Feather 2 ଓ 「贈り物」 〜one end〜
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「あのね、ミリア。 私、ジェイトにいつももらってばかりだから、何かお礼にプレゼントしたいの。 だから、ちょっと付き合ってくれない?」
ジェイト達が訪れた次の日、まだ滞在していたミリアに、エリンシェはそんな相談を持ち掛けた。
すぐに、ミリアが「うん、いいよ」と二つ返事をして、出掛ける準備を始める。少ししてから、ふと思い立ったように、エリンシェに問い掛ける。
「でも、何をあげるの?」
尋ねられて、まだ何も考えていなかったエリンシェは唸り声を上げた。考えながら、エリンシェも身支度を始め、ふと着替えの際に、ジェイトにもらったペンダントが目に入った。
「……そうだ、お守り! ――何か、お守り代わりにしてもらえるものが良いな」
いつも、エリンシェはジェイトに助けられてばかりだったが、時々、そんな彼が無茶をしてしまうこともあり、心配になることもあった。――守られてばかりではなく、守りたい。エリンシェはそう思っていた。
……だからせめて、何かお守り代わりになるものをプレゼントできれば、少しは気が晴れるかもしれない。エリンシェはそう考えて、贈り物をすることにしたのだ。
〝あら、いいわね。 私も何か、できることがあれば協力するわ〟
珍しく、エリンシェの身体に宿っていたアリィーシュが、乗り気な様子をみせていた。そんなことを話し掛けた彼女に、思わずエリンシェは苦笑いをこぼした。……けれど、何か考えがあってのことかもしれなかったので、エリンシェはアリィーシュを無下にもできなかった。
「……分かった、それじゃアリィもよろしくね。 さて、準備ができたら、すぐに出掛けようか」
それからしばらくして、エリンシェはミリアと共に、様々な品物を取り扱っている店へと赴いていた。
目的を忘れ、思わず目移りしそうになりながら、エリンシェはミリアと相談しながら、店の中をどんどん回っていった。
そして、アクセサリーを置いてある棚に差し掛かると、エリンシェは足を止め、その一つ一つに目を向けた。
「……男の子って、アクセサリーなんてつけないかな」
「どうかな? でもきっと、ジェイトのことだから、エリンシェにもらったものなら何でも喜ぶと思うけど」
エリンシェがぼそりとつぶやくと、ミリアがすぐにニヤニヤと笑いながら、そんな答えを返した。エリンシェは「もうっ!」としかめっ面をしてみせながら、視線を棚に戻した。
ふと、ブレスレットの棚に足を踏み入れると、エリンシェは「何か」を感じ、思わず顔を上げた。……思い違いだろうか、呼ばれているような気がする。
棚を歩き回りながら、エリンシェは全ての棚にざっと目を通す。その中に、ひときわ目を引くものが見つかった。――それは、弓矢の飾りが一つだけついた、派手過ぎずつづまやかな銀のブレスレットだった。
「いいんじゃない?」〝いいわね〟
いつの間にか側にいたミリアと、なぜかアリィーシュにも賛同され、エリンシェはそのブレスレットを手に取る。まじまじと間近に見ていると、先程彼女を呼んだのはこれだと、エリンシェは直感した。
「――うん、これに決めた」
満足げにうなずくと、エリンシェはそのブレスレットを購入した。そして、それを入れた包みを手に、帰路についた。
〝エリン〟
その途中、不意にアリィーシュから声を掛けられる。すぐに、エリンシェは「アリィ、何?」と先を促した。
〝それを渡す時、名前を付けてからにするといいわよ。 ――そうすれば、きっと役に立つから〟
何か考えがあってのことなのだろう、アリィーシュがそんな提案をする。なぜなのか、理由は話してはくれなかったが、彼女がそういった行動する時には必ず何かあるのだと、エリンシェは心得ていた。
「うん、分かった」
すぐさま、エリンシェはうなずきながら、〝彼〟のことを想った。……昨日別れたばかりなのに、会いたいという気持ちがすでに芽生えていた。――すぐにでも、プレゼントを渡したかった。
けれど、間もなく、二年目の学舎生活が始まろうとしていた。慌てなくても、またすぐに〝彼〟に会える日がやって来るのだ。その日まで、エリンシェはそんな気持ちをぐっとこらえることにしたのだった。
――そして、その数日後。
エリンシェの学舎生活もいよいよニ年目を迎えるのだった。




