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Angelic Storia  作者: 紡生 奏音
Extra edition 3 託される〝想〟〜Roots of 〝Wing〟〜
98/151

ଓ 5 〜END〜


    ଓ


 そこで、「夢」が一旦途切れる。

 けれど、その続きを垣間見ることはできた。


 ――その後。

 エルフィナはヴェスターの言いなりとなり、カレと婚姻関係を結ぶことになった。――監禁されたジェナティスを人質に取られ、抵抗することができなかったのである。そして、エルフィナは再び「かごの鳥」となってしまったのだった。

 それから、【黒きモノ達】による支配が始まり、魔法王国は荒れ、破滅へと着実に向かっていった。

 〝声〟が言っていた通り、「誰にも」――神さえもどうすることができないようだった。

 けれど、そんな中、先に行動を起こしたのはエルフィナだった。

 エルフィナはヴェスターの目を盗み、地下牢に閉じ込められているジェナティスと密会を重ねたのである。そのうちに、彼女は彼の子を身ごもったのだ。

 やがて、ふたりの子が生まれると、【黒きモノ達】に反感を抱き、エルフィナとジェナティスを親しみを持つ者達によって、その子どもは守り隠され、大事に育て上げられた。

 子どもが立派に成長するのを見届けると、エルフィナとジェナティスは共に地下牢で息を引き取ったのだった。限界を超え力尽きたのか、はたまた、ふたりで自害したのか……その理由は定かにはなっていないが。

 一方、成長したふたりの子どもは両親のかたきを取り、ヴェスターを打ち倒した。そして、彼は荒れ果てた魔法王国を建て直すことを決心する。

 ――やがて、彼は後に大賢者の前身といえる存在となり、魔法が皆等しく学べる賢者制度を築き上げ、平和を再び人々にもたらしたのだった。


    ଓ


 ――そして、現在のテレスファイラへと繋がるのである。

 「夢」が完全に途切れ、エルフィナの〝想い〟はどうなったのだろうと〝彼女〟が物思いに耽っていると、ふと目の前に、ゆらゆらと一人の女性が姿をあらわした。

 けれど、その姿を明確にとらえることはできなかった。

――また……だめだった。

 女性の「声」だろうか、そんな哀しそうなつぶやきが〝彼女〟の頭に響く。 

――何度……この〝想い〟を繰り返せば、わたしたち(・・・・・)は報われるのだろう。 何度も……何度も、結ばれた魂にそれまでの〝想い〟を託してきた。 でも、たとえ一度は上手くいったとしても、どこかで〝絆〟は(ほころ)び、途切れてしまう。 誰も……わたしたち(・・・・・)の「想い」を受けとめ、かなえてくれる(もの)はいなかった。

 独りごちる女性には此方(こちら)がうつっていないのだろうか。そんなことを思いながら、〝彼女〟はその言葉に耳を傾けていた。

 ――が、ふと女性と視線が交わる。

 あまりの強い〝想い〟に、〝彼女〟は身動きが取れなくなる。

――あなた(・・・)わたしたち(・・・・・)の〝想い〟をかなえてくれる?

 〝彼女〟が返事をするより早く、「夢」が消えていく。


 ――私……。私は……――!!


    ଓ


 息を大きく呑んで、〝彼女〟は目を覚ます。

「夢……」

 身体を起こし、つぶやきながら、先程まで見ていた「夢」に思いを馳せる。

 はっきりとその内容が思い出せる。「夢」という形をとってはいるが、あれは全て実際に起きた事実(こと)なのだ。

 ……一体、あの「夢」は「何」をあらわしているのだろう。エルフィナとあの女性と自分にはどんな関係があるのだろうか。いくら考えても、その答えが出そうになかった。

 だが、やはり「何か」が始まろうとする前ぶれなのだ。

(私、私は……――)

 あの女性に返せなかった答えの続きを、〝彼女〟は出そうとした。――けれど、どうしても、その続きを出すことはできなかった。

 いつか、何か……分かるだろうか。――もし、そんな日が来るのだとすれば、必ず「答え」を返したい。

 心にそう決めた〝彼女〟は、これから始まる新しい生活に思いを馳せ、未来(この先)に何かがあろうと、大切なものを必ずまもり抜いてみせるという決意を一層固めるのだった。

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