表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちみっこ魔女転生~使い魔がコアラだったので、たのしい家族ができました~  作者: ゆいレギナ
8章 お父さんの誕生日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/83

75話 最高の誕生日プレゼント

「ユーリさん!?」


 わたしが驚きの声をあげると、ユーリさんがにんまりと口角をあげる。


「ルルちゃんはどうしてパパに内緒でこんな危ない場所にきているのかな?」

「パパじゃないもん、自称パパだもん……」


 あぁ、怒ってる……。

 この笑顔はぜったいに一〇〇パーセント怒ってる……。


「俺だって『お兄ちゃん』でいたいけどね。でも本当のパパがあんなだから、俺が保護者になって目を光らせないとね。なんたってかわいい妹がこんな無鉄砲だからね!」

「返す言葉がございません……」


 わたしが唇を噛んで視線を逸らせば、ユーリさんの固い手がわたしの頭をぐりぐりと撫でる。


「子どもが、そんな難しい言葉を使わなくていいんだよ」


 その子ども扱いに、わたしは急に涙が溢れそうになって。


「ちゃんと将来の義弟も助けるからね」


 と、ユーリさんは「ユカリさん」と命令する。

 すぐさまリンリンと鈴の音が聞こえた。キラキラとした光が空へと舞い上がっていく。


「グギャッ!?」


 途端、いびつな声を響かせたのは不死鳥だろうか。


「グギャギャッ、グギャギャギャ!」


 リンリンリンリン。

 グギャグギャグギャ。

 リンリンリンリン!

 グギャグギャグギャ!


 動物(?)たちの口論を呆然と見上げながら、私はユーリさんに聞いてみる。


「ユーリさん、ユカリさんと不死鳥も知り合いだったりする?」

「ユカリいわく、不死鳥はかつての舎弟らしいよ」

「舎弟っ!?」


 とても妖精から出たとは思えない単語にわたしが驚いていると、雛鳥に追い掛け回されたコアラが「ぐも~」と疲れた様子で抱っこをせがんでくる。


 コアラとユカリさんは前世の知り合いだという。


 そして、そのユカリさんの舎弟……お弟子さんが、不死鳥なのだとしたら。

 もちろんコアラとも知り合いの可能性が高いわけで。


「コアラ~、ほんとどんな前世を過ごしたら、こんな複雑なことになるわけ~?」

「ぐもも~」


 私が抱っこしてあげると、コアラが「おれに言われても~」とばかりにむくれてくる。

 くそ、間抜けなツラがかわいい……。


 そのときだ。はるか上空から鈴……を通り越して、鐘の音が響いたと思った。


「グギャッ、グギャッ!?」


 同時に響くのは苦しそうな不死鳥の悲鳴。

 光の蔦のようなものに巻かれた不死鳥がフラフラと近くに降りてくる。


「グギャーギャ、グギャ」


 そして、深々とわたしに向かって頭を下げてきた。

 まるで土下座である。


「は?」

「ぐもーも、ぐも」


 コアラよ、苦しゅうないってドヤ顔しないで。

 どうしておまえがそんなに偉そうなのか。


 ゆっくりと空から降りてきたカーライル殿下が尋ねてくる。


「これは……どういうことだ?」

「知らん」


 わたしは思わず敬語を忘れてそう答えるほかなかった。




 そして、帰りの道中。

 わたしたちはこってり怒られた。


 結果論的にはユカリさんが不死鳥と知り合いだったのだから、事情を話せば快く卵の殻を分けてもらえたわけで。だからわたしたちがユーリさんにきちんと相談したら、こんな危ない橋を渡らずに済んだわけで。


「プレゼントづくりのときはね、警備もたくさんついていたし、ユカリから聞いた話では不死鳥は子どもに優しいやつってことだから、俺も見て見ぬふりをしてあげたけど……いいかい? これからは逐一、俺に報告するんだぞ? ミハエル殿下なんか何も役に立たないのは、今まで十分にわかっているだろ? だから、俺がパパだからね。いいね?」


 何度聞いても、義兄がパパになる理屈は理解できないけれど。

 それでも、急いで王城に戻った直後、本当のパパが珍しく自分の袖を捲ってくれた。


「じゃ、たまには僕が凄腕魔法使いってところでも見せちゃおうかな」


 そして、数十分後。

 本当に専門職の人たちが目を丸くするような医療薬をあっさりと調合してくれたもんだからびっくりだ。


「だてに一〇〇〇年生きてないからね」


 って自慢げに耳打ちされても、今回ばかりは苦笑しかできない。


「ほら、早くお父さんに飲ませておあげ」

「さすが……さすが叔父上ですね……」

「はは、そういうのはあとでいいから」

「はいっ!」


 涙ぐみながら走っていったカーライル殿下のあとを、わたしたちはゆっくりと追った。


「父上……父上……!」


 国王の寝室の中から、カーライル殿下の嬉しそうな声が響き渡る。


「カーライル……おまえ、怪我だらけじゃないか……」

「こんなの……ただのかすり傷です……」

「あぁ……ほら、泣くな。我が息子よ。王に涙は不要だ」


 なかなか国王陛下も不器用なお父さんだね。

 お父さんが目覚めて喜んでいる息子に対して、帝王学している場合じゃないでしょ。


 だけど、続く盗み聞ぎで、わたしは思わず頬を緩めるのだ。


「なぜ……オレを庇ったのですか」

「当たり前だろう。私はそなたの父なのだから」

「……王が、子のために命を捨てて良いのですか?」

「そうだなぁ……私もまだまだ未熟者だなぁ」


 そのとき、ミハエル殿下がひっそりと聞いてくる。


「ルルティアは中に入らなくていいの?」

「一〇〇〇年も生きているのに、よくそんな野暮なこと言えますね」


 その直後、ひときわ嬉しそうなカーライル殿下の声が、部屋の外まで堂々と聞こえてきた。


「父上……お誕生日おめでとうございます!」

「あぁ、最高のプレゼントをありがとう。カーライル」


 これにて、無事にわたしたちのお誕生日大作戦は笑顔で終幕したのだった。




これにて8章も終幕です!

不穏な終わり方にしようと思ったけど、たまにはすっきり仕上げてみました(笑)

あと2~3章で完結する予定です。最後までぐもぐも付き合っていただければと思います!


あと投稿が遅れてすみませんでした。

カクヨムで新作を書いてました。


「雑草令嬢が【溺愛スルー】した結果~お金も青春も手に入れて、人生大勝利してました~」

https://kakuyomu.jp/works/822139837256571066


すっきり終われるエンディングで小説1巻分は投稿してあるので、

よければこちらも読んでみてくださいね(あとで↓にタグも貼っておきます)


貧乏な女の子が貴族学校でがんばる系のお話です。

主人公に振り回されるイケメンや、女の友情が好きな方はぜひ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ