お題ジェネレーター
掲載日:2021/01/20
お題ジェネレーターなる機械を買った。ブラウン管のはまった大きな箱、と言う体のそれは、ボタンを押せば様々な創作のネタとなる映像が、画面に数十秒流れる代物だ。
機械をコンセントにつなぎ、僕はさっそくボタンを押す。
現れたのは、軍用トラックに追われ、自転車を駆って逃れようとするサトウと言う名の少年。金色の髪と、淡い褐色の肌の彼は、何度も捕まりそうになりながらも、くじけずあきらめず、ひたすら逃げて行く。
場面は変わって、のどかな田舎道を行く馬車。干し草を満載した荷台の後ろには、麦わら帽子を目深にかぶり、白いワンピースを着た少女が乗っていた。
おや、と僕は首を傾げる。
すると、画面の中の少女は顔を上げ、こちらを見て、少しはにかんだ様子でにこりと笑う。
金色の髪に淡い褐色の肌。
サトウだった。
ぷつんと画面は消え、それからは、もう何度ボタンを押しても、サトウは現れなかった。
僕はペンをとり、原稿用紙に向かった。
もう一度、君に会うために。
君にふさわしい、ハッピーエンドを描くために。




