師匠の兄貴
師匠は迫水リサといった。僕はリサにシューティングゲームの上達に必要なことを教えてほしいと頼んだ。
「んー、そうねえ、兄貴に会った方が話が早いかも」
「兄貴?お兄さんがいるの、師匠」
「師匠って呼ぶのやめい!」
「リサ師匠」
「あーもう」
リサ師匠は、僕をとある施設に連れて行った。
表向き普通のビルなんだけど、内部はアスレチック仕様に改造されていた。
「兄貴!」
リサ師匠が円筒形のブースの中にいる青年に手を振った。向こうも手を振る。
風圧で人体を浮かす装置。ヘルメットやらゴーグルやらで装備している。兄貴は自由自在にいろんな体勢をとっていた。
やがて兄貴は装置から出てくると、リサ師匠の頭をくしゃっとなぜた。リサ師匠は乱れた頭髪をなおしながらちょっと嬉しそうに兄貴に話しかけた。
「この子秋山周人くん。シューティングゲームで上達したいそうなんだけど見てやってくれる?」
「シュート。いい名前だな」
僕はいっぺんでこの人に好感を持った。
「とりあえず、そこの床に貼ってあるビニールテープの直線に沿って歩いてみて」
?
言われた通り歩く。
「すこーし重心がブレてるな。矯正は効くと思うから大丈夫」
「重心とシューティングゲームに関係があるの?」
「大ありさ!シューティングゲームだけじゃない。いろんなスポーツにも通じるものがある。自分の頭で自分の身体を制御できればオールマイティに応用がきくよ」
兄貴は、僕が普段インドア派だと見破った。
「ここでちょっとずつ自分の制御法を身につけていくといい」
「あの、でも、費用は?」
「実はね、ここの創業者が出世払いを提唱していてタダなんだよ。でもよほどのことがない限り他の人には内緒にできるかい?」
「うん。わかったよ!」
僕は希望に目を輝かせた。




