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Angelic Storia  作者: 紡生 奏音
Wing Ⅱ Episode 1
107/151

Feather 7 ଓ 再会 〜reunion〜


    ଓ


 誰かに呼ばれた気がして、エリンシェはふと顔を上げる。

 何か……嫌な予感がした。エリンシェは目を閉じ、「感覚」を研ぎ澄ました。

 ――どこか……遠くで良くない【モノ】が動き出したのをかすかに感じる。一つは確かに「覚え」がある【モノ】、もう一つは……気配は「覚え」があるが、その【存在(・・)】自体を知らない【モノ】だ。……けれど、知らないはずなのに、どこかで()たような気がする。

 そして、もう一つ、それ以外にもよく知った〝気配〟がこちらへ向かっているのを感じた。……長い間、帰還を待っていたからだろうか、その〝気配〟はどんどんエリンシェの方へと近付いていた。

 かなり近くまで来たのを見計らって、エリンシェはそっと目を開ける。

 すると、そこには美しい女神――かつてテレスファイラを守護して(まもって)いた神が降り立っていた。

「おかえり、アリィ」

〝――ただいま、エリン。 長い間待たせてごめんなさい〟


    ଓ


 その後すぐ。エリンシェは寮室で二人きりにしてもらい、アリィことアリィーシュから色々な情報を得た。

 ゼルグが封印から解き放たれたこと。もちろんすぐに知らせようとしたが思い留まり、【カレ】を解放した【存在(モノ)】のことを調べるために天界へと赴いたこと。

 そして、それが他とは違う特異な【存在】――【聖力狩り】と呼ばれる【邪神(モノ)】であることを教わった。

 神々から〝力〟を奪い取ることで強くなる【邪神】・【聖力狩り】――その【存在】の話を聞き、エリンシェはすぐに「夢」のことを思い出した。

 あの「夢」に――旧・魔法王国時代に、【聖力狩り】は動いていて、当時の守護神と姫の〝力〟を奪い取ったことを、エリンシェはしっている(・・・・・)のだ。

 すぐに、エリンシェは「夢」のことをアリィーシュに打ち明けた。

〝まさか、エリンが旧魔法王国の「夢」を()しっていた(・・・・・)なんて……〟

 「夢」の話を聞いて、アリィーシュは驚いたり、悩んだりして表情をころころと変えながら、何かを考え始めていた。

〝とりあえず【聖力狩り】が旧魔法王国を襲撃したという「仮説」は合っていた。 あと分からないのは……。 ――それと、エリンが「感応」した理由〟

 エリンシェが聞き取れないほど、アリィーシュは何かつぶやいて思案していた。その途中、〝彼女〟の顔をじっと見つめると〝いや……でも……まさか、ね?〟とつぶやくなり、話題を変えた。

〝ところで、エリン、私がいない間に襲われなかった?〟

 すぐに、エリンシェは首を横に振る。――まだ(・・)襲われてはいない。だが、その【存在】かもしれない【モノ(・・)】をしってはいる(・・・・・・)

「あのね、アリィ。 まだ襲われてないし、直接見たことはないんだけど……私、その【聖力狩り】っていう【邪神】、しってると思う」

〝え……どうして?〟

「私の友達にね、メレナ・スヴェインっていう友達がいるの。 そのコの中にとても強い【()】を感じてるんだけど、【アレ(・・)】がそう(・・)なんだと思う」

 メレナの話を聞いて、またもや驚いたアリィーシュがますます考え込む。

「〝守護者〟だってこと、メレナには話してないけど、何かしら感じてはいると思う。 ……私には何も話そうとしてくれないの。 この前、左手(・・)()があるのを見掛けた時も、私には隠そうとしてたもの」

左手(・・)()……!? それって「()」みたいじゃなかった?〟

 メレナの左手の話をすると、アリィーシュは考え込むのを止め、すぐさま反応してそんな問い掛けをした。

「そう。 確か、背景が『漆黒の片翼(・・・・・)』で燃え盛る紫の炎の形をした『()』だった」

〝……間違いない、そのメレナってコに【聖力狩り】が宿ってる。 ――【カノジョ】の左手にも同じ「()」が刻まれている〟

 アリィーシュから告げられた事実(はなし)に、エリンシェは目を見開いた。――メレナは想像していたよりもずっと強力な【モノ(・・)】と独りで戦っていたのだ。なおさら、彼女のことを救いたいと思う一方で、一つ疑問が浮かぶ。

「……でも、どうして?」

〝分からない。 ただ、調べていて分かっているのは、その「()」が、旧魔法王国時代に存在していた悪の組織【黒きモノ達】の掲げていた印とよく似てるってこと。 ――その【黒きモノ達】と【聖力狩り】には何らかの関係があるかもしれないってことだけ。 ひょっとしたら、そのメレナってコは【黒きモノ達】に関係しているのかもしれないけど、そこまでは……〟

 ――ただ可能性がある(・・・・・・)というだけで確証はないということか。仲良くはしているものの、メレナはあまり自分のことを話したがらない。そんな彼女の様子に、メレナは何か引け目のようなものを感じているのではないかと、エリンシェは常日頃から考えていた。

 ……その「内」に隠していることを話してくれたらいいのに。いつもそう思いながら、エリンシェはメレナと接してきた。けれど……――。

「――とりあえず、今のところはメレナに直接聞いてみるしかないのか」

 つぶやきながら、エリンシェはもう一度「感覚」を研ぎ澄ます。――やはり良くない【モノ】が動いていて、嫌な予感がする。その一つがアリィーシュの話した【聖力狩り】の【モノ】かもしれない。

〝エリンシェ、あと一つ……〟

 どうしたものか考えていると、ふとアリィーシュが耳打ちをする。……どうやら、彼女もエリンシェと同じことを考えていたらしい。

 アリィーシュが得た「もう一つ」の情報を耳にしながら、エリンシェは「これから」のことに思いを馳せるのだった。

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