♯ 5 〜END〜
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――いつか……一緒にいられるその日まで、「こころ」をともにして、ふたりは進み続けるのだ。
気が付くと、アリィーシュはガイセルの研究室を訪れていた。もちろん、〝神格化〟について、何か分かった――訳ではない。無意識に、アリィーシュは、ガイセルに逢いたい気持ちに流されてしまっていたのだ。
「……やっぱり、『そう』なんじゃないか」
呆れるように、ガイセルが苦笑いを浮かべながらつぶやいた。彼は、アリィーシュが〝彼女〟に嫉妬していると思っているのだ。
〝そんなわけないでしょ〟
きっぱりと、アリィーシュは言い切った。……全く、〝彼女〟に嫉妬なんて感情を抱くはずはないのだ。アリィーシュにとって、〝彼女〟はかけがえのない存在なのだ。そんな〝彼女〟に、嫉妬だなんて。それに、ガイセルが〝彼女〟に対して、「その気」がないことくらい、アリィーシュはちゃんと知っていた。なのに、どうして、ガイセルはそんなことを言うのだろう。
〝ただ、あなたに逢いたかっただけよ〟
仕方なく、アリィーシュはガイセルの元に来た理由を口にする。
ガイセルに改めて「こころ」を預けて以来、アリィーシュは「使命」を全うすることに――〝彼女〟を守ることだけに集中して来た。そうすることができたのは、ガイセルと「こころ」が通じ合い、それをきちんと彼が理解していると知っていたからだ。
そんなアリィーシュに応えて、ガイセルも〝彼女〟のことを慈しみ、陰ながら支えようとしている。――もちろん、アリィーシュはそれもきちんと理解していた。
〝……だけど、こんなことはもうしない。 私、あなたが理解してくれているって知っているから。 いつか……一緒にいられるその日が来るまで、私は進み続ける。 ――それまで、私はあの娘を守り通してみせる〟
「あなたってひとは……」
きっぱりと、アリィーシュがそう言い切ってみせると、ガイセルが戸惑ったように笑いを浮かべながら、そうつぶやいた。少し考えて、ガイセルも決心したようにうなずくと、口を開いた。
「誓いを立てたくらいだからね、僕も〝彼女〟の力になれることは全力でやるよ。 〝神格化〟のことも僕がきっと見つけてみせるよ。 ――僕も、あなたといつか一緒にいられるその日が来るまで、ずっと進み続けるよ」
〝――ありがとう〟
ガイセルのそんな決意に礼を口にしながら、アリィーシュはガイセルに微笑んでみせた。そんな彼女に応えるように、ガイセルも微笑みを浮かべたのだった。
――そして、お互いの「こころ」を通わせるかのように、ふたりはしばらく、お互いに微笑み合うのだった。




