高校3年生の日常
スマホのアラーム音がけたたましく鳴り響く。
安眠の妨害以外の何者でもないその音に気分が悪くなる。
軽くイライラしながらベッドから降りてアラームを解除する。
時刻を見ると午前8時だった。
(なんて素晴らしいんだ。久しぶりに早起きに成功した。)
喜びのハミングを口ずさみながらトイレに入り用を済ませる。そして、手を洗うと顔を洗いに洗面室に入室し洗顔する。ついでに歯も磨く。
(……え、優秀すぎん?俺ってば3週間くらい出来なかったことを優雅にまるで当たり前のことかのように実践してるぞ?神ってるわ勝ち確)
首を一つ鳴らすとリビングへ行き、食パンを出すとケチャップとチーズスライスしたウインナーを載せてトーストする。
出来上がったピザトーストを目の前に川島は戦慄する。
(……え、これ俺が作ったの?天才過ぎんやん。俺の将来の夢3つ星シェフだわやっぱ)
川島は自画自賛すると、オレンジジュースをコップになみなみ注いで一気飲みする。
「うっ」
川島は胸が苦しくなり、抑える。少しの間喉から胸のあたりに気持ち悪さが残る。
(うっわー、寝起きの一気飲みはやっぱダメだなー。なんか、明らかに身体に悪いっていうか死ぬっていうか。なんかそんな感じの違和感がする。てか俺の語彙力やばくね? こんな語彙しかないゴミなんて絶対紺典大学落ちてるやん。オワコン過ぎてヤバタノオロチ)
川島は不安になり、外へ出てポストの中を覗いた。しかし、中にはお望みのモノはなく、新聞紙と訳の分からないチラシしかなかった。これらはゴキブリ退治の武器となるしかい未来がないのだ。
「あー、まだこないかぁ」
(無駄に不安煽りやがって。これで落ちてたら、紺大潰すからな。テロリストに就職してヤバイテロ起こして歴史の教科書に載せてやるからな。どうせなら9.11の同時多発は超えたいな)
「こんにちはー」
川島が心の中でブツブツ言っていると、宅配便のおばさんなのかおねんさんなのか判断に困るくらいの年齢の女性が紺大の茶封筒を今まさにポストの中に入れていた。
「わ、こんにちは」
川島は生まれついてのコミュ障を隠すべくオペレーション・イエヤスを発動した。特に意味もないし、なにもしてないし今即興で考えたものだからオペもクソもない。おそらくこういう所がコミュ障たるゆえんだろう。
ぶおーんとマヌケな音を立てるスクーターに乗り宅配便の女性は去っていくのを眺めた川島はポストから紺大の茶封筒を取り出した。
(あ、これは合格だわ。うん、なんかそんな感じがするし、なにより匂いが合格って匂いがしている気がする)
とかなんとか訳の分からないことを考える川島。茶封筒を携え、リビングへと帰り、ひとまずピザトーストを一口齧る。
咀嚼しながら、不合格だったらどうしようと考えた。
なにせ川島は紺典大学以外はFランだから行く価値なしと豪語して滑り止めを一切受けなかった男だ。しかも、模試の成績はCとお世辞にも安心安全とは言えないかった。しかし、クラスの友達の前で散々紺大以外はFランでFランに行くくらいなら浪人するわぁー!!
と豪語してしまったため特に考えもなしに背水の陣を強いられることになった残念な奴だ。
川島は余裕ぶった表情を無理矢理作ると、エア煙草を吸った。おそらくイメージ葉巻なのだろう。若干指の広げ方が広い。
「にいちゃん何やってんの?きしょいよ」
川島妹にそう言われて少し落ち込む川島。しかし、川島妹が紺大の茶封筒を見つけると気まずそうにそそくさと立ち去ってしまった。
(まぁ、ひとまず開けようか)
ついに観念した川島は茶封筒をクッソ雑に開けた。もう、学校名が二つに裂かれているし途中からめんどくさくなったのか力任せに破壊するように開けた。川島の顔を見ると楽しそうだ。よかったね。
「お、合格してるやん」
川島良かったね。




