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ちみっこ魔女転生~使い魔がコアラだったので、たのしい家族ができました~  作者: ゆいレギナ
6章 学園リベンジ

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49話 王子とアフロ②

 あぁ、叫びすぎて喉が痛い。

 しかも、こういうシンプルに応援するというのが、元アラサーとして恥ずかしい。


 それでも、コアラも一緒に叫んでくれたのがけっこう嬉しいな。


 そんなわたしたちの声援に、カーライル殿下も喜んでくれたらしい。


「くっそ……王太子妃が……んな大声で叫ぶな……」


 いやいや殿下、気が早い。わたし、まだ五歳。

 それでも、よれよれと立ち上がった殿下に、アフロンは舌打ちする。


「倒れておけばいいものを……」


 そうだよね、まさかアフロンも、本気で王太子殿下を大けがさせるわけにもいかないもんね。

 そんなアフロンに向かって、殿下はシャンナちゃんを抱えたまま走り出した。


 もしや、シェンナちゃんパンチか!? 

 コアラじゃあるまいし、なんか無理ある気がするぞ!?


 わたしと同様、アフロンも瞠目している。そりゃそうだ。体格で圧倒的に劣る殿下が肉弾戦で挑んでくるなんて、さすがの彼も予想外だろう。


 だけど、これなら手加減しやすいと判断したのか、アフロンもファイティングポーズで待ち伏せる……そのときだった。


「小石生成……!」

「にゃおーーーーんっ!」


 自身の前で爆誕させた小石……という名の岩を、カーライル殿下が魔力のこもったパンチで打ち砕く。


 あれは……わたしの散弾岩!?

 至近距離でのあれは痛い! 

 というか、破片が目に入ったらめっちゃ危ない!


 アフロンもさすがは生徒会役員。とっさに障壁を張って、顔面直撃は防いでいる。

 しかし……衝撃はそれなりだったらしい。


「は? ……なんだ、今の……」


 腰を抜かしたアフロンがガタガタと震えて、立ち上がらない。

 そりゃそうだよね。目の前で散弾銃をぶっ放されてビビらない中学生はいない。それでも怪我せず済んだのは、この学園の防御優先な学習指導の賜物だろう。


 そこで、立会人の生徒会長が声をあげた。


「勝負あり! 勝者、カーライル=フォン=パルキア!」


 大歓声が、運動場に響き渡る。

 王太子とはいえ、二年生が四年生という上級生を倒した。その光景はなかなかカッコいいものだ。わたしも心からの拍手を送っていると、ボロボロになったカーライル殿下が、足取りしっかりわたしのもとまで歩いてくる。


「ルルティア、改めて謝罪させてほしい」

「……なにをですか?」

「本当はニコどのではなく、去年、こうしておまえを守ってやるべきだったのに……ごめん。本当にごめんな」


 決闘に勝ったのに、殿下が泣きそうな顔でわたしを見つめてくる。

 間違いなく、殿下の言っていることは、わたしたちが入学直後、コアラの飼育に困るわたしを罵倒したあげく、嫉妬から浮気と宣われ、婚約破棄をかけて決闘した事件である――思い返すと、なかなかひどい。


 それでも、わたしはこの一年を共に過ごして、とっくに許していた。というか、記憶からも薄れていた。だって去年の決闘のあとに、ちゃんと謝ってもらってたしね。


 それでも、今の今まで、殿下がその罪悪感を持ってくれていたならば。

 わたしが言うべきことは、ひとつだけ。 


「殿下、すごくカッコよかったですよ」

「なっ……オレのことが好きだと!?」


 誰も、そんなこと言ってないってば。

 だけど、今それを口にするほど、空気を読めない精神年齢をしていない。


 だから、わたしは殿下の抱えたシェンナちゃんを撫でながら、ニッコリと微笑んであげておくことにした。


 別に婚約者だしね。

 五歳の好意でこんなに嬉しそうな顔をしてくれるなら、悪い判断ではなかっただろう。


「ぐも~?」

「カーライル、あとでちょっと話いいかな?」

「ルルちゃんはこっちおいで。俺が予習手伝ってあげる」


 コアラはなぜか、不満げで。

 突如わたしの背後に現れた保護者どもが、怖い笑みを浮かべていたけれど。


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