瀬 千弥は黒影に向かって手のひらを出す。
一ノ瀬 千弥「殲圧」
手のひらを、握り潰すように閉じた。
黒影「ッ…!」
すると黒影は全方向からの圧力により、血飛沫をあげ、核ごと爆散した。
水無瀬 雫「ひぃっ!」
一ノ瀬 千弥「さ、帰ろっか!」
犬飼 魔虎「いくらなんでも強すぎだろ…」
梶 才牙「マジかよ…」
途中で凩 摩稀と合流する。
水無瀬 雫「摩稀ちゃん!」
凩 摩稀「雫!」
二人は抱き合う。
凩 摩稀「よかった…無事で…」
水無瀬 雫「摩稀ちゃんこそ…」
犬飼 魔虎「迅!二階堂!」
すると、辛島 迅と二階堂 千智が目を覚ます。
辛島 迅は飛び起きた。
辛島 迅「空闓!」(ガバッ)
いきなり飛び起きたため、傷口が痛む。
辛島 迅「うっ…」
犬飼 魔虎「終わったぞ、全部。重症なんだから、無理に動くな。」
犬飼 魔虎が肩をかす。
辛島 迅「そうか…俺は…何も…」
二階堂 千智「そんなこと言ったら、僕の方が…」
犬飼 魔虎は、起こったことをありのまま話した。
犬飼 魔虎「にしても、あんたそんな強かったんだな。特戒ってやつか?」
一ノ瀬 千弥「え?違う違う!」
一ノ瀬 千弥は、笑ってそう言った。
犬飼 魔虎「え?」
一ノ瀬 千弥「だってヴェクタは…"下戒"だもん。」
一同「………」
一同「はぁーー!!!!!?」




