Feather 2 ଓ 陰り 〜【shade】〜
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……〝光〟を、見つけた気がした。
――〝彼女〟と出逢った瞬間、本当に〝光〟を見つけたように思えて仕方がなかったのだ。
だが、それと同時に、【カノジョ】も何故だか悦んでいるのが理解できた。
……あぁ、〝彼女〟は私の〝光〟であると同時に、【カノジョ】の【獲物】でもあるのだ。
そうだと悟ると、差し伸べられた〝彼女〟の「手」を掴まない方がいいと、すぐさま思った。
……でも。
どうしようもなく、まぶしい〝光〟――きっと、〝彼女〟ならきっと私を救い出してくれる、そんな気がしてならなかった。
……きっと、後悔する時が来る。そうだとしても、その「手」にすがりたい。
その「手」を掴むことを決めたのと同時に「覚悟」を決めた。
たとえ、どんな結果になったとしても、「手」を掴むからには〝彼女〟の枷にならないようにする。――最期の瞬間まで戦い、抗うことを強く心に誓ったのだ。
――そして、彼女は〝彼女〟のその「手」を掴んだのだった。
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それから、しばらく経って。
エリンシェとメレナが仲良くなるのに、それほど多くの時間はかからなかった。
授業も隣同士の席で受け、時には食事を共にし、遊びにも出掛けた。その間他愛もない話をし、少しずつ二人は親交を深めていった。
「ねぇ、エリンシェ、どうなってるの!?」
その合間に――エリンシェ・ジェイト・ミリア・カルドの四人だけになった時、ミリアがしびれを切らし、不服そうな表情を浮かべて、エリンシェをそう問いただした。
少し嫉妬もしているのだろうか。エリンシェは苦笑いを浮かべながら、黙り込んでいた。
「――エリンシェには何か思うところがあるんだよ」
間に割って入ったのはジェイトだった。
メレナと初めて出逢ったあの日、目配せをしただけで詳しいことは話していなかったが、〝彼〟にはきちんと伝わっていたらしい。
その点について安心しながらも、エリンシェは思い悩む。……みんなにはきちんと伝えておくべきだろうか。
「……彼女にはね、ちょっと気になることがあるの」
少し考えた後、エリンシェは少しだけ吐露する。
「何が気になってるんだい?」
それにいち早く、反応をしたのはジェイトだった。
「うん、あのね……。 彼女の奥底に何か感じる【モノ】があってね……」「――【敵】ってこと?」
どう言葉にすれば良いのか、悩みながら話していると、またもやジェイトが反応する。
「……たぶん。 だけど、何となくなんだけど、ゼルグとは違う【ナニカ】な気がして……。 私もどうしようか悩んでるところなの」
そう話すと、ジェイト・ミリア・カルドの三人は心配そうな表情を浮かべる。――そんな危険かもしれない【存在】を感じる人物と接していて大丈夫なのか。そう言わんばかりだった。
おそらくそんな反応が返ってくるだろうとは思っていた。けれど、それ以上にエリンシェには彼女を救いたいという気持ちがあったのだ。そして、それは彼女と仲良くなることでより強くなりつつあった。
「だけどね、彼女はその【ナニカ】と独りで戦っているの。 私は彼女と出逢ったあの日から、彼女の力になりたいってそう思ってるの。 だから、彼女と仲良くしてる。 それに、ほら、ひょっとすると、彼女から何か話してくれるかもしれないしね?」
ミリアとカルドは困惑し悩んでいる様子だったが、ジェイトだけは違っていた。エリンシェの言葉にどうすべきかを見極めている様子だった。
「何かあったら、僕たちに相談してくれる?」
「もちろん。 そのつもりじゃなかったら、みんなにこのこと話してないよ」
ジェイトの問い掛けに、エリンシェはすぐさま返事をする。それでもなお、〝彼〟は思慮深く考えている様子だった。
「――分かった。 だけど、何かあったらすぐ相談するんだよ。 エリンシェが僕たちを守りたいと思ってるのと同じように、僕たちだってきみを守りたいってそう思ってるんだから」
しばらく経って、ジェイトがようやく口を開き、そう話した。〝彼〟の言葉に、ミリアとカルドも何度もうなずいていた。
そんな三人の様子に、エリンシェは胸が熱くなる。……やはり、みんながいるからこそ、テレスファイラをまもりたいという気持ちがより強くなるのだ。
「ありがとう、みんな。 大丈夫、何かあれば相談するから」
……けれど。三人がいて心強くはあったものの、エリンシェには思うところが他に少しあった。
――あまりに「情報」が少なすぎるのだ。【敵】であることは理解できる。だが、それ以上のことはほとんど何も分からないのだ。
……やはり、まだ自分が〝守護者〟として未熟だからだろうか。こんな時……――。
「あーあ……アリィがいてくれたらなぁ」
エリンシェは思わずつぶやく。
アリィことアリィーシュは、エリンシェが〝守護者〟になる前、テレスファイラを守護していた女神だった。
アリィーシュは四年の間、「そば」でエリンシェのことを守り、支え、そして共に戦ってきた存在であり、〝彼女〟にとっては頼りにしている存在でもあった。けれど、現在はかつての【敵】であったゼルグの封印を見張るため、エリンシェの元を離れていた。
そんなアリィーシュだが、なぜか封印から離れ、行動している様子だった。もしかすると「何か」が起きていて、それに備えるために動いているのかもしれなかった。
エリンシェにはそれを微かに「感知して」いたが、今はどうすることもできずにいた。……ひょっとすると、アリィーシュもメレナに潜む【ナニカ】に気付いていて、情報を集めているのかもしれない。
……ともかく、今は様子を見るしかないだろう。
しばらくは何事もないことを祈りつつ、エリンシェはアリィーシュの帰還を待つことにしたのだった。




