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Angelic Storia  作者: 紡生 奏音
Wing Ⅰ Episode 2 翼――それは〝おもい〟を知る〝もの〟
27/151

Feather 2 ଓ 「贈り物」 〜one end〜


    ଓ


「あのね、ミリア。 私、ジェイトにいつももらってばかりだから、何かお礼にプレゼントしたいの。 だから、ちょっと付き合ってくれない?」

 ジェイト達が訪れた次の日、まだ滞在していたミリアに、エリンシェはそんな相談を持ち掛けた。

 すぐに、ミリアが「うん、いいよ」と二つ返事をして、出掛ける準備を始める。少ししてから、ふと思い立ったように、エリンシェに問い掛ける。

「でも、何をあげるの?」

 尋ねられて、まだ何も考えていなかったエリンシェは唸り声を上げた。考えながら、エリンシェも身支度を始め、ふと着替えの際に、ジェイトにもらったペンダントが目に入った。

「……そうだ、お守り! ――何か、お守り代わりにしてもらえるものが良いな」

 いつも、エリンシェはジェイトに助けられてばかりだったが、時々、そんな彼が無茶をしてしまうこともあり、心配になることもあった。――守られてばかりではなく、守りたい。エリンシェはそう思っていた。

 ……だからせめて、何かお守り代わりになるものをプレゼントできれば、少しは気が晴れるかもしれない。エリンシェはそう考えて、贈り物をすることにしたのだ。

〝あら、いいわね。 私も何か、できることがあれば協力するわ〟

 珍しく、エリンシェの身体に宿っていたアリィーシュが、乗り気な様子をみせていた。そんなことを話し掛けた彼女に、思わずエリンシェは苦笑いをこぼした。……けれど、何か考えがあってのことかもしれなかったので、エリンシェはアリィーシュを無下にもできなかった。

「……分かった、それじゃアリィもよろしくね。 さて、準備ができたら、すぐに出掛けようか」

 


 それからしばらくして、エリンシェはミリアと共に、様々な品物を取り扱っている店へと赴いていた。

 目的を忘れ、思わず目移りしそうになりながら、エリンシェはミリアと相談しながら、店の中をどんどん回っていった。

 そして、アクセサリーを置いてある棚に差し掛かると、エリンシェは足を止め、その一つ一つに目を向けた。

「……男の子って、アクセサリーなんてつけないかな」

「どうかな? でもきっと、ジェイト(あいつ)のことだから、エリンシェにもらったものなら何でも喜ぶと思うけど」

 エリンシェがぼそりとつぶやくと、ミリアがすぐにニヤニヤと笑いながら、そんな答えを返した。エリンシェは「もうっ!」としかめっ面をしてみせながら、視線を棚に戻した。

 ふと、ブレスレットの棚に足を踏み入れると、エリンシェは「何か(・・)」を感じ、思わず顔を上げた。……思い違いだろうか、呼ばれている(・・・・・・)ような(・・・)気がする(・・・・)

 棚を歩き回りながら、エリンシェは全ての棚にざっと目を通す。その中に、ひときわ目を引くものが見つかった。――それは、弓矢の飾りが一つだけついた、派手過ぎずつづまやかな銀のブレスレットだった。

「いいんじゃない?」〝いいわね〟

 いつの間にか側にいたミリアと、なぜかアリィーシュにも賛同され、エリンシェはそのブレスレットを手に取る。まじまじと間近に見ていると、先程彼女を呼んだ(・・・)のはこれ(・・)だと、エリンシェは直感した。

「――うん、これに決めた」

 満足げにうなずくと、エリンシェはそのブレスレットを購入した。そして、それを入れた包みを手に、帰路についた。


〝エリン〟

 その途中、不意にアリィーシュから声を掛けられる。すぐに、エリンシェは「アリィ、何?」と先を促した。

〝それを渡す時、名前を付けてからにするといいわよ。 ――そうすれば、きっと役に立つから(・・・・・・・・・)

 何か考えがあってのことなのだろう、アリィーシュがそんな提案をする。なぜなのか、理由わけは話してはくれなかったが、彼女がそういった行動する時には必ず何かあるのだ(・・・・・・・)と、エリンシェは心得ていた。

「うん、分かった」

 すぐさま、エリンシェはうなずきながら、〝彼〟のことを想った。……昨日別れたばかりなのに、会いたいという気持ちがすでに芽生えていた。――すぐにでも、プレゼントを渡したかった。

 けれど、間もなく、二年目の学舎まなびや生活が始まろうとしていた。慌てなくても、またすぐに〝彼〟に会える日がやって来るのだ。その日まで、エリンシェはそんな気持ちをぐっとこらえることにしたのだった。



 ――そして、その数日後。

 エリンシェの学舎生活もいよいよニ年目を迎えるのだった。

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