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ちみっこ魔女転生~使い魔がコアラだったので、たのしい家族ができました~  作者: ゆいレギナ
7章 公爵令嬢の初恋

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52話 幼女の恩返し

ご無沙汰しております! ひと段落したので、またこちらの更新を再開しますね!


 本当の五歳からしたら、男女の修羅場など怖いだけである。

 しかし、わたしはアラサーな人生も経験済みの幼女である。

 男女の痴話げんかもれっきとしたエンターテインメントだ!


「その話は、もう終わったことだろう」

「それは父が勝手に決めた話です! わたくしは、あなた以外の男と結婚するつもりはありませんわ!」


 ユーリさんが強い語気で話しているところ、初めて見た……。

 やっぱり、わたしに対してはかなり優しく話してくれているんだなぁ。


「俺のどこに執着する理由があるんだ? 魔力か? それとも俺の故郷に興味があるのか?」

「どちらでもありませんわ! あなた自身のことをお慕いしているだけです!」


 ロマンスである。女性からの熱烈アピール、わたしは好きだなぁ。

 それでも、ユーリさんの表情は険しいままだった。


「気持ちはありがたいけど、俺だってようやく婚約解消を受け入れることができたんだ。今更蒸し返さないでくれないか」

「ユーリ様にとって、結局わたくしは政略結婚の相手でしたの?」

「……そうだよ。だから、もう俺に関わらないでくれ」


 その言葉に、オディリアさんの瞳が急激に潤む。


 彼女はそれを隠すように、慌てて踵を返して。

 バタンと強く扉が閉められると同時に、わたしは言った。


「ユーリさん、さいてー」

「どうしてだ? 誠実に受け答えしただろう!?」


 おやま。わたしに対してもいつもより語気が強い。怖いとまでは言わないけどね。


 それでも、さすがは五歳の身体。

 昔よりは馴染んできたとはいえ、自然とコアラを抱きしめる手に力がこもる。モフモフ。


 おかげで、ちゃんと反論することはできそうだ。


「でも、もうちょっとオンナゴコロを考えろというか、容赦がなさすぎるというか……」

「気持ちに応えられないのに、中途半端に慈悲を残してどうする? さっさと俺のことなんて『嫌な奴』と忘れてもらって、早く次の男を探してもらうほうが、彼女の人生においての最善じゃないのか?」

「たしかに……」


 同意しつつも、ちょっぴりわたしは不服である。


 あなたも十八歳にしては達観しすぎじゃない?

 もうちょっと、思春期の少年らしい葛藤してもよくない?


「ねぇ、コアラ。どう思う?」

「ぐもおおおおおおおおお」

「きみは興味なさそうだねぇ」

「ぐもおおおおおおおおお」


 わたしが話しかけても、コアラは相変わらず睡眠から目覚めることはないんだけど。


「……とりあえず、わたしはオディリアさんを追おうかな」

「どうして?」


 そう問いかけてくるのは、ずっと我関せずだったミハエル殿下。


 別にルルティアが行く必要ないんじゃ。

 そう言いたげな男二人に視線を受けて、わたしは思いっきり口を尖らせる。


 その目で、わたしは確信した。

 こいつら二人とも、まともに恋愛したことないな。


 対して、わたしは前世で恋人がいたことありますし? 

 ドヤ顔を返す権利があるというものだ。


「失恋したあと一人になると、余計にマイナス思考になっちゃうものなんですよ」

「だから五歳児が何言ってんの」


 ミハエル殿下からのツッコミが入るけど、わたしは気にしない。

 だけど、部屋から出る直前で、一つだけ質問を残す。


「ユーリさんは、本当にオディリアさんのことは好きじゃなかったんですか?」

「……俺なんかが、彼女と結ばれていいはずないだろ」

「なるほど?」


 わたしはニヤリと笑って、部屋を出る。

 あのユーリさんの浮かない顔、これはロマンスの香りがしませんか!?


「ここは、わたしがひと肌脱ぐっきゃないよね! コアラ!」

「ぐもおおおおおおおおおお」


 やっぱりコアラは興味がない様子だが。


 わたしだって、ユーリさんのことは好きだ。


 燃える森で盗賊に襲われたとき。

 馬車旅の途中で、盗賊に仕返しされそうなとき。

 里帰りに付き合ってもらったとき。


 ユーリさんにはたくさんの恩義がある。

 今も毎日おいしいお弁当をつくってもらっているのだ。


 さあて、幼女の恩返しといこうじゃありませんかっ!


作者から、ここまで読んでくれた皆様へお願いです


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