表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Angelic Storia  作者: 紡生 奏音
Extra edition 2 手とてをとりあって 〜〝heart to heart〟〜
49/151

♡ 5


    ଓ


 ――駆けて行く。ただ、会いたい気持ちを胸に、「キミ」の元へ。


「カルド!」「ミリア!」

 同時に、ふたりは声を上げた。目が合うと、自然と笑みがこぼれ、ふたりして口元を緩める。

 どちらともつかず、互いに手を差し出す。

 すぐに、ふたりは手と「て」をとりあい、優しく強く握手を交わして、笑い合った。


    ଓ


 その後、ミリアとカルドはあまり言葉を交わさず、目配せだけで互いの意思をくみ取り、それぞれ、やるべきことを行動に移した。――ミリアはエリンシェ、カルドはジェイトの元へと急ぎ、次の授業で確実に(・・・)エリンシェとジェイトのふたりが隣同士で座れるよう、働きかけた。

 そして、当然のように、ミリアとカルドも隣同士で席につき、やがてエリンシェとジェイトが会話を交わし始めるのを眺めていた。

「やったね」「やったな」

 ミリアとカルドはその瞬間、同時につぶやいていた。顔を合わせ、またふたりで笑い合うと、授業の合間を縫って話し始める。

「それで……そっちはどうだった?」

 先にそう切り出したのはミリアの方だった。カルドがうなずき、優しく微笑みを浮かべてみせると、口を開いて言った。

「あぁ、お前の言う通りだった。 何となく、エリン(〝彼女〟)ジェイト(あいつ)に似ていて、これから見守っていきたいってそう思った。 だから、これから時間を掛けて、エリンとは仲良くしていこうって決めたんだ。 ――ミリアを信じて良かった」

 ――カルドのその表情かおは、ミリアが今まで見たことがないくらい、とても優しいものだった。

 思わず、ミリアはどきりとして顔を赤らめてしまう。そんなところを見られたくないとそっぽを向きながら、「そりゃ良かった」とだけつぶやいた。

「ミリアはどうだった?」

「……うん。 あたしも、ジェイト(〝彼〟)のことを見守っていきながら、仲良くしていきたいってそう思った。 だけど、あいつ(・・・)、何だか頼りないから、カルドには悪いけど、あたし厳しくしようと思ってるよ!」

 そんな彼女の様子を気にせず、同じ質問を投げかけたカルドに、ミリアはいたずらっぽく笑いながらそう言ってみせる。

「あぁ、頼むよ。 ミリアのやりたいようにやってくれ」

 思わず吹き出したカルドが、優しい表情かおを浮かべたままうなずいた。その瞬間、今度はふたりの視線が重なり、お互いにつられるようにして笑い合った。

 しばらくそうした後、ミリアとカルドは同時に、エリンシェとジェイトが座る席に目をやる。……どうやら、少しだけではあるが、ふたりも話をすることができたようだった。

「……上手くいくかなぁ、あのふたり」「さあな」

 笑みを浮かべながら、ふたりの様子を見守っていたミリアとカルドだったが、少し経つと授業が本題に入り、集中せざるを得なくなる。

「だけど、上手くいくといいね」「でも、上手くいくといいな」

 授業に集中する前に、ミリアとカルドはほとんど同時に、そうぽつりとつぶやいた。思わず、ふたりは顔を見合わせ、笑いをこぼすと、満足したかのようにうなずき合い、授業に臨むのだった。


 ……けれど、エリンシェとジェイトのふたりの関係はそれ以降、劇的に進展することはなかった。

 だがそれでも、少しずつ進んでいくふたりを、ミリアとカルドは自分たちの仲を深めながら、そっと見守っていくことに決めたのだった。


 ――そして、「あの事件(・・・・)」が起きたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ