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Angelic Storia  作者: 紡生 奏音
Wing Ⅱ Episode 1
102/151

Feather 2 ଓ 陰り 〜【shade】〜


    ଓ


 ……〝光〟を、見つけた気がした。

 ――〝彼女〟と出逢った瞬間、本当に〝光〟を見つけたように思えて仕方がなかったのだ。

 だが、それと同時に、【カノジョ(・・・・)】も何故だか(よろこ)んでいるのが理解できた(わかった)

 ……あぁ、〝彼女〟は()の〝光〟であると同時に、【カノジョ】の【獲物(エモノ)】でもあるのだ。

 そうだと悟ると、差し伸べられた〝彼女〟の「手」を掴まない方がいいと、すぐさま思った。

 ……でも。

 どうしようもなく、まぶしい〝光〟――きっと、〝彼女〟ならきっと()を救い出してくれる、そんな気がしてならなかった。

 ……きっと、後悔する時が来る。そうだとしても、その「手」にすがりたい。

 その「手」を掴むことを決めたのと同時に「覚悟」を決めた。

 たとえ、どんな結果(・・)になったとしても、「手」を掴むからには〝彼女〟の(かせ)にならないようにする。――最期(・・)瞬間(とき)まで戦い(・・)、抗うことを強く心に誓ったのだ。


 ――そして、彼女(・・)は〝彼女〟のその「手」を掴んだのだった。


    ଓ


 それから、しばらく経って。

 エリンシェとメレナが仲良くなるのに、それほど多くの時間はかからなかった。

 授業も隣同士の席で受け、時には食事を共にし、遊びにも出掛けた。その間他愛もない話をし、少しずつ二人は親交を深めていった。


「ねぇ、エリンシェ、どうなってるの!?」

 その合間に――エリンシェ・ジェイト・ミリア・カルドの四人だけになった時、ミリアがしびれを切らし、不服そうな表情(かお)を浮かべて、エリンシェをそう問いただした。

 少し嫉妬もしているのだろうか。エリンシェは苦笑いを浮かべながら、黙り込んでいた。

「――エリンシェには何か思うところがあるんだよ」

 間に割って入ったのはジェイトだった。

 メレナと初めて出逢ったあの日、目配せをしただけで詳しいことは話していなかったが、〝彼〟にはきちんと伝わっていたらしい。

 その点について安心しながらも、エリンシェは思い悩む。……みんなにはきちんと伝えておくべきだろうか。

「……彼女(メレナ)にはね、ちょっと気になることがあるの」

 少し考えた後、エリンシェは少しだけ吐露する。

「何が気になってるんだい?」

 それにいち早く、反応をしたのはジェイトだった。

「うん、あのね……。 彼女の奥底に何か感じる【モノ】があってね……」「――【敵】ってこと?」

 どう言葉にすれば良いのか、悩みながら話していると、またもやジェイトが反応する。

「……たぶん。 だけど、何となくなんだけど、ゼルグとは違う【ナニカ(・・・)】な気がして……。 私もどうしようか悩んでるところなの」

 そう話すと、ジェイト・ミリア・カルドの三人は心配そうな表情を浮かべる。――そんな危険かもしれない【存在(モノ)】を感じる人物と接していて大丈夫なのか。そう言わんばかりだった。

 おそらくそんな反応が返ってくるだろうとは思っていた。けれど、それ以上にエリンシェには彼女(メレナ)を救いたいという気持ちがあったのだ。そして、それは彼女と仲良くなることでより強くなりつつあった。

「だけどね、彼女はその【ナニカ(・・・)】と独りで戦っているの。 私は彼女と出逢ったあの日から、彼女の力になりたいってそう思ってるの。 だから、彼女と仲良くしてる。 それに、ほら、ひょっとすると、彼女から何か話してくれるかもしれないしね?」

 ミリアとカルドは困惑し悩んでいる様子だったが、ジェイトだけは違っていた。エリンシェの言葉にどうすべきかを見極めている様子だった。

「何かあったら、僕たちに相談してくれる?」

「もちろん。 そのつもりじゃなかったら、みんなにこのこと話してないよ」

 ジェイトの問い掛けに、エリンシェはすぐさま返事をする。それでもなお、〝彼〟は思慮深く考えている様子だった。

「――分かった。 だけど、何かあったらすぐ相談するんだよ。 エリンシェが僕たちを守りたいと思ってるのと同じように、僕たちだってきみを守りたいってそう思ってるんだから」

 しばらく経って、ジェイトがようやく口を開き、そう話した。〝彼〟の言葉に、ミリアとカルドも何度もうなずいていた。

 そんな三人の様子に、エリンシェは胸が熱くなる。……やはり、みんながいるからこそ、テレスファイラ(このせかい)をまもりたいという気持ちがより強くなるのだ。

「ありがとう、みんな。 大丈夫、何かあれば相談するから」

 ……けれど。三人がいて心強くはあったものの、エリンシェには思うところが他に少しあった。

 ――あまりに「情報」が少なすぎるのだ。【敵】であることは理解できる(わかる)。だが、それ以上のことはほとんど何も分からないのだ。

 ……やはり、まだ自分が〝守護者〟として未熟だからだろうか。こんな時……――。

「あーあ……アリィ(・・・)がいてくれたらなぁ」

 エリンシェは思わずつぶやく。


 アリィことアリィーシュは、エリンシェが〝守護者〟になる前、テレスファイラを守護していた女神だった。

 アリィーシュは四年の間、「そば」でエリンシェのことを守り、支え、そして共に戦ってきた存在であり、〝彼女〟にとっては頼りにしている存在でもあった。けれど、現在(いま)はかつての【敵】であったゼルグの封印を見張るため、エリンシェの元を離れていた。

 そんなアリィーシュだが、なぜか(・・・)封印から離れ、行動している様子だった。もしかすると「何か」が起きていて、それに備えるために動いているのかもしれなかった。

 エリンシェにはそれを微かに「感知して(わかって)」いたが、今はどうすることもできずにいた。……ひょっとすると、アリィーシュもメレナに潜む【ナニカ(・・・)】に気付いていて、情報を集めているのかもしれない。


 ……ともかく、今は様子を見るしかないだろう。

 しばらくは何事もないことを祈りつつ、エリンシェはアリィーシュの帰還を待つことにしたのだった。

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